小説:コトリの薬草珈琲店 4-3
17時、フェスが終了する頃には周囲も薄暗くなりはじめ、肌寒さが増してくる。さて、さっさと片づけて帰ろうと思っていたところ、数人の男性が集まって話をしているのが琴音の目に入った。クラフトビールのオーナー、ジビエ料理のオーナー、そして、県職員の岡本さんだ。同じ奈良県内で活動している人としてSNSではよく見かける顔だったが、リアルでも挨拶しておこう。そう、琴音は考えた。
「真奈美さん、ごめん、ちょっとあちらに挨拶してきます」
「ん?あの人たちね。了解〜。片づけ、進めとくね」
「