シェア
ネコハル
2025年1月13日 23:46
夢を見るのは現実から逃れるため越えられないこの塀の向こうには美しい風景が広がるはずだとうずくまる自分に言い聞かせて勝つとか負けるとかそんな単純な話ではなくて好きとか嫌いとかそんな本能的なことでもなくてただそびえる灰色の塀を見ない振りができなくなっただけこの重く冷たい無機質な塀を愛することなど出来はしないのにだからまた目を閉じる美しい風景美しい風美しい私をいつ
2024年12月6日 20:48
大丈夫だよ涙が止められなくても私はあなたを責めたりしないその涙で何かを得ようなんて小賢しい計算などあなたには無い心のひび割れから零れ落ちる痛みの結晶なんだよね良いんだよ大人だってどうしようもない時はある一人が恥ずかしいなら私も一緒に泣く二人で泣いて泣いて瞼を腫らしてお互いの酷い顔を見て笑おう大丈夫だよ私はちっとも強くないけどあなたの涙ぐらいは受けとめられる
2024年11月20日 16:57
切なさとは心を切りつける何か時には剃刀時にはナイフで鎌鼬のように襲いかかるせっかく大人の顔で懐かしそうに夢を語っていたのに諦めた不甲斐なさと届かなかった悔しさはおくびにも出さないですみません滲んだ血をそっと拭うような優しい言葉はありますか逃げ込んだ先は更に切ない言葉の海で私は溺れるしかなくて力尽きて漂う夜数え切れない傷口から流れ出すのは閉じ込められ腐敗し
2024年11月17日 17:39
痛みは生きている証だとしてもそんな証は欲しくない悲しみが人生を彩ると言われても余計な模様など邪魔なだけ欲しい物だけを選んで生きていけたならもっと幸せなのにもっと幸せなはず本当に?降りかかる痛みも悲しみも決して選んだわけじゃないそれでも異物のままにするのはやめて覚悟を決めて受け止めれば私の確かな一部となって隠し味のように少し私を面白くするかも知れない
2024年10月9日 05:54
花は振り返らない花弁の少し歪んだ付き方も褪せてしまった色も恥じたりしない咲いた時期を悔やんだり蕾を懐かしんだりしないただ今日のこの瞬間を外に向かって開く隠すことも躊躇うことも考えもせずただ素直にただありのままに誘うべき者を誘い拒むべき者を拒む種を未来へ繋ぐため迷いなどあるはずが無い花は振り返らないもしもあの時もっとこうしていたらそんな生温い後悔で無駄に
2024年10月6日 05:26
夕焼けは空の約束きっと明日は晴れると今日の1日がどんなにしんどくてもどんなに悲しくてもきっと明日は晴れるだから大丈夫だと人生はそんなに単純じゃないでも信じたい時もあるきっと明日は晴れるそれっぽっちの約束を御守りのように胸に抱いた何度も何度も暮れてゆく空を見上げてきっと明日は晴れる今日よりも昨日よりもきっと美しい青空が広がるだから私も空に約束するき
2024年9月25日 04:02
ごめんね、って言いたかったのか言って欲しかったのかもう分からないただ何かが足りない気がして息が苦しかったあの日あなたは優しかった多分私もそうだった何で今ごろ全部終わってしまった後なのにって出来の悪い小説のエピローグだけ綺麗な二人ごめんねが言えなかった二人風が吹く金木犀が香る信号は変わった聞き分けの良いタイムリミットあなたも私も少しだけ嘘つきなまま続
2024年9月10日 05:19
あの日あたしは壊れてしまったそんなこと誰に言われなくても分かっている壊れたあたしは自分の欠片を拾い集めそれっぽく見えるところにそれっぽく飾って壊れていないあたしを演じた修羅場も悲劇も笑って話せばおとぎ話そんな風に見えないって言われるたび勝ったと思っていたけど壊れる前のあたしはどんなあたしだったのだろうそれっぽく見せれば見せるほど元のあたしから遠くなる気がして
2024年8月24日 02:29
今朝の月は他人の顔そっぽを向いて取り付く島もない昨夜の吐息も肌の湿度も諦めるための儀式だったただ淡いだけの秘め事は朝になれば夢のように消えるはずだったのに塞がりかけた夢の跡に白い月は爪を立てるそんな都合のいい時効なんて認めてはやらないと掻きむしり引きずり出すのは綺麗事の奥の身勝手な罪忘れることなど出来ない狂おしいほどの罪今朝の月は他人の顔白々しい平穏を鼻で
2024年7月4日 03:17
手遅れの「ごめんね」も慰めの「ありがとう」もいらないワガママだと窘められてもバカだと呆れられても私だけを好きでいてくれたらそれで良かったのにそれより欲しい物なんて何ひとつ無かったのに
2024年6月19日 23:08
乾いていく心をどうしよう爽やかな炭酸水こってり甘い花の蜜オリーブ抜きのドライマティーニ何を飲んでも届かないこれは渇きではなく乾き何も欲してなどいないいたずらに時を重ね為す術もなく潤いをなくしているだけ干涸らびてひび割れてパサパサになっていく私はあなたの目にどう映るのだろうそれともその目はもう私を映してはいないのか乾いていく心をどうしよう何も求めていないから何
2024年6月5日 12:42
朱い屋根の街を僕は愛した公園で歌う人々傍らを駆け抜けていく子ども達路地裏に干された洗濯物店先を飾るタロットカード教会の屋根は天を指し一心に神の声に耳を澄ます精緻な彫刻に込められた祈りはステンドグラスと共鳴し薄汚れた欲望を浄化していく石畳の坂道を行けば高らかに響く鐘の音見知らぬ人とすれ違うたび微笑みと挨拶を交わし合った午後全てが遠い過去の欠片だとしてもあの日刻
2024年5月28日 12:06
もうすぐ終わる今日に両手でしがみついて引き留めたくなる夜きっと明日も何も変わらないのにあれも足りないこれも足りない足りない物ばかり数えてこの手には何もないと言うぐらいならいっそ諦めて泥のように眠ろう歴史なんて繰り返さなくていい一期一会の出逢いももういらない足りないものはそれじゃない私の渇きを癒すのは愁いを帯びた歌謡曲と遠い異国のレクイエム
2024年5月27日 15:13
想い出は紫陽花の青晴れた空よりも灰色の雲の下が美しい空も海も昏い日瞳は青を求めて彷徨うそこに灯るのは紫陽花の青雨に濡れただ凜とした青移り気と言われても紫陽花は色を変えない土壌と種類で定められた青を律儀に静かに守っているでも想い出に変われないままの胸を刺す痛みは灰色の空を見上げる雨粒が髪を濡らす青い紫陽花の灯る道でひとり名のない色を抱えて佇んでいるこ