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作品と制作

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過去の作品の紹介を兼ねて、作品と作品制作に関わる短い文章を載せています。
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#しあわせな犬

春の色

春の色

写真の経験をベースに

箱根のポーラ美術館の彫刻「しあわせな犬」(2016)の周りに、インスタレーションを作るようになって8年。今回は、美術館の企画展が「色」のテーマ。自分の過去の色にまつわる職業体験を作品にしてみたい、というのがまず頭に浮かびました。

もう20年以上昔になりますが、美大で写真と動画を勉強していたこともあり、動画を撮影した写真や、写真そのもののレタッチのお仕事をしていたことがあり

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インスタレーション作品:龍脈 (りゅうみゃく)2023-2024

インスタレーション作品:龍脈 (りゅうみゃく)2023-2024

以前にも書きましたが、学生時代は音楽のPVやCMを作る人になりたくて、映像の勉強をしていました。その映像を制作していた頃から、ずっと一貫して研究してきたテーマがあります。

それは「人の自然な感覚、知覚を導きだす数値を探る」というものです。

一言で「自然」というと自分の外にある大いなるもののイメージですが、私は人間もまた自然の一部と捉えているので、そうした意味での「自然」の中には、共通で呼応する

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春の慶び(はるのよろこび)2022-2023 

春の慶び(はるのよろこび)2022-2023 

今年も年末年始、箱根のポーラ美術館「しあわせな犬」彫刻周りに期間限定のインスタレーションを制作させていただきました。

美術館のメイン展示は「ポーラ美術館20周年記念展 ピカソ 青の時代を超えて」。

よく取り上げられているピカソの独創性のみならず、どういった人物の影響でどのように作風が変わっていったか。青、と一言で言ってもどのように青の色が作られているか、どのようにあの独特な構図や作品は作られて

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見えないものに目を凝らす

見えないものに目を凝らす

niŭ 「しあわせな犬」2021-22年 冬季 インスタレーション

見えないものに目を凝らすEyes on the invisible(2021)

新年に向けて、「目に見えないけれど存在するもの」のイメージで「しあわせな犬」の周りにインスタレーションを制作しました。コロナがいまだ収束し切らない現状。漠然としたお祝いではなく、新年への希望を込めて。

多くの人が今、静かに、でも確かに、感じている

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春を待ちながら

春を待ちながら

12/23より箱根のポーラ美術館にて、年末年始の特別インスタレーション「春を待ちながら」が公開となりました。

この企画は今年夏頃から準備を進めました。外出に諸々規制のかかる昨今ではありますが、強い思いと願いを込めた作品が箱根にある、と思っていただけるだけでも嬉しいです。

写真と、作品のそばに添えたことばを掲載します。

「しあわせな犬」冬季 インスタレーション

春を待ちながら

2017年か

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[ 19,17,15,13,11,9,7,5,3,1 ]

[ 19,17,15,13,11,9,7,5,3,1 ]

[ 19,17,15,13,11,9,7,5,3,1 ]は、2019年12月から2020年1月までポーラ美術館の彫刻「しあわせな犬」のまわりに干支飾りを兼ね「ねずみ」100匹制作し、配置したインスタレーション作品のタイトルです。

ねずみの最も美しい並べ方を考えたときに、学生時代に習った等差数列を思い出しました。ねずみは三角形を描きながら、1匹から2匹ずつ増えて10列目で100匹になっています。

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「しあわせな犬」

「しあわせな犬」

ひとつでも多くの生命が、心と身体の自由を得て、しあわせな時間を過ごすことができますように。犬も猫も野生動物も、そして人間も。

May more and more animals be blessed with mental and physical freedom and live a happy life.Dogs,Cats,Wild Animals,and Humans,too.

箱根のポ

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作品とは、レポートだと思う。

作品とは、レポートだと思う。

作品って、そもそも何でしょう?

私の場合は長年、作品=(イコール)「締切と課題のある制作物」でした。学生時代の課題尽くしの影響なのか、しばらく「作る側」を離れ、30歳を機に再び作品を作るようになってからも、「作りたい」とか「作らねば」という熱い気持ちとは別に、いつも大量の課題の達成と締め切りにばかりに追われて追い詰められて、気がつけば雲を掴むように見失いかけてしまうのが、そもそもの「作品を作

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