いつかの夏を生きていること
夕暮れ、バルコニーの柵に頬杖をついて、暑さのやわらいだ街の風を顔に受ける。西側の空が薄い桃色とブルーグレーに染まっていく。
心地よさに目を瞑ると同時に、
「あぁ、今日も、家から一歩も出ることもなく、誰とも会話もせず、1日が終わってしまったなぁ」と、ぼんやり思う。
毎日が淡々と、すべるように、過ぎていく。
朝起きて、植物に水をやり、白湯を沸かし、PCを立ち上げる。寝ぼけ眼のままパジャマ姿でメールをいくつか返し、白湯を飲んでコーンフレークを食べる。掃除機を軽くかけ、机のほこりを