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私の詩集1

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記事一覧

〔詩〕赤い海

〔詩〕赤い海

切なさとは
心を切りつける何か
時には剃刀
時にはナイフで
鎌鼬のように襲いかかる

せっかく大人の顔で
懐かしそうに夢を語っていたのに
諦めた不甲斐なさと
届かなかった悔しさは
おくびにも出さないで

すみません
滲んだ血をそっと拭うような
優しい言葉はありますか
逃げ込んだ先は
更に切ない言葉の海で
私は溺れるしかなくて

力尽きて漂う夜
数え切れない傷口から流れ出すのは
閉じ込められ
腐敗し

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〔詩〕隠し味

〔詩〕隠し味

痛みは生きている証だとしても
そんな証は欲しくない

悲しみが人生を彩ると言われても
余計な模様など邪魔なだけ

欲しい物だけを選んで
生きていけたなら
もっと幸せなのに

もっと幸せなはず

本当に?

降りかかる痛みも悲しみも
決して選んだわけじゃない
それでも
異物のままにするのはやめて
覚悟を決めて受け止めれば

私の確かな一部となって
隠し味のように
少し私を面白くする

かも知れない

〔詩〕帰り花

〔詩〕帰り花

間違えた訳じゃない
ただ
春のように温かいあなたの言葉に
応えてみたかっただけ

私が微笑むことで
ちゃんと乗り越えようとしていると
あなたが安心してくれるなら

涙は尽きなくても
胸の奥の軋みは消えなくても
私は微笑みたい
微笑む私を見せていたい

秋の気配を知りながら
小春日和にそっと咲いた
一輪の菫のように

こちらのジェルーシャさんの記事を読んで、この詩ができました。

ジェルーシャさん、

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〔詩〕シュレディンガーの猫

〔詩〕シュレディンガーの猫

明かりが消えていく街を
怪獣のような闇が覆う
夢の跡すら飲み込むように

確かめなければ良かった
友達以上恋人未満なんて
ありきたりな思い込みは
ただの幻想でしかなかった

まるでシュレディンガーの猫
大事に抱えてたのは空っぽの箱
中には何もなかったのに
最初から何もなかったのに

そこに確かにあると思ってた
希望も
未来も
煙のように消えて

残ったのは
ひしゃげた心と
冷ややかに広がる闇ばかり

〔flower seed 企画〕歌詞に応募します

〔flower seed 企画〕歌詞に応募します

♪秋の午後♪

読みかけのミステリー
飲みかけのコーヒー
出せなかった手紙
散らばる机の上

窓の外は秋
柔らかな淋しさに
みんな許されて

頑張れないなら
頑張らなくていい
立ち止まっても
膝を抱えても
こうして季節は流れてゆくから

頬杖をついて
溜め息ひとつ
そんな日曜の午後が好き

こんばんは。こちらの南かのんさんの企画に参加させていただきます。

図々しくも、cofumiさん企画に続いて

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〔cofumiさん企画〕C「あなたの歌詞を歌にします」応募作品

〔cofumiさん企画〕C「あなたの歌詞を歌にします」応募作品

(タイトル)ノクターン


目覚めた真夜中
夢の切れ端は脆く
ため息ひとつで消えてしまう

出会ったあの日
偶然を運命だと
思えた私は幸せだった

ふざけて抱き合った温もり
こんなに覚えてるのに

愛でも恋でも良かった
あなたがいればそれで
夢でも嘘でも良かった
ふたりでずっといられたら


ふたりに割り込む
あの子のあざとい笑顔
嫌な予感ほどよく当たるもの

出会ったあの日に
戻りたいもう一

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〔詩〕花

〔詩〕花

花は振り返らない

花弁の少し歪んだ付き方も
褪せてしまった色も恥じたりしない
咲いた時期を悔やんだり
蕾を懐かしんだりしない

ただ今日のこの瞬間を
外に向かって開く
隠すことも躊躇うことも
考えもせず
ただ素直に
ただありのままに

誘うべき者を誘い
拒むべき者を拒む
種を未来へ繋ぐため
迷いなどあるはずが無い

花は振り返らない
もしもあの時
もっとこうしていたら
そんな生温い後悔で
無駄に

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〔詩〕きっと

〔詩〕きっと

夕焼けは空の約束
きっと明日は晴れると

今日の1日が
どんなにしんどくても
どんなに悲しくても
きっと明日は晴れる
だから大丈夫だと

人生はそんなに単純じゃない
でも
信じたい時もある

きっと明日は晴れる
それっぽっちの約束を
御守りのように胸に抱いた
何度も何度も
暮れてゆく空を見上げて

きっと明日は晴れる
今日よりも
昨日よりも
きっと美しい青空が広がる
だから

私も空に約束する

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〔詩〕秋物語

〔詩〕秋物語

ごめんね、って
言いたかったのか
言って欲しかったのか
もう分からない

ただ
何かが足りない気がして
息が苦しかった

あの日あなたは優しかった
多分私もそうだった
何で今ごろ
全部終わってしまった後なのにって
出来の悪い小説の
エピローグだけ綺麗な二人

ごめんねが言えなかった二人

風が吹く
金木犀が香る
信号は変わった
聞き分けの良いタイムリミット
あなたも私も
少しだけ嘘つきなまま

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〔詩〕空蝉

〔詩〕空蝉

あの日あたしは壊れてしまった
そんなこと
誰に言われなくても分かっている

壊れたあたしは
自分の欠片を拾い集め
それっぽく見えるところに
それっぽく飾って
壊れていないあたしを演じた

修羅場も悲劇も
笑って話せばおとぎ話
そんな風に見えないって言われるたび
勝ったと思っていたけど

壊れる前のあたしは
どんなあたしだったのだろう

それっぽく見せれば見せるほど
元のあたしから遠くなる気がして

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〔詩〕流れ星

〔詩〕流れ星

流れ星に願いは叶えられない
あれは燃え尽きる何か
まさに命尽きる何か
その瞬間に
何処かの誰かの願いなど
私は背負わせたくはない

ただ
あまりにも美しく夜空を横切るから

流れ星に呟くのだ
胸の奥の想いを
それは願いではなく
自分への誓い

忘れたくない
忘れてはならない
私の中を貫く光

こんばんは。こちらに参加させていただきます。

小牧さん、お手数かけますがよろしくお願いいたします。
読ん

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〔詩〕断罪

〔詩〕断罪

今朝の月は他人の顔
そっぽを向いて
取り付く島もない

昨夜の吐息も肌の湿度も
諦めるための儀式だった
ただ淡いだけの秘め事は
朝になれば
夢のように消えるはずだったのに

塞がりかけた夢の跡に
白い月は爪を立てる
そんな都合のいい時効なんて
認めてはやらないと
掻きむしり引きずり出すのは
綺麗事の奥の身勝手な罪

忘れることなど出来ない
狂おしいほどの罪

今朝の月は他人の顔
白々しい平穏を鼻で

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〔詩〕彼らに

〔詩〕彼らに

彼らにかける言葉は何だろう

どこまでも直向きに
気力も体力も時間も費やして
求め続けた輝きには
あと一歩届かなかった

彼らに何と言えばいいのだろう
涼しい部屋で拳を突き上げ
声をからして応援していた
それだけの私が
彼らにかける言葉なんてあるだろうか

私は何の犠牲も負わず
勝手に夢だけを背負わせていた
睡眠時間を削ることでしか
彼らを応援する術を知らなかった

泣き崩れる彼らと共に
テレビの

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〔詩〕遠吠え

〔詩〕遠吠え

夏は夜も暑い
夜風は涼しいねなんて
打ち上げ花火を見上げていたのは
もう遠い昔話

地球は温暖化じゃなくて
今や沸騰化なんだって
偉い人は言葉遊びで悦に入るけど
その言葉は何の役に立つの
試算して警告して警鐘を鳴らして
後は良心のある方にお任せしますって
無責任な自己満足

偉くもない私たちは
エアコンの設定温度に気を配り
あちこちの電気を消して
次の電気代の請求に怯えている
紙のストローなんて嫌

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