にら

イマーシブシアター(DAZZLE、ムケイチョウコク、泊まれる演劇、ego:pression、daisydoze・・・)、時々インド映画。 心揺さぶられるものに出会うと長文を書きがちです。

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イマーシブシアター(DAZZLE、ムケイチョウコク、泊まれる演劇、ego:pression、daisydoze・・・)、時々インド映画。 心揺さぶられるものに出会うと長文を書きがちです。

マガジン

  • 『Venus of TOKYO』考察・感想

    2021年から2022年にかけてお台場で上演されていた、ダンスカンパニー「DAZZLE」による日本初の常設イマーシブシアター 、『Venus of TOKYO』 に関する考察や感想の記事をまとめています。

最近の記事

イマーシブシアターと自由

先日、イマーシブシアターの魅力について語るnoteを書いた。 この世界に少しでも多くの人が出会ってほしいという願いを込めて、自分が思うイマーシブシアター世界の魅力を7つに分けて、自分なりに言葉を尽くして紹介した。 このnoteを書く作業は楽しかった。自分の中の熱い思いを取り出して眺めながら、誰かに届くようにと言葉を与えて整理して記していくのは楽しい。大好きな作り手や作品たちのことも例として紹介できたのも嬉しかった。 楽しく書き進めながら、しかし同時に、誰かにおすすめするた

    • 泊まれる演劇という世界の優しさについて〜『Moonlit Academy』を振り返りつつ

      3月に参加した泊まれる演劇『Moonlit Academy』のことを主に構造や演出の面から振り返りつつ、泊まれる演劇という世界の優しさに改めて感謝するnoteです。 ※終演後、公式にネタバレは全解禁されていますが、今後の作品でも使われるかもしれない演出についても一部触れていますのでご注意ください。 「今回の作品のノリには、もしかしたら着いていけないのではないか」 『Moonlit Academy』を最速抽選で予約したあと、徐々に作品の情報が出てくる中で抱いていたのは、正

      • 【泊まれる演劇】雨色の思い出の欠片【アーカイブ】

        ※ふせったーに投稿した過去記事を、アーカイブとしてnoteに投稿しています。 泊まれる演劇 『雨と花束』に参加した夜の断片的な思い出と、作品を貫いて感じられた「存在の肯定」。誰もが意味を免れ、「物語のための犠牲者」となることなく等しく尊重され、慈しまれ、存在を肯定されるということ。 ある日郵便受けに入っていた、一通の手紙。 花の閉じ込められた、透き通った封蝋。 開いてみると、親しみのある、でも少しだけ突き放したような、手書きの文字が並んでいた。 お久しぶりです、お元気で

        • 歯医者を吹き抜ける「あいてください」の軽やかさについて

          定期検診のために歯医者に行った。歯医者が好き、ということもなかなかないと思うのだけれど、自分は数年前から通っているその歯医者が好きだ。 こぢんまりとしたサイズ感、院内の清潔感や明るさ、日当たりと風通し、若い先生が淡々と確実に事を進めてくれるのも好き。そして何と言っても立地が良い。目の前が田んぼ。遮るものは何もない。 4月のこの日も、網戸からは夏の予感さえ感じさせるふくよかな風が心地よく吹き込み、院内を軽やかに通り抜けていた。気持ちの良い曲線を描く診察スペースの椅子に深く腰掛

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        • 『Venus of TOKYO』考察・感想
          8本

        記事

          【ego:pression】2022/8/13ソワレに参加した「RANDOM18」の感想【アーカイブ】

          ※ふせったーに投稿した過去記事を、アーカイブとしてnoteに投稿しています。 ego:pression「RANDOM18」 8月13日(土)ソワレ 台風 ※ネタバレがあります。 スケジュール上一回しかチケットが取れず、その一回は直感でカメラマンの赤梨さんの物語を追いかけることに決めた。 途中一瞬見失う時間はあったものの100分間追い続けた結果、もう赤梨さんのことが大好きになってしまった。 もう公演を見に行くことはできないし、配信もアーカイブもきっとないし、とい

          【ego:pression】2022/8/13ソワレに参加した「RANDOM18」の感想【アーカイブ】

          【Venus of TOKYO】Venus of TOKYOとの短くも濃密な物語。大千穐楽を終えて、明日からも現実世界を生きていくためのまとめ【アーカイブ】

          ※ふせったーに投稿した過去記事を、アーカイブとしてnoteに投稿しています。 ダンスの公演を見に行ったことがなかった。 DAZZLEという名前を知らなかった。 イマーシブシアターという言葉を知らなかった。 知り合いの知り合いの知り合いから教えてもらった知り合いの知り合いから教えてもらって観に行ったその知り合いから、閉館間際のヴィーナスフォートで上演されている「Venus of TOKYO」というイマーシブシアターについて聞いた。 なんとなく面白そう、と思ったが、すべてがネ

          【Venus of TOKYO】Venus of TOKYOとの短くも濃密な物語。大千穐楽を終えて、明日からも現実世界を生きていくためのまとめ【アーカイブ】

          【Venus of TOKYO】Twitterのホームタブに寄せて、プラットフォームとVenus of TOKYO【アーカイブ】

          ※ふせったーに投稿した過去記事を、アーカイブとしてnoteに投稿しています。 先日人と話していて、かつて二次創作は個人が構築したホームページにそれぞれ載せられていたけれど、今はTwitterとpixivに集約されてしまった、結果、「推しジャンルの神」が生まれた、という話を聞いた。 個人のホームページに載せられた創作物は、載せ方も見せ方も様々、見る人はリンク集を辿るなどしてホームページを訪問して見に行くしかなかった。 感想はBBS(電子掲示板)に書き込むしかない。それもホー

          【Venus of TOKYO】Twitterのホームタブに寄せて、プラットフォームとVenus of TOKYO【アーカイブ】

          【Venus of TOKYO】贋作家とゴッホ【アーカイブ】

          ※ふせったーに投稿した過去記事を、アーカイブとしてnoteに投稿しています。 ※もう終演した公演ですが、一応ネタバレがありますのでご注意ください。 あまり推敲できていないので読み苦しいかもしれませんが、もしご興味があれば。すべては妄想です。制作側の意図とは無関係に、こういう視点で見ると楽しい、という話です。 以前、金田贋作家と菅野鑑定士の関係沼について描いた時にも触れたことの続き。 https://fusetter.com/tw/KdchZooa 贋作家は、演じる人によ

          【Venus of TOKYO】贋作家とゴッホ【アーカイブ】

          【Venus of TOKYO】エンディングの、それぞれの眼の美しさ。銀河鉄道、噴水広場、ヴィーナス像。【アーカイブ】

          ※ふせったーに投稿した過去記事を、アーカイブとしてnoteに投稿しています。 BUMP OF CHICKENという自分の人生のお供のように大好きなバンドに、「銀河鉄道」という大好きな曲がある。 見送る人も出迎える人もいない孤独でくたびれた「僕」が、新しい街へ行くために電車に乗る。『銀河鉄道の夜』のように、乗り合わせた人たちを思う。 こういう歌詞がある。 Venus of TOKYOの物語は、究極的にはここに行き着くんじゃないかと思うことが最近多い。 特にエンディングでそ

          【Venus of TOKYO】エンディングの、それぞれの眼の美しさ。銀河鉄道、噴水広場、ヴィーナス像。【アーカイブ】

          「イマーシブシアター」、その深い深い魅力を語るnote

          はじめに~文化芸術/ライブエンタメは不要不急かコロナ禍と呼ばれる数年間、文化芸術やライブエンターテイメントが「不要不急」の括りに入れられたことは、記憶に新しいと思います。 文化芸術やライブエンタメは果たして「不要不急」なのか? 突如として突きつけられたこの問いに、得体の知れない感染症の拡大という大きな混乱の中で様々な反応がありました。 このような文化庁長官のメッセージも出された一方、好きで勝手にやっていること、役に立たない娯楽に税金を使うなんてとんでもない、という声も

          「イマーシブシアター」、その深い深い魅力を語るnote

          【鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎】壮大な寓話。深い絶望と、確かに提示された救いの契機【アーカイブ】

          ※2023年12月10日にX(ふせったー)に投稿した記事です。 原作好きの家族に連れられて『ゲゲゲの謎 鬼太郎誕生』を観に行った。 ゲゲゲの鬼太郎のことは本当に何も知らず、主題歌と、鬼太郎が前髪長い少年のイメージなことと、目玉おやじとネズミ男の名前くらい。 目玉おやじのビジュアルも検索してあーこれか!となるレベルだった。 当然鬼太郎と目玉おやじの関係や「水木」なる人物の存在についても知らなかったので、映画館に向かう道すがらそのあたりの基本情報を教えてもらった。 目

          【鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎】壮大な寓話。深い絶望と、確かに提示された救いの契機【アーカイブ】

          【Venus of TOKYO】3月3日、山藤恵里さんの未来から来た女を一人でフル追いした記録【アーカイブ】

          ※ふせったーに投稿した過去記事を、アーカイブとしてnoteに投稿しています。 ※もう終演した公演ですが、一応ネタバレがありますのでご注意ください。 3月3日、ひなまつり、3月に入ってはじめての、そして「魔王富豪」EYAMAXさんが離脱してはじめての「情熱の木曜日」のVOIDは、いつにも増して濃厚な空気を孕んでいた。 オープニング、魔王の魂が乗り移った荒井富豪のソロ(「ドルフィン(飛びシャチ)」というのでしょうか)、1か月前の彼のようにひなあられを頭から浴びて嬉しそうにする

          【Venus of TOKYO】3月3日、山藤恵里さんの未来から来た女を一人でフル追いした記録【アーカイブ】

          【Venus of TOKYO】オルペウス教を軸にしたVoTの物語世界に関する考察(妄想)【アーカイブ】

          ※ふせったーに投稿した過去記事を、アーカイブとしてnoteに投稿しています。 ※もう終演した公演ですが、一応ネタバレがありますのでご注意ください。 以前「各登場人物のイニシャルと名前考察」( https://note.com/niravotnira/n/n31946f650473?sub_rt=share_b )を書いたときに、シェフの名前は「オルペウス」(Ὀρφεύς - Orpheus、オルフェウス※)で、あらゆる存在の感情を揺さぶったオルペウスの音楽を料理にずらして、

          【Venus of TOKYO】オルペウス教を軸にしたVoTの物語世界に関する考察(妄想)【アーカイブ】

          【Venus of TOKYO】各登場人物のイニシャルと名前考察【アーカイブ】

          ※ふせったーに投稿した過去記事を、アーカイブとしてnoteに投稿しています。 ※もう終演した公演ですが、一応ネタバレがありますのでご注意ください。 ・富豪と医師の例から、各人物にはギリシア神話に因んだ名前がある(ヴィーナス、黄金の林檎というVoTのメインモチーフにもギリシア神話が強く絡んでいる) ・富豪と医師の例から、ヴィーナス像に手をかざしたときに浮かび上がるアルファベットはその人物の名前のイニシャルを表している という仮定のもとでの、各登場人物の名前妄想メモ。 き

          【Venus of TOKYO】各登場人物のイニシャルと名前考察【アーカイブ】

          【Venus of TOKYO】能面のモデルについての調査と妄想【アーカイブ】

          ※ふせったーに投稿した過去記事を、アーカイブとしてnoteに投稿しています。 ※もう終演した公演ですが、一応ネタバレがありますのでご注意ください。 実物の能面を元に、登場人物や物語に合った面を制作されたという長谷川主宰のインタビュー記事もあり、どの人物の面がどの能面をモデルにしているのか、多少なりともそこに込められた意味はあるのか、と思い、画像や使われる役柄を元に考察してみた。すでにやっている人はいると思うけれど。 そもそも能面の分類には様々あるらしいが、大まかな系統は概

          【Venus of TOKYO】能面のモデルについての調査と妄想【アーカイブ】

          2023年に参加したイマーシブシアター振り返り

          ※2024年1月6日にX(ふせったー)に投稿した記事です。 去年……いやもう一昨年か……年末に投稿した2022年のイマーシブシアター振り返りふせを見てみたら、以下のように書いていた。 ああこの思いは一年経ってもまるきり変わっていないなあ、というのが、率直な感覚としてある。 もちろん、2023年を通して色々な動きがあった。 何と言っても、日本で「イマーシブシアター」を標榜する作品を作っている団体の多くが影響を受けたことを公言している、2000年代以降のイマーシブシアターの

          2023年に参加したイマーシブシアター振り返り