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写真整理 Ⅺ 〜懐かしの台湾写真〜
どうも西尾です。
今日の大阪の天気は晴のち曇・最高気温12℃の予報(Yahoo!天気より)で、過ごしやすい一日となりそうです。
写真整理 Ⅺ
〜懐かしの台湾写真〜
借りた自転車は車輪が小さいタイプの自転車であった。
ママチャリやマウンテンバイク、ロードバイクとは違って車輪が小さい自転車というのが花蓮の街に合っているように思う。
まさか台湾で自転車に乗るとは思いもしなかった。
私と彼女は自転車を漕ぐ。
前を走るのは台湾人の彼女だ。
私はその後ろについて走る。
こういう時は現地の人に先導してもらう方がいい。
途中で逸れたりしないように彼女の背中を見て走るも、その背中以上に花蓮の雄大な自然の姿に目を奪われてしまう。
自転車を漕ぎながらも視線は右へ左へ動かして大忙しであった。
海岸線付近まで出てくると波の音も聞こえてきた。
すごく優しい波の音で心が癒された。
海岸線に遊歩道が整備されていたのでそこを走った。
途中で台湾人の彼女の声が聞こえてくる。
しかし何と言っているのかが聞きとれない。
彼女の声は波の音と潮風で消し去られた。
彼女もこの美しい景色に感動しているに違いないと思った。
お互いの自転車は付かず離れずの何とも言えない距離を保ちながら海岸沿いをひたすらに走る。
それはちょうどお互いの声が聞こえるか聞こえないかの狭間であった。
私は連れて来てくれてありがとう、と言った。
伝わっていたのかどうかは分からない。
伝わっていて欲しいと願う。
照れもあったのかその後は面と向かって言うことが出来なかった。
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ある程度走った所で漕ぐのをやめて自転車から降りる。
足を地につけてその景色を見渡してみると、そこには何とも美しい景色が広がっていた。
陸側に目を向けると標高の高い山々が花蓮の街を取り囲むようにして寝そべっている。
海側に目をやると、どこまでも果てしなく続く大海原が広がっていた。
何とも幻想的で美しい光景であった。
この海の先はどこへ続くのだろうか、そんなことを考えていた。
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太陽が大海原を照らす。
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太陽によって大海原に一筋の光の回廊が出来ていた。
どこへ導いてくれるのか。
手を伸ばしたくなった。
何だかエネルギーを貰っている気分になり、心が綺麗さっぱり洗い流された感じである。
光の回廊は永遠と果てしなく続いている。
船は光の回廊をひたすらつき進むのかもしれない。
何かを求めて、何かを探して、何処かへ行ってしまう。
そう思うと急に寂しさのようなものが込み上げてくる。
私を置いて何処へ行くのかと問いかけたくなった。
その時、台湾人の彼女の声が聞こえて我に返る。
まるで彼女に連れ戻されたような感覚であった。
雄大な山々と何処まで広がる大海原の前では人間は自然に飲みこまれてしまうのかもしれない。
雄大な自然の生命の鼓動には敵わない。
この景色を見ると人間なんて本当にちっぽけな存在なんだなと思った。
台湾人の彼女と大海原を見ながら話をした。
最近の流行りの曲や映画のことなど、たわいのない話をした。
今台湾では日本の映画『恋空』が流行っているだったり、Sam Smithの『Stay With Me』が流行っているなど教えてくれた。
私も恋空については知っていたが、実際に見たことは無かった。
Sam Smithの曲は日本でもラジオ番組で流れていたので、私も知っていた。
2人でイヤホンをして聴いた。
Oh, won't you stay with me?
'Cause you're all I need
2人で歌詞を歌った。
それだけで十分であった。
海岸で2人、束の間の時間を過ごした後は自転車を漕いでまた宿へ戻った。
私はこの日で花蓮を離れるつもりであった。
宿に戻るとイタリア人たちはお喋りしながら寛いでいた。
宿に戻り自転車を返し、私は宿泊していた方の宿に荷物をとりに帰った。
宿で荷物をとりチェックアウトし、神戸出身のお姉さんにも最後に挨拶をした。
どうぞお元気で。
お互い関西なのでまた日本で会うかもしれませんね。
なんて言葉を二、三だけ交わして宿を出た。
宿の隣のお茶屋さんのご主人がお店の前に立ち私を見ていた。
まるで見送りをしてくれているようだった。
イタリア人たちの宿泊している宿に着くと、彼らもまた私を駅まで見送るために準備をしていた。
こちらの宿のご主人にも色々とお世話になったのでお礼を述べた。
私とイタリア人にカナダ人、台湾人の彼女の4人で駅へ向かった。
駅へ向かって歩いている時に見た花蓮の山々に淋しさを感じた。
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駅に着くと多くの人で混んでいた。
売店には行列が出来ており、見送りに来た人も多かった。
今回は窓口に並んで電車の切符を購入した。
台湾人の彼女が一緒に並んでくれたので、窓口の係員ともやりとりをしてくれた。
最後の目的地である台東までの切符を購入出来た。
今度はきちんと座席も指定できたが特急では無かった。
より停車駅の多いタイプであった。
異国の地で電車旅が出来ると思いそれはそれで良かった。
電車の時間が近付いてきた。
私たちは別れの挨拶をした。
本当にありがとう。
イタリア人とカナダ人と固く握手をし、台湾人の彼女と身を寄せて抱きしめた。
改札口に入り手を振りながら乗り場へ向かう。
3人の姿が見えなくなった途端に目頭が熱くなった。
花蓮でも多くの人にお世話になった。
駅のホームで感じた花蓮の匂いは、初めて花蓮に着いた時に感じた匂いと同じであったが、私の中では特別な匂いとなった。
ホームに案内のアナウンスが流れてきた。
相変わらず何を喋っているのか理解はできないが電車がやってくるということだけは分かった。
少しして電車がゆっくりとホームに滑り込んでくる。
これが私の乗る電車。
特急自強号より一段と古い車両であった。
自分の座席に座り車内を見渡すと乗車している人は疎らだった。
またゆっくりと動き出す。
徐々に花蓮の街並みが遠のいていく。
なるほど。
イタリア人が言っていた、台湾は西海岸より東海岸の方が良いというのはこういうことなのかとその言葉を思い出していた。
速度もそこそこで走り続けると、いつの間にか街から郊外に出ていた。
郊外に出ると畑が多く、所々に集落が点在している。
停車駅の多いタイプであるため途中駅で停車する。
乗降客は少ない。
駅のホームには日焼けした肌の似合う駅員が旗を持って合図を送っていた。
また電車はゆっくりと動き出した。
レールと車輪の擦れる音、レールの繋ぎ目を通過した時の音がどれも新鮮だった。
また途中の駅で停車する。
すると隣の席に地元の人と思われる男性が乗車してきた。
男性は50代か60代くらいだろうか。
こちらに話しかけてくることは無かったが、ひたすら何かを呟いている。
小声で、現地の言葉で。
何を呟いているのかわからない。
この男性の呟き声を鉄道旅のバックミュージックにして車窓の景色を楽しんだ。
次の目的地である台東は花蓮よりさらに南へいく。
気候もさらに暖かくなるため車窓の景色も南国感が溢れてきた。
車窓から見える植物の感じや住宅の造り、人々の服装からそれを感じとれる。
バナナだろうか。
葉の大きな植物をよく目にするようになった。
椰子の木のように背の高い樹木も増えてきたように思う。
線路沿いの畑で作業する人たちは半袖だった。
日焼けで肌が黒くなっている。
旅番組などで東南アジアの人たちが三角形の麦わら帽子を被っているのをよく見るが、まさしくそれを被って畑作業に精を出している。
私はその光景をしっかりと目に焼き付けた。
この鉄道旅でしか味わえないことかもしれない。
台東までの道のりは未だ道半ばであった。
私の乗る電車は相変わらずそこそこの速度で走っている。
のんびりとした時間が過ぎてゆく。
いつの間にか日も傾き出した。
明るいうちに台東へ到着できると良いなと思いながらも、のんびりとした鉄道旅を楽しんだ。
台東まであと少しである。
続く。
以上になります。
お読みいただきありがとうございました。
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