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【展覧会レポ】川崎市岡本太郎美術館「<岡本太郎に挑む 淺井裕介・福田美蘭>展」

【約4,100文字、写真約65枚】
川崎市岡本太郎美術館(以下、太郎美術館)で「<岡本太郎に挑む 淺井裕介・福田美蘭>展」を鑑賞しました。その感想を書きます。

▶︎ 結論

岡本太郎の良さを数倍に引き出した展覧会でした!また、岡本太郎、福田美蘭、淺井裕介ともに、どれも楽しい作品で、普段はない角度で示唆も得られました。特に、福田美蘭の作品はダジャレ的なので、普段は美術館に行かない人でも、あっけらかんとアートを楽しめます。また、美術館の近くは自然もいっぱいで気持ちがいいためオススメです!

おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★☆☆
混み具合:★★★☆☆
展覧会名:川崎市市制100周年・開館25周年記念「岡本太郎に挑む 淺井裕介・福田美蘭」展
場所:川崎市岡本太郎美術館
会期:2024.10.17(木)—2025.1.19(日)
休館日:毎週月曜日
開館時間:9:30-17:00
住所:神奈川県川崎市多摩区枡形7丁目1−5
アクセス:向ヶ丘遊園駅から徒歩約30分ほか
入場料(一般):1,000円
事前予約:ー
展覧所要時間:約1時間30分
撮影:全て可能
URL:https://www.taromuseum.jp/exhibition.html 


▶︎ 訪問のきっかけ

《母の塔》

最近、福田美蘭が気になっていました。また、私は岡本太郎(以下、太郎)も大好きです。そのため、私にとって、1粒で2度おいしい展覧会と思ったため、行くことにしました。

私が福田美蘭を初めて知ったのは、練馬区立美術館の「日本中のマネ」展。ダジャレみたいな作品は、見ていてクスッとできて楽しい。しかし、その裏側には、現代美術よろしくロックでクールな批判的精神を感じました。まさに私の好みの作風だと思いました。

マネ「花瓶の苔バラ」を題材にして描いた《LEGO Flower Bouquet》(画像引用

▼ 福田美蘭を初めて知った練馬区立美術館の展覧会

今年11月には、群馬県立近代美術館のコレクション展で福田美蘭《still life》を見ました。これがめちゃくちゃ面白くて、釘付けになりました。撮影禁止だったことに加え、画像がネットのどこにもないため、紹介できず残念。

▶︎ アクセス

バス停「川崎ゴルフ場入」からのアクセス

太郎美術館の最寄駅は向ヶ丘遊園駅。そこから歩いて向かう(約20分)のが最も無難だと思います。私は今回、バス停「川崎ゴルフ場入」から歩いて向かいました。すると、太郎美術館の裏側に出ます。

生田緑地付近の歩行ルート
《母の塔》近くではピクニックができます
憩う人たち
キッチンカーも出店
こっちにあるのは…
高さ約30mの《母の塔》
《樹霊 I 》
大阪万博('70)時、太陽の塔の地下に展示された作品
水に反射する《樹霊 I 》
ちょうど紅葉が見頃
「かわさき宙と緑の科学館」近くにある案内板

住所:神奈川県川崎市多摩区枡形7丁目1−5

▶︎ 川崎市岡本太郎美術館とは

美術館の入り口

川崎市岡本太郎美術館は、太郎の死から3年後、1999年に開館川崎市生まれの太郎が、80歳(1991年)の時、352点の作品を川崎市に寄贈したことが建設のきっかけ。最終的には約2,000点の太郎作品が収蔵されています。私は2011年ぶり、2回目の訪問でした。

太郎と言えば、大阪万博のイメージが強いです。そのため、太郎は関西人だと思い込んでいました😅

フロアマップ

館内は、常設展示室と企画展示室で構成。そのほか、カフェやミュージアムショップも併設されています。

なお、美術館建設に際し「自然を破壊する」として、地域住民の反対運動が起こりました。その後、原告を動物・昆虫・植物として争う「自然の権利訴訟」に発展(法律の教科書に載りそうな判例ですネ)。4年間、27回の公判の結果、美術館建設が市に損害を与えたと言えないため、原告の請求は棄却されました。

観覧料は1,000円と比較的安価(PayPay可)
エントランスホールの《太陽の鐘》
いざ、展覧会へ

▶︎ 「川崎市市制100周年・開館25周年記念<岡本太郎に挑む 淺井裕介・福田美蘭>展」感想

エントランスホールの垂れ幕

川崎市市制100周年、そして当館の開館25周年を記念して、淺井裕介(1981-)と福⽥美蘭(1963-)の2⼈の現代作家による展覧会を開催します。(略)2⼈の作家が、岡本太郎と関連づけた⾃作を企画展⽰室に展⽰します。(略)常設展⽰室では、2⼈の作家がそれぞれ独⾃の視点で選んだ当館収蔵の岡本作品を紹介します。(略)岡本の表現・思想の多⾯性を、 世代や表現⽅法の異なる2⼈の現代作家の視点で⾒直す機会でもあります。

公式サイトより

要は、アーティストの淺井裕介と福⽥美蘭が、太郎の作品をリスペクトした作品に加え、2人が太郎作品をキュレーションするユニークな試みです。

なお、この日は子供2人がはしゃぎすぎて制御不能でした。私はまじまじと作品を鑑賞できなかったため、コメントは少なめです😅

✔️ 常設展示室

最初にある《太陽の顔》
ごあいさつ

他の美術館で、企画展と関連したコーナーなどを設置する常設展は見たことがあります。しかし、企画展のアーティストが常設展のキュレーションをすることに加え、キャプションの執筆まで行うのは初めて見ました。常設展示室には約150点が並びます。

キャプション内の(Y.A)は淺井裕介、(M.F)は福⽥美蘭
左《遊ぶ子》、右《挑み》
経歴のパネルに穴が空いている面白い仕掛け
母の岡本かの子は小説家、父の岡本一平は漫画家(ストーリー漫画の創始者!)
絵は《青空》、椅子も《ゆったり》という太郎の作品
この椅子は《スツール》という太郎の作品
《クリマ》
左の子が、ぱっちりしたお目々でかわいい
《駄々っ子》
絵だけでなく、立体作品も多数
椅子はすべて実際に座れる
《樹人》
《千手》
館内の様子
太郎初期の代表作《傷ましき腕》
常設展示室と企画展示室の間のスペース
偶然 x 偶然=必然

✔️ 企画展示室

1)福田美蘭

《重工業》
正しくは横置きだが、縦にしてみた by 福田美蘭

福⽥は、芸術や⽂化、現代社会への批評的まなざしを可視化する作家です。綿密なリサーチと福⽥ならではのウィットに富んだ視点に基づく作品は、鑑賞者へ物事に対する新たな視点をもたらします。今回は、福⽥がいう「⽣真⾯⽬」な岡本太郎に、全点新作で挑みます。

公式サイトより

福田美蘭の出品作品は、すべて本展のための新作!「福田美蘭の視点から見た太郎作品」を楽しく鑑賞できます(約15点)。

《7歳のときの落書き》
《太陽の塔のスタンプ》
芸術は…
爆発だ!

福田美蘭の作品は、本歌取ほんかとりと言うのか、オマージュと言うのか、モチーフと言うのか、ダジャレと言うのか。「楽しい」&「新しいモノの見方」を与えてくれる、まさに私の好きな現代アートのカタチです。

福田美蘭と太郎はアートに対する基本的な考え方が似ているため、2人の作品はとても親和性が高いと思います。

《朝日新聞写真館 since 1904 芸術家の日常》
※靴は脱がなくても入れます

福田美蘭の人を食ったようなユーモアのセンスには、三島喜美代のような大阪人の雰囲気を感じます。しかし、福田美蘭(現在61歳)は東京・世田谷出身のアーティストですなんですネ(私はそれが意外でした)。

▼ 三島喜美代の展覧会の感想

右:岡本太郎《夜》
福田美蘭《夜》
顔が狼のようになり、今風な感じ
岡本太郎《戦士》、福田美蘭《輪投げ》
威嚇的な作品も、輪投げでコミカルに。実際に輪投げで遊ぶのは美術館側からNGが出たらしい
福田美蘭《眼の絵画》
風船はすべて市販の鳥よけバルーン
岡本太郎《森の掟》

私は太郎作品の中でも、《森の掟》が一番好きです。そのため、過去に東京都美術館の展覧会に行った投稿の見出し画像も《森の掟》にしました。

▼ 東京都美術館で行われた「展覧会 岡本太郎」

そんな私の好きな《森の掟》のチャックが全開に!🤩

福田美蘭《森の掟》

周囲にいる謎のキャラクターたちも、違和感がないまま、原作とは微妙にポーズが変わっています。チャックの中が真っ白なのも、良い味が出ていて、新しい示唆を与えてくれます。福田美蘭の愛のあるオマージュに、思わずニヤッとしてしまいました

2)淺井裕介

淺井裕介《星飛ビ散ル》

淺井は⼟、⽔、⼩⻨粉、テープ、ペンなどの⾝近な素材によって、あらゆる⽣物の根源を想起させるような神話的世界を描く作家です。展覧会が開催される各地で採取した⼟を絵具にし、現地の⼈々と協⼒して⼤規模な作品を制作するなど、⼟地に根ざした作品を⼿掛けることでも知られています。

公式サイトより

淺井裕介は、川崎市内で採取した土を絵具として使い、ボランティアスタッフと一緒に、《在処》という巨大な新作を作りました。それも含めて、約15点の作品が展示されています。

靴を脱いで作品の中に入れます
岡本太郎《明日の神話》
淺井裕介《在処》の上を歩ける
触るとザラザラしているのが分かります
土について

淺井裕介は土を使うアーティストです。太郎も縄文土器が好きだった点からすると、2人には「土」が共通しています。

館内の様子
淺井裕介《組み合わせの魔法》
蝦夷鹿の血液とレバーを絵の具に使用
左右の2つ:岡本太郎《愛》
真ん中の小さいやつ:淺井裕介《はじまりのグー》

なお、企画展示室には、太郎の作品が約30点展示されています(福田美蘭によるインスタレーション内で展示も含む)。

岡本太郎《ノン》
会場を出た場所にある顔出しパネル

▶︎ まとめ

買ったポストカード。岡本太郎《戦士》

いかがだったでしょうか?1粒で3度おいしい展覧会でした(①福田美蘭と淺井裕介がキュレーションした常設展、②福田美蘭 x 岡本太郎、③淺井裕介 x 岡本太郎)。太郎と親和性の高いアーティストとのコラボ作品は、お互いの良さを数倍にして、より楽しめる仕上がりになっていました。あっけらかんと楽しめる展覧会のため、普段は美術館に行かない人にもおすすめです!

▶︎ 今日の美術館飯

★3.4/TARO (神奈川県/向ヶ丘遊園駅) - ビストロ風ナポリタン (¥1,078)、生ハムのヘルシーサンド (¥880)、TAROブレンド (473)
★3.2/星めぐり (神奈川県/向ヶ丘遊園駅) - 「星めぐり」ぷりんちゃんのホットケーキ +DRINK (¥935)

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Naota_t
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