寧月(書道家/教育者)

東京大学教育学部時代に不登校の子どもたちに関わったことからアートの世界へ。書塾花紅運営。誰もが自由に自分を表現できる社会へ。「百字文」「"和”はモダンである」http://neigetsu.jp/ja/

寧月(書道家/教育者)

東京大学教育学部時代に不登校の子どもたちに関わったことからアートの世界へ。書塾花紅運営。誰もが自由に自分を表現できる社会へ。「百字文」「"和”はモダンである」http://neigetsu.jp/ja/

マガジン

  • 与えられた日々

    「与えられた日々を目いっぱい生きる」。不思議な人生の成り行きで書道に行きつき、シングルマザーになり、たくさんのありがたいご縁に恵まれて日々生きています。

  • 自由に楽しむ書道の世界

    書道を始めてみたいけれど、学び方がわからないという方へ。自由に書の道を進み、自由な書塾を営んでいる身として、気楽に書いていきます。古典世界に興味がある本格派な人から、アートやデザインに挑戦したい方まで、「書く瞑想」としての書道の魅力をお伝えできたらいいなぁ。

  • ショートエッセイ

    適当に、適当に、ぼんやりと、書きます。

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自由に楽しむ書道の世界

書道を始めてみたい、と思う方へ。 「書道の世界って何だか厳しそうだし、 いろんな団体があってよくわからないし、お金もかかりそう」 「いつか教えられるようになったら、と思うけど、どれくらいかかるのかな」 「一人で学んでみたいけど、本を見ても何を書けばいいのかわからないし」 大人になって、書道を始めてみようと思う方はたくさんいらっしゃいます。 それぞれに、仕事があって、子育てがあって、忙しい中で、 「書道をやってみたい」。それはとても素敵なことです。 書道は「書く瞑想」とも

    • 精神的体幹を鍛える

      夏休み、静岡は浜名湖に旅してきました。近くてなかなか行かない、浜名湖。 無目的にのんびりしたいという期待だけで決めた旅行先。そんな旅ほど、自分が無意識に求めていたものが与えられたりすることもあります。 浜名湖は海の水が混じる汽水湖。天然、埋め立ての小さな島が散らばり、その島々を繋ぐように大小の橋が架かる風景は東海道五十三次で見たことがあるような。夕陽の沈む時間帯は湖水全面がキラキラと光を放ち幻想的。 冒険家、海の生物との出会い そんな浜名湖で、カヤックの専門家に出会い

      • 書道を独学する人におすすめの本たち

        「書道を学びたい」という人へ。「書道は独りで学ぶことができる」と私は思っています。 もちろん、誰か教えてくれる人がそばにいた方が「早い」かもしれない。でも、「ゆっくり」「自分で」学ぶからこそ、気づけることもたくさんあります。 「古典臨書」なら正しい「型」を学べる「独学」で怖いのは、誤った「型」を身につけることです。これは手本を選び間違えた時、もしくは手本なしに好き勝手に書き続けた時に起こり得ます。 書道には、「古典臨書」という方法があります。過去に生きた人の残した数多あ

        • 寳処在近〜法華経からパレスチナを思う〜

          法養寺は池上本門寺の五重塔の奥にあるお寺。昨日、ご縁を得て書塾花紅の生徒さんたちと勉強会をしてまいりました。 池上という街に生きていると、歩けば「南無妙法蓮華経」にぶち当たる。エネルギーに満ちた筆勢のお題目。「仏教なんて過去のもの」とは言えない雰囲気。でも、「南無妙法蓮華経」の意味するところを知っている池上住人は少ないのではないでしょうか? 葵の御紋に守られる「法養寺」ご住職は木村中一先生、身延山大学の教授でもいらっしゃいます。書塾花紅の参加者は女性6名でしたが経験豊かな

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        自由に楽しむ書道の世界

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        • 与えられた日々
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          白洲正子というひと

          「食わず嫌い」という言葉があるが、「読まず嫌い」というものある。 先日、銀座のTSUTAYAをぷらぷらしていたら、日本文化にまつわる本を集めたコーナーで白洲正子の本に吸い寄せられた。 名前はもちろん知っている。日本文化についての随筆をたくさん書いた、教養の深い女性だということも、知っていた。でも、これまで毛嫌いしてきた、もしくは面倒臭くて避けてきた。 日々書道をしている人間として、日本文化関係の本はなんだかんだで読むわけだけど、だからこそ、わかっているようなことを言われ

          白洲正子というひと

          苔玉と子育て

          自慢じゃないが、これまで何度も観葉植物を枯らしてきた。 昔住んでいた家のリビングには出窓があって、太陽が燦燦としていたから育てるのが簡単だった。ネムノキもパキラもよく育った。 今の家にやってきて、私のデスクはあまり日が当たらない。出窓と同じ感覚で育てたら、シェフレラも、育てるのが簡単というパキラですら、枯れていった。日照不足だと気づくまでに時間がかかった。 リビングの南側に観葉植物スペースを作ってからは、よく育っている。それでも枯らしたくないので、枯れにくいものばかり集

          カセットデッキとあの頃

          「ホントのコイズミさん」を聞き始め、宮藤官九郎さんとの対談の回で「あまちゃん」をrecommendされた。と思えば、同居の母がBSで7時台放映中の「あまちゃん」を見始め、毎朝、階下からハイテンションな主題歌が流れてくる。 「いいなぁ、あまちゃん、楽しそうだなぁ」と思っていた頃に、書塾の生徒さんに「先生、あまちゃん、見た?」と尋ねられて、いよいよこれは、「あまちゃん」を見なくてはいけない流れなのだと受け入れて、見始めた。 細かすぎる宮藤官九郎さんのネタに笑いを誘われ続け、日

          カセットデッキとあの頃

          すべてのあなたを知りたくて

          ほー、ほけきょ。 目を閉じると、ウグイスの鳴き声が聞こえる。 昨日まで、長野は小諸に旅してきた。その後遺症である。 小諸への旅は5度目になるが(正確に言えば小学生の移動教室を入れて6度目になるが)、ウグイスの鳴き声を聞いたのは今回がはじめてだった。理由は簡単で、初夏に訪れるのは今回が初めてだったからである。 旅の形にはいろいろあるけれど、同じ場所を何度も、時間をかけて訪れるというスタイルも、悪くない。 これまで小諸にやってきたのは8月、9月。9月のアマガエルは8月のア

          すべてのあなたを知りたくて

          女なら 女として

          女であれば、女である以上、女として生きたい。 あらゆる性の平等が唱えられるこの時代において、「女」という言葉はそれだけで「古い」のかもしれないけれど、私は、女であることが好きだ。 最近、ポッドキャストに「ホントのコイズミさん」という番組を見つけ、聴いている。キョンキョンこと小泉今日子さんがMCの、本にまつわるゲストを呼んでのトーク番組だ。 小泉今日子さんの声は、いい。頗る色っぽく、それでいて、いやらしくなく、むしろ、男っぽい。「ユニセックスな魅力」と言ってしまえばチープ

          「千と千尋」から見る儒教社会と老荘思想

          我が家はジブリ好きです。夕飯どき、あーだこーだと話をしながら、「よし、今晩はアレ(ジブリのタイトルの何か)を見よう」ということに、よくなります。 先日の土曜日も、その流れで「千と千尋」を見ることになりました。 見るたびに発見があるのが、ジブリの映画。今回も以前の私とは違う見方となり、久々にnoteにすることにしました。 油屋〜儒教社会という成長の場〜「千と千尋」のストーリーを説明する必要はなく、千尋は油屋に導かれ、リンや釜爺、そして湯婆婆と出会い、成長していく物語ですね

          「千と千尋」から見る儒教社会と老荘思想

          西洋哲学と東洋思想を横断してしなやかに生きるための本

          自宅待機中です。与えられた、ありがたーい時間✨ 先週、本屋さんで運命的に出逢った(そういう時ありますよね)、オーケストラ指揮者の伊藤玲阿奈さん「『宇宙の音楽』を聴く」が衝撃的に良い本でして、 私がこれまでぼんやーりと考えてきたことを、私の数十倍の読書量と考察と的確な言語化によって、ドンピシャりと誰にでもわかるように解説してくれている! 参りました!という感じです。 この本を紹介したいというのが目的ですが、折角の機会なので、「西洋哲学と東洋思想を横断する」という共通項で

          西洋哲学と東洋思想を横断してしなやかに生きるための本

          「アムリタ」を手に高野山へ③

          体でしか学ぶことのできない、密教。 私は書道が好きで、ヨガが好きで、それはどちらも頭で理解してもダメで、ひたすら体を鍛えるしかない。だから好き。 そんな私が、「アムリタ」を持って高野山に行った。 魂は生きているという「事実」 2泊目は真田家が宿坊にしたという蓮華定院。 ものすごく暗くて、蝋燭の火だけに灯されて金箔の調度品がきらきらと輝くみたいな妖艶な本殿で、阿字観のあと、ご住職は語ってくれた。 アメリカ人の女性が、夢にクチナシの花を持った若い女性と出会って、「お母

          「アムリタ」を手に高野山へ③

          「アムリタ」を手に高野山へ②

          高野山に入る前に一つ記事が終わってしまった。そもそも、私なんぞが難解な密教について解説することもできないし、グルメでもないので旅行情報を書いてもしょうがないと思っている。 私が書けるのは「私が感じた高野山」でしかない。 魂の積み重なりでできた、高野山 「この土地は魂が濃い」 そう感じたのは、実は高野山に入ってからではなく、なんば駅で南海電鉄に乗って、しばらくしてからのことだった。沿線には仁徳天皇陵に代表される古墳群があり、そもそも東京は魂の重なりが浅くて軽いことを知ら

          「アムリタ」を手に高野山へ②

          「アムリタ」を手に高野山へ①

          南海電鉄に乗って高野山に入った。リュックサック一つで身軽に行くと決めていたから、本は一冊。何の本にするかはずっと迷っていた。 上巻で止まっていた司馬遼太郎「空海の風景」か、知人に教えられた空海の解説本か。出発数日前、一つの本が私の頭にやってきた。 私は、吉本ばなな「アムリタ」をリュックに詰めた。 書道の世界からの、高野山 書道をしている者にとって、言うまでもなく高野山は特別な場所である。「弘法も筆の誤り」の言葉の通り、日本人にとっての書道の神様は弘法大師・空海。 臨

          「アムリタ」を手に高野山へ①

          最後は「魂」が入っているか

          作品展提出締切が今月末となり、続々と作品が集まってきています。 生徒さんたちと最後の最後に作品を選ぶとき、 「最後は“魂が入っているかどうか」と、私はよく言いますね。 「魂」という日常ではあまり使い慣れない言葉に、多少なり戸惑う生徒さんもいるかと思うので、少し解説をしておこうと思います。 (写真は真言宗豊山派金剛院様に納めさせていただいた寧月作品「魂」です) 「魂」と「心」「魂」とは何でしょうか。おそらくそれは、人間には捉え切ることのできない時空間の中で循環しているも

          最後は「魂」が入っているか

          実は?シングルマザーです。

          全く隠しておりませんが、シングルマザーです! 2022年現在、長女中学2年、長男小学5年です。 先日、書塾にて、とある生徒さんと2人のお時間があり、 ペチャクチャ楽しくおしゃべりしていたところ、 「先生の旦那さんはどう思ってるの?」と聞かれ、 「あれ、私、シングルマザーですよ〜」と答えたところ、 「え〜!先生には稼げてカッコいい旦那さんがいるとばかり思ってました〜!」と、ありがたすぎる勘違い✨をいただいていたことが判明しました。 離婚して早7年が経過。 昔のブログにはそん

          実は?シングルマザーです。