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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2023年3月の記事一覧

音楽を盛り上げるために、やれることはすべてやる。ブームを作ってきた音楽のスペシャリストが見据える、音楽の未来とは。

CD専門店というイメージが強いHMVで、学生時代から長期間にわたって、音楽部門の仕事に携わっているのが、商品MD本部の山本さんです。社内にはそれぞれのジャンルに特化したスタッフが多く在籍していますが、山本さんほど幅広いジャンルで豊富な知識をもっている人はあまりいないとのこと。いわば、HMVを代表する「音楽のスペシャリスト」として、HMVの印象を決めていると言っても過言ではありません。現在もお客様に選ばれ、支持されるサービスを目指しつつ、新たな音楽への出会いの創出にも尽力してい

橋本徹(SUBURBIA)×柳樂光隆(Jazz The New Chapter)トークショウ20230304@タワーレコード渋谷

構成・文/waltzanova V.A.『Blessing ~ SUBURBIA meets P-VINE "Free Soul × Cafe Apres-midi × Mellow Beats × Jazz Supreme"』 コンピレイション原体験とその思い出橋本 こんにちは、サバービアの橋本徹です。今日は柳樂くんが来てということもあって、ただ単にコンピCDのプロモーションという感じではなく、いろいろ興味深い話を聞いてもらえるんじゃないかと思ってますので、しばらくの間

Sorry Not Sorry: タイラー・ザ・クリエイターの軌跡

2021年の『Call Me If You Get Lost』に、未発表などの8曲を入れて突然リリースされた、タイラー・ザ・クリエイターの『Call Me If You Get Lost: The Estate Sale』。 「Estate Sales」というのは、財産の処分、販売、という意味。正式版入りしなかった曲の処分、という意味では残り物なのかもしれないけれど、ヴィンス・ステイプルズやA$APロッキー、YGの客演曲や、カニエへのオード(頌歌)的な「Heaven To

歌は、修行で、修行は、つらい。だから。

4月になる。1年8ヶ月に渡り作ってきた、シンガーleift(レフト)名義のファーストアルバム『Beige』が、来週4月5日(水)にリリースされる。 -- 今回はライブの話を一旦お休みして、アルバムリリースに向けてまさに今思うことを書いていく。初めては一度しかないから、自分のためにも備忘録として書けたら嬉しい。 変化を受容する結論から先に言うと、僕はアルバム制作を通じて新しい自分を探した結果、巡り巡って元々つちかった自分を順目に進化させることになった。 シンガーと作曲家

2022 Best Japanese Album 20 + Track 5

対象期間:2021.12~2022.11 出典 : http://www.tonplein.com/?p=2302809 Track Of The Year山田尚子監督が演出した《平家物語》(2022)の主題歌として制作された羊文学の本シングルは、その登場人物に話しかける。「何回だって言うよ、世界は美しいよ。」悲劇的に閉ざされた世界の中の人物に希望を伝える矛盾はいったい何だろう。「いつか笑ってまた会おうよ … この最悪な時代もきっと続かないでしょう。」それは彼らが残した遺

YouTubeデータで「世界各国のヒットチャート流動性」を視覚化してみる...日本は平均より上

YouTubeは日本で最もメジャーな音楽メディア 今年の2月9日に、Spotifyの一年分のチャートデータを元に、世界各国のヒットチャート流動性を分析しました。 その結果に関する考察は、同じデータセットから行った世界各国のヒットチャート類似度の分析をしたnoteでも言及させていただきました。 Spotifyデータからみるかぎり、日本のヒットチャートの流動性は72ヶ国中、下から3番目に低かったのですが、それはあくまで「日本のSpotifyユーザーのリスニング行動が示す傾向

2012年ブラジル・ディスク大賞関係者投票(yamabra archive)

2012年度ブラジルディスク大賞、関係者投票に選んだアルバムです。2004年から2021年度まで、徐々に試聴リンクをつけてアーカイブしています。アルバムごとに、その当時ブログに掲載した紹介コメントも付します。この年選んだアーティストも錚々たる方々です。この年も様々な方向性の素晴らしいアルバムがありました。「Pierre Aderne / Bem Me Quer Mar Me Quer」は僕がライナーを書いた数少ないアルバムです。そして感動的だったのがDVD、「Eduardo

達人ドラマー、ネイト・スミスが叩いた13の名曲プレイリスト

今や世界からリクエストが止まないファーストコールドラマーになったNate Smith(ネイト・スミス)。ジャズからロック、R&B、ファンクと守備範囲は幅広く、決して手数は多くなくシンプルだが独特のリズム感をもたらし、曲を心地よくさせるドラミングは唯一のもの。セッションドラマーに止まらない作曲家としても活躍する彼が叩くプレイリストを作成してみた。 Who is Nate Smith? Nate Smithは彼のバンド「Kinfolk」を従え来日。Blue Note Toky

2022 Korean Track Listening Session 25

noteでは非常にお久しぶりです。多少遅れましたが、2022年度の韓国音楽において注目すべき曲を25つ選んで紹介します。 対象期間:2021.12~2022.11 出典:http://www.tonplein.com/?p=2527491 ビッグビートジャンルを中心に活動する電子音楽家KIRARAは、感情をアルバムで表現し、共有することに長けている。例えば『sarah』(2018)の最初の二トラックの「걱정」と「Wish」は、悲しみを希望に昇華させる作業であり、それぞれ

『あなたの聴かない世界 スピリチュアル・ミュージックの歴史とリスニングガイド』刊行記念 まえがき公開!

スピリチュアル・ミュージックと聞いて、あなたは何を思い浮かべますか? 本書は、エリック・サティからヴェイパーウェイヴまでを、スピリチュアリズム、オカルティズム、異教主義、サイケデリック、ニューエイジ、ケイオスマジック、陰謀論……などの文脈で読み解き、 音楽の繋がりを徹底検証する、初のリスニング・ガイドブックです。 ここでは、刺激的、知的興奮にあふれたまえがきを、試し読み公開いたします。ぜひご一読ください。             *  *  * まえがき─ 霊的リスニ

THE ORAL CIGARETTES、HEY-SMITHと熱演繰り広げた対バンツアーファイナル。「お前らと作った未来、絶対に手離さないからな!」(Text by 蜂須賀ちなみ)

THE ORAL CIGARETTESの全国対バンツアー『2MAN VS TOUR「MORAL PANIC」』が3月23日、Zepp Haneda(TOKYO)公演で幕を閉じた。 『2MAN VS TOUR「MORAL PANIC」』ではHEY-SMITH、キュウソネコカミ、Age Factory、ハルカミライ、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、coldrain、ROTTENGRAFFTYとオーラルメンバーが信頼するライブバンドが集結。全国7都市でガチンコツーマンを

2022年世界市場データから読み解く音楽の近未来と日本が取り組むべきこと

 IFPI(国際レコード・ビデオ製作者連盟)から、2022年のRECORDED MUSIC MARKET REVENUS(録音原盤市場売上)のデータが発表され、それを踏まえて、Midea Reserchが分析データを発表しています。 2022年音楽収入は 前年比6.7%増、ストリーミング比率は64.1%  日本では「サブスク」と呼ばれることが多い音楽ストリーミングサービスは、音楽ビジネスの幹として成長を続けているものの、成長率は鈍化してきたというデータです。  これは、僕

Interview Xenia França:アフロブラジレイロとしての誇り、ステレオタイプからの超克を込めたスピリチュアルな傑作を語る

シェニア・フランサの1作目『Xenia』は鮮烈だった。ロバート・グラスパーやホセ・ジェイムズに端を発し、そこに追随するかのようにハイエイタス・カイヨーテやジ・インターネット、ムーンチャイルドらがジャズ×ネオソウルの再解釈を行っていた2010年代。ブラジルの北東部、アフリカ系ブラジル人=アフロブラジレイロの人口がブラジルで最も多く、その文化の中にもアフリカ系の影響が色濃く残っているバイーア州に生まれたシェニア・フランサは、そんなジャズ×ネオソウルの流れにアフロブラジレイロの音楽

¥300

音楽は、方法だ。

それが、シンガーleift(レフト)として活動し始めてから僕が導き出した答えだ。僕は音楽で食っていくことも、音楽と共に生きることも、自分にとって目的ではないと突き詰めるほどに気が付く。 少なくともアーティストして活動している根源にあるのは、 音楽がやりたいからじゃない。 僕は一貫して「自分を生きたい」からleiftになったんだ。 自分が自分を生きるための障壁そうはいっても、実際は「100%ピュアな自分」で生きていくことは、今の僕にとってまだ難しい。なかなか、掲げたビジョン