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あ・い・う 早春の短歌

わたしは音楽が好きです。
と同時に、音に敏感です。

先日とある方と話をしていて、日本語の母音が話題にあがりました。

あ・い・う・え・お

どれもよく響きますが、「あ」は特に力があるね。何と言っても50音の始まりだからね、そんなことを話しました。

たしかに、「あ」の響きはなにか特別な力がある。短歌を作るようになってから、それはうっすらと感じていました。

「あ」と和歌かぁ・・・
そういえば、百人一首の歌はどうだったかな?

ふと思い立って、「あ」から始まる歌が何首あるのか調べてみました。

秋の田の
あしびきの
天の原
天つ風
有明の
朝ぼらけ
浅茅生の
逢ひ見ての
逢ふことの
哀れとも
明けぬれば
あらざらむ
有馬山
朝ぼらけ
嵐ふく
淡路島
秋風に

なんと、17首も!
17 / 100という多さに驚きました。
しかも<第一番>天智天皇の歌からして、「あ」で始まります。

秋の田の かりほの庵の とまをあらみ
我が衣手は 露にぬれつつ

「あ」から始めることで人を惹きつける、また音に広がりをもたせる、そういう共通認識が王朝歌人にはあったのかもしれない。

そんなことを考えた数日後、
啓蟄は過ぎたけどまだまだ寒いなぁという日、ふと閃いて短歌を3首作りました。

なんとなくかたちが整ったので、さあnoteに投稿しようと並べてみたところ、それぞれ

「あ」「い」「う」

から始まる歌になっていたのです!

もちろん偶然ですが、それにしても・・・
ひらめきは侮れませんね。

それでは、
その<あいう短歌>を、どうぞ。



#14 あのうた

明日の空は 雨か雪かと 物思い
眠りにつく夜 静かに更ける


とある宿にて

春先、ほんの僅かな温度のちがいで雨が雪に変わります。
温度差はわずかでも、道路状況は大きく異なるので、天気予報が「雨」となっていても油断はできません。夜が静かに更けるということは、、、寒冷地にお住いの方ならきっとわかりますよね。



#15 いのうた

今はまだ 芽吹きのみどり 見えねども
まなこのかゆみ 春をしらせる


春の小川は さらさらゆくよ

春のしらせは、まず目の痒みでやってきます。
食事改善のおかげで、以前に比べれば随分と楽になりましたが、それでも多少は。嬉しくもやっかいな合図、これがなければもっと春を楽しめるんだけどな~。



#16 うのうた

うららかな 春の光に こだまする
雨どい伝う 雪解けのおと


春うらら

ひとたび陽がでれば、春の雪は勢いよく解けてゆきます。
屋根に積もった雪が水となり雨樋を流れゆく、その音が好きで、太陽の暖かさとあちらこちらから聞こえてくる雪解けの音に春を感じます。




あいう愛生
母音の響きに意識がむかう、きょうこの頃です。

自分の名前や住まいの地名など、ゆっくりと声に出して響きを味わってみるのも、またおもしろいかも知れませんね。

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