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作品と制作

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過去の作品の紹介を兼ねて、作品と作品制作に関わる短い文章を載せています。
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記事一覧

インスタレーション作品:龍脈 (りゅうみゃく)2023-2024

インスタレーション作品:龍脈 (りゅうみゃく)2023-2024

以前にも書きましたが、学生時代は音楽のPVやCMを作る人になりたくて、映像の勉強をしていました。その映像を制作していた頃から、ずっと一貫して研究してきたテーマがあります。

それは「人の自然な感覚、知覚を導きだす数値を探る」というものです。

一言で「自然」というと自分の外にある大いなるもののイメージですが、私は人間もまた自然の一部と捉えているので、そうした意味での「自然」の中には、共通で呼応する

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「りぼんなんて大きらい。」 展

「りぼんなんて大きらい。」 展

"りぼんなんて大きらい”

”動きにくいしうっとうしいし”

”みんなかわいいかわいいってほめてくれるけど”

”ちっともうれしくなんかないわ”

私自身が子供の時、着せ替え人形のように服を着せられることが大きらいでした。大人になった今も、汚れたって破れたってかまわない動きやすい服が好きです。

これまで一緒に暮らした猫の中には、りぼんをつけると得意満面で喜ぶ子もいましたから、犬や猫にも個人差があ

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自然の光を映し出す球

自然の光を映し出す球

昨年からインスタレーション作品の構成パーツとして制作している球は、電飾ではなく自然の光で色が変わる球体を作ってみたくて、できました。

晴れの日も曇りの日も、太陽の赴くまま、「今ここにある光」を映し出します。

※現在箱根のポーラ美術館にて期間限定インスタレーションとして2023年1/15まで公開中。「しあわせな犬」の彫刻を取り囲んで春の息吹が湧き上がるイメージで配置しました。

春の慶び(はるのよろこび)2022-2023 

春の慶び(はるのよろこび)2022-2023 

今年も年末年始、箱根のポーラ美術館「しあわせな犬」彫刻周りに期間限定のインスタレーションを制作させていただきました。

美術館のメイン展示は「ポーラ美術館20周年記念展 ピカソ 青の時代を超えて」。

よく取り上げられているピカソの独創性のみならず、どういった人物の影響でどのように作風が変わっていったか。青、と一言で言ってもどのように青の色が作られているか、どのようにあの独特な構図や作品は作られて

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写真と映像による作品 「Circa(キルカ)」

写真と映像による作品 「Circa(キルカ)」

3/16(水)より東京・恵比寿で開催される絵本のギャラリーMalle企画の合同展「物語を紡いで〜列車の旅〜」に参加します。テーマは、列車の旅、です。

立体作品を展示予定でしたが、年末に利き手を傷めてしまい、急遽以前から温めていた写真と映像の展示に変更しました。

モデルの仕事をしていた1996年~2001年にフィルムで撮影した写真をジークレープリントしたものと写真をアルバムとしてまとめたZINE

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見えないものに目を凝らす

見えないものに目を凝らす

niŭ 「しあわせな犬」2021-22年 冬季 インスタレーション

見えないものに目を凝らすEyes on the invisible(2021)

新年に向けて、「目に見えないけれど存在するもの」のイメージで「しあわせな犬」の周りにインスタレーションを制作しました。コロナがいまだ収束し切らない現状。漠然としたお祝いではなく、新年への希望を込めて。

多くの人が今、静かに、でも確かに、感じている

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うつくしい、ことば。

うつくしい、ことば。

文字がなかった時代、あまり普及していなかった時代に作られたものに、とても惹かれる。

誰かが誰かに何かを伝えたくて描いたのであろう壁画、なんのために作られたのか、もはや定かではなくても、誰かが作り、別の誰かが大切にしてきたもの。

大聖堂の聖人たちに限らず、野山のあちこちに見られる道祖神や、お地蔵さんや、狛犬は、苔むしながらも誰かの思いで特別な意味を持ち、大切にされてきた。それが何であれ、私はただ

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小さなバラは。

小さなバラは。

大学で映像を学び、現在は立体作品平面作品どちらも制作しますが、私にとっての創作活動の原点は詩作でした。彫刻や立体作品に目覚める前は、本気で詩人になりたいと思い、10代の半ばごろは、歩きながらもずっと詩を書いているほど文字やことばの美しさに取り憑かれていました。今も作品に言葉を必ず添えるのは、どんなジャンルの作品を作っていても、やはり自分の原点は詩でありことばだとの意識があります。立体も平面も、いわ

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春を待ちながら

春を待ちながら

12/23より箱根のポーラ美術館にて、年末年始の特別インスタレーション「春を待ちながら」が公開となりました。

この企画は今年夏頃から準備を進めました。外出に諸々規制のかかる昨今ではありますが、強い思いと願いを込めた作品が箱根にある、と思っていただけるだけでも嬉しいです。

写真と、作品のそばに添えたことばを掲載します。

「しあわせな犬」冬季 インスタレーション

春を待ちながら

2017年か

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存在と身体。

存在と身体。

今回は、非公開のFaceBookに2014年に書いた記事からの再掲載です。

「独学で彫刻やってます」とは言っても、動物や虫や植物など愛情を感じるものしか作ってこなかった。

彫刻を基礎から学んでいる方々にしてみたらあり得ないことかもしれないけれど、この土日から初めて(石膏像でない)生身の人間の裸婦をクロッキーの上、塑造するということをしている。

私が初めて向き合う裸婦さんは、びっくりするほどお

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空に焦がれた記憶

空に焦がれた記憶

不思議な夢を見ました。

「願いごとはアップデートされなければならない」

環境が変わっても、生き物は大昔から体の形や機能までも作り変えながら、生き延びてきた。力のあるものが生き残ったわけではなく「今」に適応できたものだけが生き延びた。新しい環境で「より良くなること」を強く願った者だけが生き残って来れた。だから、状況に応じて願いごとはアップデートされなければならない。

そんな夢でした。

コロナ

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犬と猫の小さな絵

犬と猫の小さな絵

犬や猫、動物が一番かわいいのは、どんな時?

私は、何より安心し切って自分の意志で思い切りくつろいでいる時だと思います。

私は生まれた時から犬がいる環境で育ちました。はじめは私自身が幼すぎて、犬にかまってほしいばかりに他愛のないたずらを色々としました。しっぽをそっとひっぱったり、頭や背中にお人形とか小さなものを乗せたり、急にわーっと突進して行ったり。3〜4歳くらいの時のことです。そっとしっぽの先

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[ 19,17,15,13,11,9,7,5,3,1 ]

[ 19,17,15,13,11,9,7,5,3,1 ]

[ 19,17,15,13,11,9,7,5,3,1 ]は、2019年12月から2020年1月までポーラ美術館の彫刻「しあわせな犬」のまわりに干支飾りを兼ね「ねずみ」100匹制作し、配置したインスタレーション作品のタイトルです。

ねずみの最も美しい並べ方を考えたときに、学生時代に習った等差数列を思い出しました。ねずみは三角形を描きながら、1匹から2匹ずつ増えて10列目で100匹になっています。

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月の光と黒い犬

月の光と黒い犬

写真の絵は、いつか月の光の下で見た梔子(くちなし)の花の絵。強い芳香を放ちながらゆっくり開いていく様子を描きました。

2003年の年末から愛犬と1日2−3回の散歩をするようになって、昼も夜もゆっくりと季節を楽しむ生活が訪れました。特に日中だけでなく夜も開いている花というものに、とても惹かれました。とりわけ月光に照らされて甘い香りを放つ梔子は、本当に美しかった。

もともとは海辺の放浪犬だったP(

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