【展覧会レポ】角川武蔵野ミュージアム「本棚劇場」「髙山辰雄ー存在追憶 限りなき時の中にー」ほか
【約4,900文字、写真約75枚】
角川武蔵野ミュージアム(東京都・東所沢)に初めて行きました。スタンダードチケットを使って、本棚劇場を見たり、「角川武蔵野ミュージアムコレクション展vol.03 髙山辰雄ー存在追憶 限りなき時の中にー」を鑑賞したりしました。その感想を書きます。
▶︎結論
1度は訪れるべきスポットだと思いました。親子・友人・カップルに向いています。良かった点:1)マンガ・ラノベ図書館は楽しいし、学びもあった、2)隈研吾の建築が格好いい、3)ミュージアムだけでなく「ところざわサクラタウン」が人が集うコミュニティになっていたこと。なお、本に対するアプローチは、私と少しズレがあったため気になりました。
▶︎訪問のきっかけ
今まで「角川武蔵野ミュージアム」は隈研吾が建築したことから行きたいと思っていました。川越で芋掘り体験に参加する機会があったため、その帰りに寄りました。
▶︎アクセス
角川武蔵野ミュージアムは東所沢駅から徒歩約10分。シンプルな道順です。
途中にある東所沢公園は、遊具が充実していることに加えて、スペースも広いため、子供と一緒に行けば、何十分でも遊べると思います。
道中に、日本初の「LEDマンホール」が28個設置されています。歩行者は「あー、これ知ってる!」など楽しく会話しながら行き帰りしていました。
住所:埼玉県所沢市東所沢和田3丁目31−3
▶︎角川武蔵野ミュージアムとは?
角川武蔵野ミュージアムは「ところざわサクラタウン」の一角に位置します。「ところざわサクラタウン」は「日本最大級のポップカルチャー発進拠点」として、2020年11月にオープン。株式会社KADOKAWAが運営しています。敷地内には、主に以下が含まれています。
・角川武蔵野ミュージアム
・武蔵野坐令和神社
・N高等学校・S高等学校
・ジャパンパビリオン(ショップ、レストラン含む)
・角川のオフィス、書籍製造・物流工場
広場では売店などもたくさん出店しており、行き交う人で賑わっていました。そして、いざ、角川武蔵野ミュージアムへ。
角川武蔵野ミュージアムは5階建て。大半の人は、1階と3階のイベントスペース以外に入れる「スタンダードチケット」(1,400円)を購入します。全体を通して「️1,000円くらいでいいんちゃうかな…」という印象でした。
▶︎感想
スタンダードチケットは「EJアニメミュージアム」(3階)、「グランドギャラリー」(1階)以外に入れます。初めて訪れた人へのおすすめルートは、2階(受付)→4階→5階→1階です。5階からも周れますが、4階からの方がスムーズです。
全体の印象としては、本に1mmでも興味があれば、1度は訪れてもいいと思います。緩いデートにも向いています。ただし、本に興味がゼロの人には向いていないと思いました。
✔️(4階)エディットタウン-ブックストリート
4階では、隈研吾がデザインした「違い棚」に、館長の松岡正剛が選書した角川の本をメインに「新しい本と出会い、新しい連想が生まれる」という思想のもと、25,000冊が9つの文脈で配架されています。
エディットタウンには来場者で窮屈なくらい溢れていました。来場者は、並べられている本を自由に読むことができます。みなさん、本の題名などを見ながらキャッキャしていました。
私はその光景を見て「この人たちは普段どれくらい本を読むんやろう」と疑問でした。私は年間約150冊の本を読みます(累計:2,175冊)。日経で「読書「月0冊」6割超、過去最多」(2024/9/18)とありました。
このスペースはおしゃれに、楽しく、溢れんばかりの本が並べられています。さながら「本の美術館」です。ただし、本は、読まないと意味がありません。来場者は楽しそうに、気になった本を、椅子に座ったり、立ちながら読んでいました。
しかし、1,400円払って、浮ついた空間でチラッと文字を読むことの繰り返しにどれだけの意味があるのでしょうか。落ち着いて、一冊通して読むことで理解が深まり、作者のメッセージも読み取れると思います。
ここに来た人たちは、本の良さに気付き、今後の読書数は増えるのでしょうか。本に親しんでもらおうという角川の意図は理解できました。しかし、映える空間や浮ついた来場者の熱気と、実際に普段から本を読む人は一握りしかない実態のアンバランスさにギャップを感じました。
✔️(4階)エディットアンドアートギャラリー
エディットタウンと同じフロアに、アートギャラリーも併設。過去には「中島みゆき」「らき☆すた」「岩合光昭」「俵万智」など話題性のある展覧会も実施していました。規模や展示方法ともに、見応えのある内容でした。
✔️(4階)荒俣ワンダー秘宝館
荒俣宏による「おどろき」の展示場。ブックストリート端の狭い空間で実施。この時は、様々な標本の展示や、「20世紀の美少女誕生<ガーリー・アート>」という特別展示が開催されていました。内容にこだわりは感じたものの、ブックストリートの箸休め的な印象を受けました。
✔️(4階)本棚劇場
ミュージアムのメインとされる場所です。約8メートルの本棚に囲まれた空間に約20,000冊が配架されています(実際に全て読めます)。そこで、20分ごとにプロジェクションマッピングが実施。「キレイだなぁ」と思いましたが「とは言え、これは何を伝えたいんや…」とも感じました。
なお、ここにいると、本の「背表紙」「表紙」「タイトル」はすごく重要だと感じました。来場者がその本を手に取るかどうかが、それらによってのみ決まるためです。
2020年の紅白歌合戦では、この場所でYOASOBIがパフォーマンスを実施したことでが話題になりました。
その後、5階に上ります。
✔️(5階)武蔵野回廊
武蔵野エリアに関する書籍や資料が並ぶ空間です。
✔️(5階)武蔵野ギャラリー
武蔵野や様々なカルチャーに関する展示をするスペースです。私は回廊、ギャラリーともにほぼ素通り。
その後、1階に向かいました。
✔️(1階)マンガ・ラノベ図書館
さまざまな出版社のライトノベルが収蔵され、児童書やコミックなど合計約35,000冊以上が集まる図書空間です。来場者は、リラックスした空間でそれらを自由に読むことができます。
『時をかける少女』の配給は角川ヘラルド映画。私は人生で2回以上見た初めての映画が『時をかける少女』でした(最終的に3回映画館で見ました)。
そのほか、私が見た(読んだ)角川が関わる漫画は『新世紀エヴァンゲリオン』『オーバーマンキングゲイナー』『あずまんが大王』『よつばと!』『とある魔術の禁書目録』『とある科学の超電磁砲』など。それらの作品に出会えたことを考えると、角川には感謝しかありません🙏
マンガ・ラノベ図書館には、児童書も置いてありました。そこでは親子が楽しく絵本を読んでいました。この付近には、東所沢公園、水遊び場などもあるため、子供と来ても十分楽しめると思いました。
『はらぺこあおむし』『パンどろぼう』の出版は角川だと初めて知りました。絵本の出版社といえば、福音館書店くらいしか知りませんでした。
私は、マンガ・ラノベ図書館が一番満足感が高かったし、学びが多かったです。普段、漫画などを読む時は出版社を気にすることはなかったです。しかし「角川は私の人間形成の一部にも関わっていたんやなぁ」と改めて気付くことができました。
「ブックストリート」で読書に勤しんでいる人たちを見て「つまみ食いみたいに読書して意味あるんかな」と思った一方、マンガ・ラノベ図書館で本を楽しく読んでいる人たちを見て「マンガやラノベって素晴らしいなぁ」と正反対の感想に至ったのは、自分でも不思議でした。
✔️そのほか
1階にあるミュージアムショップは洗練されていることに加え、オリジナルポストカードも豊富でした。
▶︎まとめ
ミュージアムの特徴が伝わりましたでしょうか?良かった点は、マンガ・ラノベ図書館では意外な学びがあったことに加え、隈研吾による建築が格好いいこと、角川が地域コミュニティにしっかり根差していることでした。そのため、親子、友人、カップルなどと来て楽しめるミュージアムだと思います。ただし「本」に対する興味を惹くアプローチの仕方、東所沢が若干アクセスが悪い点が課題だと思いました。
▶︎今日の美術館飯
▶︎おまけ(芋掘り)
角川武蔵野ミュージアムの前に行った芋掘りです(写真のみ)。掘る区画が決まっていて、料金は️1,000円。ゲットしたお芋を計ったら7キロもありました…😮