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短歌・俳句

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#俳句

和歌おきば 2020-09 (降順)

短歌かりの世になにかつとめむいやひけに暮るるのはやき秋のすき風

連るる友なき浅煎りのカップごし土鳩は秋をのし歩きたり

いねがてに秋の夜ふけてなに思ふおどろの蟲の音こそ高かれ

ひとり寝に秋風のしむ宵の空いまだのぼらぬ月ぞ恋しき

吹く風も虫の遠音も秋さびてひとりおくるるわが身なるかな

いざよひのおなじ雲ゐとみる月よいざ言伝てむけふも生けりと

寝どころの鳥や見るらむあしひきの山ぎはに出づる待

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和歌おきば 2020-08 (降順)

短歌ゆく道の夕日の一縷うつせみの地にあがけるをいま照らさなむ

山の日の暮れゆく方になく蝉のいのちの声のにじむ雲かな

うつし世のうた如何ならむ原爆忌のしじまをわたるうつせみのこゑ

コンビニへ向かふ生足むばたまの夜風と触れて八月になる
      (※ cognacさん@qnnosiの詩想をお借りした歌)

俳句雁振の鳥は去りたり秋の風

夕梵や秋蟬どもの果つる庭

和歌おきば 2020-07 (降順)

短歌へた詠みの身ぞわろからじあめつちのあの字のとほき十三ヶ月

弁当のまへのなげきや誰に来む雨のわだちに果つる割り箸

ならびたる黒山のみついかにせむ抹茶ババロアあきらめて帰る

ながめふる徳ぞあるらし軽鳧子の見まもられたるにはたづみ出でぬ

この世にもよしとぞ言はむよき道を聞きてし散るや八重の槿

梅雨やめろ ながめのうちにくれ竹のうきふしばかりしげらざらなむ

かけたれどなほきてもみぬ夏衣うす

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和歌おきば 2020-02 (降順)

短歌何処にか宿定むらむ後苑の緋桜つきし独り山鳩

ひとことに縮むわたしの心室の肉柱なぞる指じっと耐ふ

歯垣より飛びぬることば飛びきりの翼あげられなくてごめんね

果つる日もひとりならむか寒晴の冬芽あふぎてベーグルがぶり

眠られぬまま東より事切るる夜の今際をただ見送りぬ

とくべつな朝だからまたつくらうかいつか消えちゃふ雪うさぎたち

今日じつは休日ではとカレンダーみては平日みては現実

世界

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和歌おきば 2020-01 (降順)

短歌まぜそばも食べなば食べね舌鼓しらぬこころの弱りもぞする

あつあつの紅茶つめたるマイボトル机にたてばきゅうきゅう鳴きぬ

年ふるは木にならふべしをしけくもなく散らしてぞ春よみがへる

泥んこに尾を曳くぞよきただ繁く国にてとれる果実はたまへ

いきほひに投げたるリプをふりかえり消すも消さぬもなやましき午

いつもならウニャウニャしたるスヌーズが今朝はウオウオ珈琲タイム

求むればまよふ羊も幸あら

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和歌おきば 2019-12 (降順)

短歌新春のはがきの給ふ人やあらむゆくりなく読む年こしデリダ

など急きて日を追ひぬらむ二日月くるるもをしき年のすゑかな

福袋さげて未来のドーナッツ二十個ぶんだけ最強のわたし

陰きはめ落ちつくしゆく公孫樹葉のつもれる街は雨にぬれつつ

黄にくくる公孫樹並木の郵便のくるま立ちては舞へ落ち葉たち

風さゆる家路にちがふ幼な子のおういと呼びし月ぞあふげる

物思ふ心の隈も照らまほし雲居に澄める暮の望月

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和歌おきば 2019-11 (降順)

今月はやや少のうございました

短歌うき人もうましとうけてうなるらむウニはうつくしうき人うたへ

ナトリウム燈の黄色の暮六にことしも来たる冬をしるかな

はるかにも寒夜にみてる月かげはおなじ心にながめざらめや

さゆる夜のねまきに羽織るダウンウェア頁めくればしゃらといふ音

文机に蝟集せし書の註(ちゅう)みれば読みたき本のねずみ算かな

惜しめども経ぬる杪秋われも彼もréalité(レアリテ)だま

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和歌おきば 2019-10 (降順)

短歌くみしなん 楼閣の卿(けい) かぐわしう 王気(わうけ)立ついろ のぞむ雅会は(黒川伯爵のハロウィンナイトに寄せる沓冠)

心ある人や見つらむたまほこの石もシュヴァルの宮のひとかけ

目のあふて請けにしパイのあたたまるそばに珈琲からから挽けり

玉かぎるほのかに櫨の下葉より暮れぬる秋の色をしるかな

いづくにか我もさかゆく国あらむ——汝のゐぬところそこに幸あり(「さすらい人」に寄せる)

つき

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和歌おきば 2019-09 (降順)

短歌緋のたてる秋の彼岸の池の端の藍もしらなむその露草を

初鴨と化して寝ましを阿亀笹おふる丘辺のみづぼれ石に

道芝のあをに立ちたる曼珠沙華よりてぞみれば蟻もよんひき

古池にあそびたるこひめづる君そのただむきの筋もいとほし

三冬の身にもあはれは知られけりひかる綾子のくれなゐの文

まみえてし言ひまがへけるひばんがな咲くまでしれぬ陰路わきかな

あが君や善悪(さが)の彼岸にときわけてぬれたる秋の

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短歌と俳句(もどきを含む)おきば 2019-08 (降順)

短歌よそかぶんねやになじめるオオサンショウウオぬいぐるみ抱へつなでつ

ふるりほよむにょりそろそろはむりあむもにもにでかい蕨餅くふ

ざぶりてふふたりむすべるうたかたのいまにきゆともともにゆきなむ

ふろあがり雲夜にホァとあくびしてからすのアァとまざりあひたり

人もなくゆあんゆよんと鞦韆のさだまらぬ身をひとりか曳かむ

のぞみてふあだ花ならばことごとく散らせ秋風われうづむほど

うつせみのこゑぞ

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俳句と俳句擬きおきば 2019-06-28/07-31 (降順)

パンケーキこなこねもたりもたりかな

けふまでの身かはバナナがまだ五房

ゆだれるをホイとふるはし三光鳥

空蝉をあつめて涼しキムワイプ

ぼんぼりと蓮華升麻や夏木陰

ねとぼけの耳も立ちたり三光鳥

朝涼ねやさびしきの寝癖かな

肘雨に三億年の寄羽かな

あさてこそ浴衣おろさめ瑠璃茉莉

山法師はたの床屋の入りもよし

ふみをかきなづむ三光鳥のなく

傘たたみ夜参りに咲む烏瓜

しら雲に子つばめ

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