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うつ病の、ちょっと手前の時のこと

今日はこれまでのテーマ、「交渉」、とは違う話をしたいと思います。
個人的な体験ですが、自分自身が「うつ」の手前まで行った時のことです。

幸い、「うつ病」になることはありませんでした。しかし、精神科で診断を受け、その手前まで行ったことを知らされたことで、うつ病の人たちの気持ちを、100分の1くらいは知れたのではないかと思いました。

それまでの自分は、割と精神的にタフでした。くそ真面目な方なので、仕事で追い込まれることもよくありましたが、無責任という意味ではなく『知るか、そんなもん!』精神で、『うりゃー!』と乗り越えるタイプというか。
「心配で眠れないよお」なんて言いながら、グーグー😪 とキッチリ寝ているようで、そこだけは感心されます。

その事件が起こる直前まで、基本的にはそんな感じで普通に過ごしていました。あるとき仕事で難しい場面に遭遇したものの、なんとか切り抜けることができました。
ただ、その直後に、(外国人の)上司と面談したのですが、その仕事を「全く」評価されず、そのことが心にズシっと来たのです。その感覚は覚えています。

言葉の問題もあり、確かに彼には日本側の詳しい状況は理解できないでしょう。悔しさはありながらも、気持ちを切り替えて次の課題に向かいました。

しかし、なんだか体の調子がいつもと違うのです。
力が出ないというか、フワーッとするというか。ついでに、なんとも悲しい感情が湧いてくるのです。「なんだ、こりゃ?」という感覚でした。

4〜5年くらい前の話なので、「うつ」に関する世間の認知もだいぶ進んでいたと思います。自分もテレビなどで「うつ」のニュースや特集などを何となく目にしていたので、「やべえ、病気かも」と瞬時に思ったのです。

ところで、そういえば昔、自分の上司(日本人)が突然会社に来なくなりました。
当時、私はいち技術担当として、顧客とバリバリに交渉する最前線みたいな部所にいたのですが、その取りまとめをしていたのがその人でした。
その上司が突然姿を消す前の週、同じ通勤路線だったので、帰りの電車で仕事の相談をしていました。彼は「難しい状況だ、その件は引き取る、任せろ」と言ってくれました。そんなキャラの人でした。
頼もしく思っていたところ、翌週から会社に来なくなりました。部下は私だけではありません。相当いろんなことを引き受けていたことでしょう。
数年経って、その方は会社に復帰しました。髪の毛は真っ白で、以前の感じではなく、皆の前で復帰の挨拶をされたのですが、その声は細く、別人のようでした。もちろん、戦場みたいな部署に戻るのではなく、総務部の次長か何かで、実質はそこで面倒見てもらうことに。

さて自身の話に戻りますが、そんなこともあり、「やべっ」と感じてすぐに近くの精神科を探しました。今まで無縁だったので、近くに精神科が存在するのかも知りませんでしたが、検索すると、歩いて5分くらいのところにひとつありました。すぐに電話し、駆け込みました。

どんなことをするんだろう?
レントゲンを撮るわけでもなく、聴診器を当てられるわけでもないくらいはわかりましたが、それ以外は全くの未知でした。

待合室の横長ソファに座っていると、個室に呼ばれました。
さほど大きくない部屋でしたが、デスク越しに女性の先生が腰掛けていました。詳しい内容は記憶していませんが、優しい雰囲気で淡々と効率的に会話をしていったように思います。とにかく、話しているだけで気分が変わってくるのを感じました。やっぱりプロはさすがですね。

結果、病状は軽く、まだ、うつの段階とは言えない、手前の状態でした。
薬をもらうわけでもなく、経過観察、といったところでしょうか。

その後、例の「私を評価しなかった外国人上司」にメールで一報を入れました。 そのメールで要は、「精神が『やべー』から2週間休む!」と言ったのです。
こういう時は外国人上司で助かります。はっきり主張すれば、グダグダ質問攻めにすることなく、ただ認めてくれます。ただ、同じチームで働いている人には別途連絡を取り、「体調が悪く、しばらく在宅するが、メールやチャットでの連絡はいつでも受ける」として、そこの連絡は続けたものの、顧客会議には出ず、会社にも行きませんでした。

そんな環境で2週間過ごすと、少し復活したように感じました。
とにかく、「やべー」と感じたときは、焦っていました。「これって、放置すると、坂道を転がるように悪くなる気がする。今ここで防がないと、自分では這い上がれないところまで下がってしまう気がする」

昔、会社に来なくなった上司のこと、そしてテレビでみた「うつ」の特集。そんな場面が頭にありました。

2週間、実質休んで、かつ、ひと月後には完全復調していたと思います。しかし、上司には2ヶ月くらいの間、「調子悪い」、と言い続けて仕事をサボる口実にしていました。顧客との会議も「あんたが代わりに出て」という感じです。日本人が通訳して何とかやってましたが。😊

さて、その上で考察です。
「自分がなんであのような状態になったのか?」 
大変な仕事を乗り越えたのに、外人上司に全く評価されない、頭にきます。でも、その程度のことで、あんな状態になったのは何故か?
これまでの自分からは想像できません。 
で、最終的に気がついたのが、『体力』です。

唯一、それまでの自分と変わっていたのは「体力」でした。それ以外は考え方も生活環境もそれほど変わっていないはず。

すなわち、仕事が忙しかったこともありますが、年齢的に体力が落ちていたのです。なんだかんだ言っても、体力が精神力を支えるのじゃないか?

そこからは、月に1〜2回しか通えていなかったジムに、週一マストで、できれば週2で通うようになりました。ただ、程なくコロナでしばらく閉まってしまったのですが、家でも工夫して、主に筋トレに励みました。

これは素人考えですが、精神的にダメージを受けないための工夫を、「考え方や気持ちの持ち方」、「生活の仕方」などで解決しようとすることはもちろん大事と思いますが、もっと単純に頭を空っぽにしてできる事として、『体力をつける』ことで、精神力が支えられると実感しています。

もちろん、もっと複雑で、困難なケースは多くあるでしょうが、個人的経験から、「うっ、マズイ」と思ったら、まだ大丈夫、と思わず、初期には
『躊躇なく精神科に行く』
『無理矢理でも休む』
『何も考えず、ただ体力をつける』
の3つじゃないかな、と思うのです。特に年齢を重ねた人の場合、体力が落ちたことで、精神が弱くなっている人は多いんじゃないか、と思います。

さて以上が私の体験でした。
本当に大変な状況にある方がどう感じたかはわかりませんが、ささやかな私の経験が、ちょっとした気づきになれば嬉しく思います。

では、次回からは、また小難しい?「交渉」の話をしていきたいと思います!











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