マガジンのカバー画像

クラシック 記事まとめ

1,033
クラシックの楽曲・作曲家などについて書かれた記事をまとめていく公式マガジンです!主にハッシュタグ「#クラシック」が付けられている記事を自動で追加し、紹介していきます。
運営しているクリエイター

#ピアノ

シューベルト 即興曲Op90-3 楽曲分析

ここではシューベルト(1797〜1828)の即興曲Op90-3の楽曲分析をしていこうと思います。シューベルトのピアノ作品の中では親しまれているものの一つで、ピアノソナタ程の難易度ではないことから、彼の作品の中では挑戦しやすい曲になっています。まずは製作過程を紹介し、次に実際に楽譜を見ながらどのような構成になっているかを見ていこうと思います。 1 概要この即興曲は1827年に書かれたもので、シューベルトが体調の悪化と戦いながら生み出されたものになっています。Op90は4つの即

イギリスにおけるJ.S.バッハの再発見と『平均律クラヴィーア曲集』(200)

1802年3月にアミアンの和約が締結され、フランスとイギリスが一時休戦となると、クレメンティは弟子のフィールドを引き連れて大陸に渡ります。1802年8月にパリに到着し、ここではクレメンティと同じく楽譜出版、ピアノ製造の事業に乗り出した音楽家であるイグナツ・プレイエル(1757-1831)との商談が主な目的でした。 フィールドはパリでコンサートに出演しましたが、中でもバッハとヘンデルのフーガの演奏が聴衆を驚かせたと言います(「その正確さと真似の出来ない彼の感覚にパリの聴衆は極

女性のためのピアノの時代: 知られざるドイツロマン派の大作曲家ファニー・メンデルスゾーン(4)

19世紀中葉のヨーロッパで最も広く人気を博していた作曲家はフェリックス・メンデルスゾーンでした。 19世紀は中産ブルジョア階級が台頭したことで知られています。 社会制度の変化によって社会の富の分配の仕組みが変化したために、18世紀には搾取されるばかりだった庶民が裕福になり、いわゆるブルジョワ階級が新しい時代の文化の担い手となっていたのです。 新興ブルジョワたちは文化的な生活の象徴であるピアノを持つことに躍起となり、彼らのためのピアノ音楽の需要が生まれ、現在では芸術的価値

ノクターンの歴史:知られざるドイツロマン派の大作曲家ファニー・メンデルスゾーン(3)

夜を意味する は、次のようなヨーロッパ語を生みだしました。 Night(英語) Nacht(独語) Nuit(仏語) Notte(伊語) Noche(スペイン語) 19世紀になると、これらのキーワードが特別な意味合いを持って理解されるようになり、芸術家たちの創作意欲をそそるようになります。 音楽の世界では夜を想う音楽が盛んに書かれるようになるのです。 未知なるものへの憧れを特徴とするロマン派音楽は、夜という「昼間ではない」世界を特別視することにも大きな特色が

遠い国と鬱防止

藝大のなかに見えるあれ都内で最も古いレンガ建築だそうで窓の鉄の扉が耐火目的の建物ですって感じですね。 上野の杜から根津の駅の方へ歩いて行くといい感じの店がたくさんあったりもしますが ウズベキスタン料理というのがあったので行ってみた。 煮込みとかパスタとかいろいろあったけれど無難なピラフみたいなのを頼んで 後でウズベキスタン料理で検索するとこれの画像がいっぱい出て来てプロフというらしい 具として甘いフルーツが入ってたよ杏子みたいなの? なぜか頭に神社が浮かんで・・鹿がいるとこ

ショパン ワルツロ短調 楽曲分析

ここではショパンのワルツロ短調(第10番)の楽曲分析をしていきます。このページの最後ではショパンの自筆譜と出版譜を見ながら比較していきます。 1 概要この曲は1829年に作曲されましたが、生前には出版されず、死後、友人であるユリアン・フォンタナによって1855年に出版されました。ショパンは生前に発表されなかった作品は破棄してほしいと言い遺していましたが、結果的にはそれは果たされず、フォンタナはショパンの遺稿を集め、遺作として出版させることにしました。作品66(幻想即興曲)以

ツィンバロムとリコーダーによるハンガリー農民の歌

20世紀最大の音楽家の一人であるバルトーク・ベラ(Béla Bartók 1881-1945)。 ハンガリーでは日本人の名前のように、姓名の順番で名前を表します。 なのでハンガリー文化を尊重して、彼の名前はこの順番で書くことがいいですね。英語式では「ファーストネーム + ラストネーム」だけれども。 20世紀音楽を改革した三人の巨人: アルノルト・シェーンベルクは和声発展に イゴール・ストラヴィンスキーはリズム要素の活性化に バルトーク・ベラは新しいメロディの発見に

N響:ピエモンテージの圧倒的な存在感

こんにちは♪ レコールドムジークの講師です(*^^)☕🍪 今回は、N響のレポートをお届けいたします。 プログラムは以下です。 --------------------♪ ルーセル:バレエ音楽「バッカスとアリアーヌ」作品43 組曲 第1番 バルトーク:ピアノ協奏曲 第3番 休憩 ラヴェル:優雅で鑑賞的なワルツ ドビュッシー:管弦楽のための「映像」ー「イベリア」 --------------------♪ 指揮は山田和樹さん、ピアノはフランチェスコ・ピエモンテ―ジさん

聖と俗のはざまに:聖歌が聞こえてくる二つのピアノ小品

フレデリック・ショパンが愛人ジョルジュ・サンドと暮らしていた1839年のマヨルカ島で書かれた、のちの作品37として出版される二つのノクターンの最初の曲「ト短調」。 いかにも「ピアノの詩人」ショパンらしい抒情的で感傷的なメロディで開始される。 二つ目のノクターンのことはこちらに書いた。 最もノクターンらしくない古典的な第二番「ト長調」と異なり、第一番「ト短調」はショパン好きな人が期待する、ショパンらしさの全てが詰まっているような甘いメロディで開始する。 ショパン嫌いをさ

ロンドンの神童、フィールドとピント(199)

ジョン・フィールド(1782-1837)は、1782年7月26日にアイルランドのダブリンで、ヴァイオリニストのロバート・フィールドの長男として生まれました。例によって彼も神童であり、1792年3月24日、9歳のときにピアニストとしてコンサートにデビューし、地元の新聞で絶賛されています。 1793年に一家はロンドンに移住し、父親は息子をクレメンティに弟子入りさせます。クレメンティはベックフォード卿に金で買われてローマから連れてこられましたが、フィールドの場合は逆に父親がクレメ

イリーナ=メジューエワによるヴィンテージ・スタインウェイCD135リサイタル2024 in 長野を鑑賞する

本年も弊街でも公演 山猫の推し麗人ピアニストである、イリーナ=メジューエワ先生が本年も私の街の県立文化会館にいらして下さることは、もう昨年から決定しておりました。昨年分のレビューでは「音楽理論を座学できちんと補強してから、本年度分に臨む」と宣言したものの、かの「休復職」の沙汰があったために、きちんと時間を取ることが出来ませんでした。 チケットは夏のうちに、ホール事務局へ直接出かけ、対面にて購入しました。しかし、良い席のウェイトを最も多く占有していた業者は「ぴあ」さんであった

昔テレビの中に見た夢の世界へ

昨夜とてもよかったというようなことを書こうとしていたところ電話がかかってきた。 いつでもいいわけじゃないものなのに、潰され行けなくなっていた可能性もあったのか だれかが、いまここで行っておけと言ってくれた気もする。 原宿で降りて国立競技場の横の並木道みたいなのを歩いて行くと ここに出るのはなんとなく昔から知ってる。 このガラスのエントランスの前に立って憧れのあの世界はこの中にあるのかと思ったのはもう30年くらい前か 何年かかってんだという話だけど今日は中へ入る 私が音楽

24.11.1菊池亮太さまオールガーシュウィン公演お聴きして

本当に本当に素敵な公演を菊池亮太さまが行われました! それに対しての一素人のあいかわらず一方的なw個人的感想になります 専門的音楽知識なくお見苦しい点も多々あると思いますが 素晴らしい音楽をお届けしてくださった 和田マエストロさま、オケ皆さま そして菊池亮太さまへの感謝の想いと その光景にその私なりの今の気持ちを書き留められたら…と思います もしお付き合いしていただけるのであれば どうぞよろしくお願いいたします💐 これまでのガーシュウィンに対する亮太さんの歩み この

オリジナル曲「Running game」のリメイク、オルゴール版フルバージョンが完成しました!

↑こちらはショート版  この楽曲は、私が高校生の頃、「いち」という名前で音楽活動を始めた頃の作品で、当時から大切にしてきた思い出深いものです。 タイトル「Running game」は、私が好きだった長距離走のイメージから来ております。そのエネルギーが曲に込められています。 今回のリメイク版では、オリジナルの想いを尊重しつつも、実に優しい雰囲気をお届けできるよう、オルゴールの繊細な音色にアレンジしました。 制作の背景とプロセス:温かな空気に包まれながら リメイクの制作は、