【展覧会レポ】小山登美夫ギャラリー「菅木志雄<あるというものはなく、ないというものもない>」
【約2,500文字、写真約15枚】
六本木にあるcomplex665内の小山登美夫ギャラリー「菅木志雄<あるというものはなく、ないというものもない>」を鑑賞しました。その感想を書きます。
※本展覧会はすでに終了しています。
【この投稿で伝えたいこと】
❶村上隆や奈良美智を有名にした小山登美夫ギャラリー、❷菅木志雄の作品は面白い、❸「ギャラリー」の知識が少し深まった、❹六本木に来た際は、是非complex665に行こう(無料)!
▶︎訪問のきっかけ
シュウゴアーツで森村泰昌の展覧会を見た後に寄りました。
▶︎菅木志雄「あるというものはなく、ないというものもない」感想
会場内には概念的な作品が並びます。
すごく「もの派」的な作風だと感じました。実際に、菅 木志雄は60年〜70年代に「もの派」の主要メンバーとして活動後、50年以上にわたり独自の作品を制作しているそうです。
最近鑑賞したカール・アンドレに通じるような、来場者に感じ方を丸投げするスタイルは私の好みでした。東京都現代美術館が好きそうな作品群だと思いました(実際、MOTは菅木志雄の作品を14点収蔵)。
地面に置かれたビニール袋の作品が気に入りました。まるで「平成の空気缶」のような印象をもちました。
規模的に10分くらいで見終わると思っていました。しかし、意外とゆっくり20分くらい見てしまっていました。
作品にタイトルやキャプションなどの掲示は一切ありませんでした。これはシュウゴアーツも同様でした。紙の作品リストは受付で配布していました。
▶︎小山登美夫ギャラリー六本木とは
1996年、江東区佐賀町に小山登美夫ギャラリーが開廊。2016年より「小山登美夫ギャラリー六本木」に拠点を移し、2022年、天王洲に「小山登美夫ギャラリー天王洲」をオープン。現在、合計2拠点あります。小山登美夫ギャラリーは、かつて村上隆や奈良美智を世界に紹介したことでも有名です。
トム・サックスの評価が途上であったときも、2000年に個展を開催しています。現在は、菅木志雄、杉戸洋、蜷川実花、リチャード・タトルなどのアーティストに加え、陶芸アーティストも紹介しているそうです。
今回の菅木志雄の展覧会は、小山登美夫ギャラリーで9回目の開催。ギャラリーでは懇意のアーティストがそれぞれおり、そこで個展を開いて作品を紹介するシステムがあるのですね。
過去に私は、小山登美夫の著書『現代アートビジネス』を読みました(2017年読了)。日本における現代アート観は、保守的、閉鎖的、権威的であることがよく理解できた記憶があります。
内装設計を担当したのは、ムトカ建築事務所。小さなギャラリーですが、安らぎやインスピレーションを感じる内装でした。
ギャラリーの入場料は無料。展覧会で利益は出ないため、どのようなビジネスモデルなのか気になりました。今回の菅木志雄の個展で「この作品はいくらですか?」とレセプションで聞く人もいるのでしょう。
継続的に個展を開催することで、アーティストやギャラリストを呼び込む循環を作り、作品を売買・レンタルすることで運営しているのかな。
私はいつも展覧会を探す場合、「アートスケープ」「アートアジェンダ」「美術展ナビ」を使うことが多かったです。しかし、これらで検索しても、小山登美夫ギャラリーはヒットしませんでした。「美術手帖」の展覧会検索が最も網羅性があるんですかね。
▶︎まとめ
いかがだったでしょうか?村上隆や奈良美智などを有名にした小山登美夫ギャラリーへ訪問することができて良かったです。「ギャラリー」についての知識も少し深まりました。私は菅木志雄について知りませんでしたが、ギャラリーの無機質ながらどこか暖かみがある雰囲気と作品がマッチしていることに加え、作品自体にも面白みを感じました。六本木に来た際、complex665にサクッと寄ると面白い作品に出会えるのでおすすめです。
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