のでこ

絵と言葉と猫がすき。

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口紅を買えなかった日のこと、の続き。

少し前に、「口紅を買えなかった日のこと」という日記を書いた。タイトルの通り、口紅を買おうとデパートのカウンターに立ち寄ったものの、買えずじまいで撤退したという出来事を書いたものである。 暗い内容であったので、大声でシェアするようなものではないと思い、ひっそりと公開した。Twitterでは一応ツイートしたものの、評判もふるわず、すぐに流されていった。翌日noteを開いたときに、わずかながらに「スキ」ボタンを押して下さる方がいたことが、私の心をなぐさめた。 それからまた数日経

    • いつかの夏を生きていること

      夕暮れ、バルコニーの柵に頬杖をついて、暑さのやわらいだ街の風を顔に受ける。西側の空が薄い桃色とブルーグレーに染まっていく。 心地よさに目を瞑ると同時に、 「あぁ、今日も、家から一歩も出ることもなく、誰とも会話もせず、1日が終わってしまったなぁ」と、ぼんやり思う。 毎日が淡々と、すべるように、過ぎていく。 朝起きて、植物に水をやり、白湯を沸かし、PCを立ち上げる。寝ぼけ眼のままパジャマ姿でメールをいくつか返し、白湯を飲んでコーンフレークを食べる。掃除機を軽くかけ、机のほこりを

      • 「寂しさ」に、向き合うということ。

        駅は、散り際のお花見に集まった人々でごった返している。川沿いの遊歩道には、ずらりと並んだ屋台のケバブとフランクフルトのにおいが漂う。 自撮りをする若者たちの声が響き、犬を連れて歩く夫婦、花びらを追いかける子供たち、シャッターを切る音、それらのざわめきが4月の明るい光の中に溶けていく。 その喧騒の中を、コートのポケットに手を突っ込んだまま、ぷらぷらと歩く。まだ、風は少し頬に冷たい。 この街に引っ越してきたのが約一年前。あの頃もちょうど桜の時期だった。 秋に出会い、冬を一緒に

        • 花柄のワンピースと水族館

          秋の風が窓を吹き抜けて カーテンを揺らす 重たい瞼をこすり、久しぶりの快晴の土曜日に 洗濯物を済ませておかなくてはと、スイッチを入れる 小さな部屋の小さなベランダから これまたビルとビルの間に 小さく切り取られた青空を見ている 駅前に高く伸びているオフィスビルが、ガラス張りの壁面いっぱいに 青空を反射して、雲がゆったりとその背景を動いていく 物干しにゆれる、花柄のワンピースに目を落とす 9月の終わりに 久しぶりのデートのために新調したもので 前日、ファッシ

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        口紅を買えなかった日のこと、の続き。

          彗星とロールケーキ

          学生のころ、お互いにいいなと思いながらも、 結局付き合うことのなかった人と、数年ぶりに会うことになった。 大学1年、18歳の頃から続く時系列のなかに、 私たちの記憶は、「線」ではなく「点」で、ぽつぽつと残されている。 それは、お互いに当時別々の恋人がいたから、ということもあるし、立て続けに会うとどちらかの気持ちが大きくなりそうで、もう一方が距離を置く、みたいなことを繰り返していたからでもあった。 「はじめて飲みにいった時は、鍋料理を食べに行ったよねぇたしか」 「そうだ、

          彗星とロールケーキ

          海へ行った話。

          海へ行ってきた。 快晴の続く、ゴールデンウィーク。飛び石のカレンダー通りに仕事をして、特段大きなイベントや行楽も無く、もう連休は終わろうとしていた。金曜日の夜。 ベランダに吹く夜風は穏やかで、東京の夜空にもちらちらと星が光っていた。天気予報によれば、明日もよく晴れて行楽日和になるらしかった。 スマホに表示された「晴れ」のマークを見て、私はおもむろにソファから立ち上がり、トートバッグにタオルとビーチサンダル、レジャーシートと日焼け止めを放り込むと、目覚ましをセットして

          海へ行った話。

          特別な、何かになりたかった

          小学校2年生だったと思う。 文集に載せるから、将来の夢を書きなさいと言われ、カードが配られた。 私は、机の上に乗った真っ白な紙を見つめてしばらく悩んでから、 こっそりと「魔女になりたい」と書いた。 「ケーキ屋さんになりたい」「サッカー選手になりたい」「アナウンサーになりたい」クラスメートたちの朗らかな夢に挟まれて、私の「魔女になりたい」という一行も、文集に印刷された。口にしてはいけない呪文を言葉にしてしまったかのような、背徳感と、高揚感があった。 そのときは、まだ魔法を

          特別な、何かになりたかった

          待ち遠しい

          「待ち遠しい。」 それは、ドキドキと、ワクワクと、 その後ろに隠れた"切ない"が混じり合った、放っておけない感情だと思う。 楽しみにしている予定があって、 その日を指折り数えているとき。 会いたい人がいて、だけれどまだ会えなくて、 その人の姿をまぶたの裏に思い描くとき。 好きな物語の続きが読みたくて、 次の連載まで、何度も今月のぶんを読み返しているとき。 それは、じれったくて、 胸の奥がむずむずとするような時間。 だけれど、そうやって何かを待ち焦がれている時間は、

          待ち遠しい

          口紅を買えなかった日のこと

          私は口紅を一本も持っていない。 グロスや、わずかに色のつくリップクリームの類は持っているけれど、いわゆる「ルージュ」と呼ばれるような、正式な口紅といえるものは所持していない。 口紅は、いつか大人になったら買うものだという意識があったからかもしれない。仕事ができて、知性をまとっていて、所作が美しく、それまでの人生で得た経験の深みを佇まいから感じさせるような、「大人」の女性。 だから、まだ私には早いだろう、まだ口紅の似合う「大人」ではないんだから、と口紅を買うことをずっと先

          口紅を買えなかった日のこと

          ゆるいねこまんが パート4 〜 クリスマスver 〜

          ゆるいねこまんが パート4 〜 クリスマスver 〜

          猫ゆるゆるまんがパート3

          猫ゆるゆるまんがパート3

          叫び、について

          叫びたい、という衝動に取り付かれている。 叫びたい。 とにかく大声で叫びたいのだ。 「わああああああーーーーー!!!!」とか、 「アーッッッッッッッッッ!!!」とか、 「ウワァああああああああーーーー!!!」とか。 この衝動は、昨晩、突如生まれた。 いつものように、夜中の12時をまわったころに仕事を終え、自宅へと自転車で帰る途中に(私の家と勤め先は自転車で10分という奇跡の近さである)、突然叫びたくなったのである。大きな声で。思いっ切り。 海などに向かって、腹から声を

          叫び、について

          ゆる猫8コマまんが その2

          ゆる猫8コマまんが その2

          ゆるい8コマまんが

          ゆるい8コマまんが