波のかたみ ― 清盛の妻 (永井 路子)
(注:本稿は、2013年に初投稿したものの再録です)
通勤電車の中で読む文庫本が切れたので、自宅の書棚から取り出してきました。
先年のNHK大河ドラマは「平清盛」ですが、本書の主人公はその妻時子。
武家としての平氏というより、公家としての平氏の盛衰を清盛の妻の目線で辿る物語です。
著者の語る「歴史の綾」の深遠さ、平治の乱の後、頼朝が許されて配流される日のことです。
清盛を中心とした平家興隆も、以仁王の令旨を受けたこの罪人頼朝の挙兵を機に後退・転落の一途を辿ります。
清盛亡き後、平家の棟梁は時子の息子宗盛でした。しかし、この宗盛、技量は父清盛に比べるべくもありません。
このあたりのくだりは、いかにも永井氏らしい感性の表現ですね。
実は、著者の永井路子さんと初めて邂逅したのは、もう今から40年ほど前(当時)になります。
私が中学校のとき、学校主催の講演会においでになったのです。何のお話をされたのか、残念ながら覚えてはいないのですが、穏やかさの中に何か凛々しさようなものを感じた記憶があります。
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