ブッダのことば ― スッタニパータ (中村 元)
(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)
仏教書のうちで最も古い聖典の訳ということで興味を持って読んでみました。
一つ一つは短文ですが、注釈も含めるとなかなか読み応えがあります。
短いフレーズといいながらほとんどが難解なのですが、中には稀に、スッと腹に落ちるフレーズもありました。
たとえば、「賎しい人」について説いた章の中の一文。
これは仏教がもたらしたインドにおける最大のパラダイムシフトでしょう。
「バラモン」はカーストの最高位の司祭・僧侶階級のことですが、「行為によってバラモンとなる」というブッダの教えは、生まれにより定められる「カースト制」を正面から否定するものでした。
ブッダは「バラモン」と認めるための数々の条件を挙げていますが、そのいくつかはこういった資質です。
こういった言い方であればイメージは湧きますね。最後にブッダはこう結んでいます。
「迅速」という章で列挙されている修行者に対する説法の中にも、分かりやすく、ひょっとすると私でも努めればできそうな教えがありました。
そして、もう一つ、「二種類の観察」という章の中で、「安楽」と「苦悩」について説いている一節。
より深い解説を聞きたくなるフレーズです。
さて、本書を読み通しての感想ですが、ともかく、形ばかりは最後まで「文字」を目で追いましたが、正直なところ9割方理解できませんでした。
そもそも「仏教」思想についての基礎知識すらないレベルの私ですから、その根源思想、それも詩の形式で記されたものが分かるはずもありません。
せめて気になるフレーズの欠片でも、記憶に残ればと思います。