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中華皇帝から学ぶ諌めてもらえることの大切さ

初めまして、私は現在社会人2年目でシステムエンジニアをしているさとしと言います。私は昨今話題の生成AIに関しての業務をしているのですが、できる事がとても多く驚いています。将来的には確実にシステムエンジニアの業務を代替できる存在になると確信しています。そんな中でエンジニアとしての技術力だけでなく、マネジメント力などのヒューマンスキルが大事になっていくと思われます。そこでヒューマンスキルを上げる為に古典からの知恵心理学について学ぼうと思い立ちました。そんな勉強の中で得た重要なポイントを自分が復習するという視点でこのnoteに残したいと思います。今回は古代の中国の皇帝が治世に必要な事をまとめた『貞観政要』という書物から諌めてもらえることの大切さについて記したいと思います。


『貞観政要』とは

『貞観政要』は、中国唐代に記された太宗皇帝の言行録です。唐代第二代皇帝である太宗は、貞観年間(627年~649年)に「貞観の治」と呼ばれる平和で繁栄した時代を築き上げました。『貞観政要』は、太宗と重臣たちの問答を通して、その治世の理念や具体的な施策を記録したものです。全10巻40篇からなり、古来から帝王学の教科書として重んじられてきました。

『貞観政要』の内容は、大きく分けて以下の4つの柱に分類できます

  1. 君主のあり方:理想的な君主の資質や徳目、臣下との関係のあり方などについて論じられています。

  2. 政治の理念:人材登用、法治、租税制度、軍事など、様々な政治に関する理念や施策が紹介されています。

  3. 経済政策:農業振興、商業政策、財政政策など、経済に関する施策が論じられています。

  4. 教化政策:儒教に基づいた道徳教育や人材育成など、教化政策について述べられています。

現代にも通ずる2つの学び

私はこの貞観政要からマネジメントに関する二つの学びを得ました。

  • 部下から自分の判断を諌めてもらえる環境を作る事

  • 外から人材を取るのではなく、今いる人材の能力を最大限活かす事

部下から自分の判断を諌めてもらえる環境を作る事

部下から諌めてもらえる事の重要性は太宗皇帝と魏徵の忠言のエピソードから学ぶ事が出来ます。

諫言のエピソード:魏徵(ぎ しょう)の忠告
唐の太宗の治世において、魏徵という有能な臣下がいました。魏徵は太宗に対して直言することで知られており、時には非常に厳しい諫言を行いました。古代中国では皇帝に対して諫言を行う事は悪くすれば死に直結するものでした。歴代皇帝の中には家臣からの諫言に対して激昂し死刑に処す者もいました。そして諫言を聞かなかった事で歴代の王朝を滅んできました。その事を重く捉えた太宗は厳しい諫言をしてくれる魏徵をそばにおいたのです。ある時、魏徵は太宗に対して政策の誤りを指摘しました。太宗は最初は不快に思いましたが、冷静になって魏徵の意見を聞き入れ、結果として政策を修正しました。太宗は不快に思う事でも魏徵の意見を受け入れてきた事で他の家臣が進言しやすい環境を作り出す事が出来ました。このことにより、唐の統治はより安定し、繁栄しました。

マネジメントにおける教訓
このエピソードから、現代のマネジメントにおいても部下からの諫言を受け入れることの重要性を以下のように説くことができます。

  1. 多角的な視点の確保: 上司やリーダーは組織の全体像を見ることが求められますが、すべての状況を完全に把握することは難しいです。部下からの諫言は、現場の具体的な状況や問題点を知るための重要な情報源となります。これにより、多角的な視点が確保され、より適切な意思決定が可能になります。

  2. 組織の健全性向上: 部下が自由に意見を述べることができる環境は、組織の健全性を向上させます。部下の意見が尊重されると、社員のエンゲージメントが高まり、組織全体の士気が向上します。太宗が魏徵の意見を尊重したように、リーダーが部下の意見を受け入れることで、組織の一体感と信頼関係が強化されます。

  3. リスクの早期発見と回避: 部下からの諫言は、リスクの早期発見と回避に繋がります。現場での問題やリスクを早期に指摘されることで、未然に対策を講じることができ、大きな問題に発展する前に解決することが可能になります。魏徵の忠告が政策の誤りを正したように、現代の組織でも問題が大きくなる前に対処できるのです。

  4. 自己改善の促進: 上司やリーダーは、部下からのフィードバックを受け入れることで自己改善を図ることができます。自分の行動や意思決定の見直しを促されることで、リーダーとしての成長が期待できます。太宗が魏徵の意見を受け入れて政策を修正したように、リーダーも柔軟に自己を改善し続けることが重要です。

外から人材を取るのではなく、今いる人材の能力を最大限活かす事

太宗の叱責:今いる人材で出来る最大限の事をする
『貞観政要』の中には、太宗に対して臣下が「国中を探しても良い人材を見つけることができない」と言った際のエピソードが記録されています。太宗はこれに対し、「どの時代にも歴史に残るような偉人がいたわけではない。それでもどの時代もなんとかしてきた」と返答しました。結果的に孔子や韓非子などの傑物がいない中でも唐は約300年間存続していることからも限りのある人材を上手く活用した事がうかがえます。このエピソードから、外部の人材を求めるよりも、今いる人材を最大限に活用する努力がいかに重要であるかを説くことができます。

現代のマネジメントにおける教訓
このエピソードは、現代のマネジメントにおいても非常に有用な教訓を提供しています。以下に、その具体的なポイントを挙げて説明します。

  1. 既存の人材の潜在能力を引き出す: 現在いる人材の中には、まだ発揮されていない潜在能力を持つ者が多くいます。リーダーやマネージャーは、その潜在能力を見出し、引き出すための環境と機会を提供することが重要です。例えば、トレーニングやスキル開発のプログラムを導入し、社員が自らの能力を最大限に発揮できるよう支援します。

  2. 内なる資源の最大化: 組織外から新しい人材を探すのではなく、組織内の既存のリソースを効果的に活用することが重要です。これには、適切な人材配置やチームの再編成が含まれます。太宗が指摘したように、どの時代も何とかしてきたのは、まさにこの内なる資源を最大限に活用したからです。

  3. 現場の知識と経験を活かす: 組織内の現場にいる人材は、その業務に関する深い知識と経験を持っています。これを活かすことで、より現実的で実行可能な解決策を見つけることができます。外部からの人材は新しい視点を提供することができますが、現場の具体的な状況や課題を理解するには時間がかかることが多いです。

  4. 社員のモチベーション向上: 現在いる社員を重視し、その成長と発展を支援することで、社員のモチベーションが向上します。自分たちが組織にとって重要な存在であると感じることで、社員のエンゲージメントが高まり、生産性も向上します。太宗の言葉は、リーダーが現在いる人材をどれだけ重視し、信頼しているかを示す良い例です。

以上貞観政要から学べた事2選でした。今後もマネジメントや経営の役立つ事を古典や心理学から学んでいくので興味がある方はいいねとフォローの方よろしくお願いします。生成AIの使い方についても紹介しようと思っているので是非!


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