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小林拓己 『愛国少女 ウヨ子ちゃん』 : ネトウヨでも パヨクでも 楽しめるロリコン漫画
書評:小林拓己『愛国少女ウヨ子ちゃん』(青林堂)
昔からネトウヨに「売国奴」だ「在日」だ「パヨク」だと憎まれ口を叩かれ続けてきた私でも、ニコニコしながら読める、楽しい漫画である。
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というのも、これはネトウヨの自虐ネタ漫画だからで、ネトウヨの「脳内お花畑」ぶりや「被害者意識」の強さを、とてもよく描いているからだ。
本書の後半には、著者によるエッセイ(P105〜155)が収められているが、パヨクの読書家である私からすると、そちらで表明される著者の「無条件の天皇制崇拝」や「実態に即さない神道信仰」、さらには安倍晋三を「外交上手」と評価してしまう「安倍幻想」には、「自称保守」の能力の限界を感じないではない。
だが、「自称保守」つまり「ベタなネトウヨではない」という著者の自負が「ベタなネトウヨ」を相対化し、批評的に見ている部分はそれなりに評価でき、楽しむことも出来るので、ネトウヨの諸君には、せめてこのエッセイくらいは読んでね、とお願いしておきたい。
漫画の方は主人公のウヨ子ちゃんがカワイイから読むだろうけど、活字の読めないネトウヨは多いので、その点が心配なのだ。著者もそれを踏まえて、噛んで含めるように平易な文章で書いているので、まずはこのあたりから活字に馴染んでいくのも悪くないだろう。
ネトウヨに、エドマンド・バーグを読めとか、小林秀雄や福田恆存を読めと言っても、それは無茶というものなので、まずはウヨ子ちゃんから入って、著者のエッセイを読み、ラノベ以外の小説も読めるようになって、という段階を踏むのがいいのではないかと思う。
ともあれ私には、ネトウヨのレビュアーが「パヨク本」にするのとは違って、読みもせずに「星1つ」をつけて悪口を連ねるような、恥ずかしい真似はできない。なぜなら「日本人として、恥を知っている」からだと、ここで一言申し添えておこう。
初出:2018年11月22日「Amazonレビュー」
(2021年10月15日、管理者により削除)
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【補記1】(2020.2.5)
このレビューを最初にアップしたのは、2018年11月22日。
それから1年あまりした今頃になって、初めて削除されたので、再度アップしておきます。
ちなみに、本書の著者は、版元のネトウヨ系出版社「青林堂」と揉めて、すでに掲載誌『ジャパニズム』の連載も打ち切りになっています。もう『ジャパニスム』の表紙だけ見て、ウヨ子ちゃんの可愛い姿を拝むことができなくなったのは、すごく残念。
この機会に、ウヨ子ちゃんが愚かなネトウヨ的愛国主義の迷妄から目覚めて、パヨ子ちゃんとして復活する日の来たらんことを、こころから祈っております。いやホント。
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