【展覧会レポ】川崎市岡本太郎美術館「<岡本太郎に挑む 淺井裕介・福田美蘭>展」
【約4,100文字、写真約65枚】
川崎市岡本太郎美術館(以下、太郎美術館)で「<岡本太郎に挑む 淺井裕介・福田美蘭>展」を鑑賞しました。その感想を書きます。
▶︎ 結論
岡本太郎の良さを数倍に引き出した展覧会でした!また、岡本太郎、福田美蘭、淺井裕介ともに、どれも楽しい作品で、普段はない角度で示唆も得られました。特に、福田美蘭の作品はダジャレ的なので、普段は美術館に行かない人でも、あっけらかんとアートを楽しめます。また、美術館の近くは自然もいっぱいで気持ちがいいためオススメです!
▶︎ 訪問のきっかけ
最近、福田美蘭が気になっていました。また、私は岡本太郎(以下、太郎)も大好きです。そのため、私にとって、1粒で2度おいしい展覧会と思ったため、行くことにしました。
私が福田美蘭を初めて知ったのは、練馬区立美術館の「日本中のマネ」展。ダジャレみたいな作品は、見ていてクスッとできて楽しい。しかし、その裏側には、現代美術よろしくロックでクールな批判的精神を感じました。まさに私の好みの作風だと思いました。
▼ 福田美蘭を初めて知った練馬区立美術館の展覧会
今年11月には、群馬県立近代美術館のコレクション展で福田美蘭《still life》を見ました。これがめちゃくちゃ面白くて、釘付けになりました。撮影禁止だったことに加え、画像がネットのどこにもないため、紹介できず残念。
▶︎ アクセス
太郎美術館の最寄駅は向ヶ丘遊園駅。そこから歩いて向かう(約20分)のが最も無難だと思います。私は今回、バス停「川崎ゴルフ場入」から歩いて向かいました。すると、太郎美術館の裏側に出ます。
住所:神奈川県川崎市多摩区枡形7丁目1−5
▶︎ 川崎市岡本太郎美術館とは
川崎市岡本太郎美術館は、太郎の死から3年後、1999年に開館。川崎市生まれの太郎が、80歳(1991年)の時、352点の作品を川崎市に寄贈したことが建設のきっかけ。最終的には約2,000点の太郎作品が収蔵されています。私は2011年ぶり、2回目の訪問でした。
太郎と言えば、大阪万博のイメージが強いです。そのため、太郎は関西人だと思い込んでいました😅
館内は、常設展示室と企画展示室で構成。そのほか、カフェやミュージアムショップも併設されています。
なお、美術館建設に際し「自然を破壊する」として、地域住民の反対運動が起こりました。その後、原告を動物・昆虫・植物として争う「自然の権利訴訟」に発展(法律の教科書に載りそうな判例ですネ)。4年間、27回の公判の結果、美術館建設が市に損害を与えたと言えないため、原告の請求は棄却されました。
▶︎ 「川崎市市制100周年・開館25周年記念<岡本太郎に挑む 淺井裕介・福田美蘭>展」感想
要は、アーティストの淺井裕介と福⽥美蘭が、太郎の作品をリスペクトした作品に加え、2人が太郎作品をキュレーションするユニークな試みです。
なお、この日は子供2人がはしゃぎすぎて制御不能でした。私はまじまじと作品を鑑賞できなかったため、コメントは少なめです😅
✔️ 常設展示室
他の美術館で、企画展と関連したコーナーなどを設置する常設展は見たことがあります。しかし、企画展のアーティストが常設展のキュレーションをすることに加え、キャプションの執筆まで行うのは初めて見ました。常設展示室には約150点が並びます。
✔️ 企画展示室
1)福田美蘭
福田美蘭の出品作品は、すべて本展のための新作!「福田美蘭の視点から見た太郎作品」を楽しく鑑賞できます(約15点)。
福田美蘭の作品は、本歌取と言うのか、オマージュと言うのか、モチーフと言うのか、ダジャレと言うのか。「楽しい」&「新しいモノの見方」を与えてくれる、まさに私の好きな現代アートのカタチです。
福田美蘭と太郎はアートに対する基本的な考え方が似ているため、2人の作品はとても親和性が高いと思います。
福田美蘭の人を食ったようなユーモアのセンスには、三島喜美代のような大阪人の雰囲気を感じます。しかし、福田美蘭(現在61歳)は東京・世田谷出身のアーティストですなんですネ(私はそれが意外でした)。
▼ 三島喜美代の展覧会の感想
私は太郎作品の中でも、《森の掟》が一番好きです。そのため、過去に東京都美術館の展覧会に行った投稿の見出し画像も《森の掟》にしました。
▼ 東京都美術館で行われた「展覧会 岡本太郎」
そんな私の好きな《森の掟》のチャックが全開に!🤩
周囲にいる謎のキャラクターたちも、違和感がないまま、原作とは微妙にポーズが変わっています。チャックの中が真っ白なのも、良い味が出ていて、新しい示唆を与えてくれます。福田美蘭の愛のあるオマージュに、思わずニヤッとしてしまいました。
2)淺井裕介
淺井裕介は、川崎市内で採取した土を絵具として使い、ボランティアスタッフと一緒に、《在処》という巨大な新作を作りました。それも含めて、約15点の作品が展示されています。
淺井裕介は土を使うアーティストです。太郎も縄文土器が好きだった点からすると、2人には「土」が共通しています。
なお、企画展示室には、太郎の作品が約30点展示されています(福田美蘭によるインスタレーション内で展示も含む)。
▶︎ まとめ
いかがだったでしょうか?1粒で3度おいしい展覧会でした(①福田美蘭と淺井裕介がキュレーションした常設展、②福田美蘭 x 岡本太郎、③淺井裕介 x 岡本太郎)。太郎と親和性の高いアーティストとのコラボ作品は、お互いの良さを数倍にして、より楽しめる仕上がりになっていました。あっけらかんと楽しめる展覧会のため、普段は美術館に行かない人にもおすすめです!