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私立夜宵★図書館【2024/4】

夜宵★の読書は図書館の本と決まってる。

貧乏だったから、本が読みたかったら図書館で借りなさい、って母に言われて育って、図書館は行きつけだった。

だけどこのところ読書量が激減。

今年は意識的に読もうと決意した。

図書館で借りて、夜宵★の心の図書館に入った本をいざご紹介!!



✦ 『チーム紫式部!』楠木誠一郎、酒井以


今、大河ドラマ『光る君へ』を放映しているので目に入った。

装丁から子ども向けかなと思ったけど、それがどんなものか借りてみた。

紫式部の目線から、内裏の様子や『源氏物語』の執筆状況が、令和語で綴られているのが特徴。

平安時代や古典への興味の取っ掛かりとして、入りやすいと思った。

ただ、気になる点があった。

記載の『源氏物語』のあらすじに、紫式部が解釈を加えているところだ。

以下、枠内に紫式部目線の解釈をいくつか記す(要約したもの)。

・藤壺の妊娠に罪の意識をもち、それを忘れようとするかのようにたくさんの女性と付き合うようになる。

そうなのかな、それだけなのかな、と疑問に感じた。

そもそも、藤壺が母・桐壺の更衣に瓜二つだとこの本では言及していない。

ここ、私は重要だと思っている。

源氏が藤壺に興味をもったきっかけはそこだったし、女性遍歴と母への渇愛は無関係ではないように思われるからだ。

・六条御息所は、ごたごたがつづく内裏から離れた方がいいと悟り、伊勢の斎宮になる娘とともに京都を離れた。

これにも懐疑的。

ざっくり言えばそうなのかもしれないけど。

六条御息所は才色兼備で誇り高い女性だから、生霊を飛ばすほどに身を持ち崩した己の恥が耐えがたかったのではないだろうか。

彼女なりの決着のつけ方として京を後にした、というのがあると思うのだ。

などなど。

しかし、私の考えも正しいわけではない。

源氏物語の解釈は人それぞれである。

紫式部目線の解釈を入れることは、子どもに一元的なものの見方を擦り込みかねない。

あくまであらすじのみにとどめてほしかった。

とはいえ、この本はあくまで取っ掛かり。

原文を読むもよし、いろんな作家が訳したものを読んでもよし。

複数の『源氏物語』を読むことで、子どもたちには、多彩な源氏物語観をかたちづくっていってもらいたいと願う。


✦『大江戸火龍改』夢枕漠

満開の桜の下で茶会を催していた一行から悲鳴が上がった。
見れば大店のお女将の髪が逆立って、身体ごと持ち上がっていき、すっかり桜の花に隠れてしまった。
見上げる者たちの顔に点々と血が振りかかり、ぞぶ、ぞぶ、ごり、という音のあと、
どさり、と毛氈の上に女の首が落ちてきた――。

遊斎は、飴売りの土平、平賀源内らとともに、この怪奇な事件の謎を追う(「桜怪談」)。
短篇「遊斎の語」「手鬼眼童」「首無し幽霊」も併録。

Amazon商品説明より

夢枕漠のあやかしの物語が好きだ。

擬音語と、怪から発せられる言葉の表現が秀逸で、本能的な怖さを誘う。

不思議の物語は、思えば人間の業から来ているように思う。

人間って愚かで哀しくて、だから愛おしい。


✦ 『あした何着よう 美女入門20』林真理子


anan人気連載「美女入門」Part20。

この方の著書はまぁまぁ読んでいる。

たぶん、文章のリズムが自分に合っている。

読みやすいし、もれなくおもしろい。

こちらはエッセイ。

オシャレにグルメ、華麗なる交友関係。

キラキラしてて、読んでて楽しい。

そして欠かせないのがダイエットネタ。

美女入門シリーズを読み継いでいるが、常にダイエットしている。

ちょっと痩せては調子に乗って散財し、リバウンドの繰り返し。

マリコさんのこのダメ女ぶりがたぶんいい。

日大の理事長として、一連の不祥事で叩かれたこともあったマリコさん。

その著書、とりわけエッセイを読んできている私にはマリコさんの人間性がわかる(←つもり)。

頭がよくて、人の機微がわかって、正義があって、気遣いの人。

一度入った店を手ぶらで出られない、気の小さい(大きい?)ところもある。

だから、叩かれてても、ずっとマリコさんの味方な夜宵★なのであった(←何の力にもなれないけど)。


✦『老害の人』内館牧子


いるいる、こういうご老人。

思わず膝を打つ。

たびたび文中にツッコミの表現が出てくるのだが、それが人間の人間らしさをリアルに表す。

著者は人の心の矛盾や、理屈じゃないところを浮き彫りにするのが巧みな方だなと、以前から思っていた。

(小説『十二単を着た悪魔』も大変おもしろかった。)

タイトルもショッキングな今回の小説。

老醜の悲哀の話かと思ったら、なんと、老人礼讃、ひいては人間礼讃の大団円に向かっていく。

歳をとるのも悪くないと思えた。




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