苔玉と子育て
自慢じゃないが、これまで何度も観葉植物を枯らしてきた。
昔住んでいた家のリビングには出窓があって、太陽が燦燦としていたから育てるのが簡単だった。ネムノキもパキラもよく育った。
今の家にやってきて、私のデスクはあまり日が当たらない。出窓と同じ感覚で育てたら、シェフレラも、育てるのが簡単というパキラですら、枯れていった。日照不足だと気づくまでに時間がかかった。
リビングの南側に観葉植物スペースを作ってからは、よく育っている。それでも枯らしたくないので、枯れにくいものばかり集めている。サンセベリアとパキラ。サンセベリアは伸びすぎて、怖い。
日照ともう一つ、植物には欠かせないものがある。水だ。
水やりのタイミングは、案外むずかしい。夏は乾きやすいので頻繁に、冬は控えめに、と、季節に応じて、加減しなくてはならない。日常に余裕があるときはこれができるけれど、仕事だ子育てだと忙殺されて目がいかないと、からっからになっていたりする。
この春、日の当たらない本棚の上に、苔玉を一つ買った。日陰で育てられるものを丁寧に育てる、挑戦。これも水やりがなかなかにむずかしい。やりすぎてカビっぽくなったので、今は、控えめに、可愛がりすぎずに、見守っている。
そう、可愛がりすぎないこと。これが、肝です。
これって子育てもおんなじ。思春期に入った子どもたちに面して、つくづく思う。可愛い可愛いと与えすぎてしまうと、子どもたちにもカビが生える。
ちょっと乾くくらいに、控えめに、見守る。手を出したいときほど、ぐっと我慢。
与えるのが母性であるなら、与えないのは父性。シングルマザーの母を見て、娘は「お母さんは、一人で母性も父性もやらないといけないから大変だよね」と言った。よくわかっているではないか。
でもさ、世の中見ていると、お父さんが母性でお母さんが父性みたいなお家もあるし、両親共に父性みたいなお家だってあるし、実はシングルの方が匙加減が効いてやりやすいのかもと思ったりする。
苔玉に 娘に息子に 水やりて やりすぎたりして 母も育つの