【読書メモ】最高の結果を出すKPIマネジメント
啓蒙系ではなくハウツー系のビジネス書ってあまり読まないんですが…最近KPIに向き合わざるを得なくなりまして…そしてKPIについて懇切丁寧に教えてもらえるほど甘くないので自学自習を…
最高の結果を出すKPIマネジメント 中尾隆一郎 著(フォレスト出版)
■評価:★★★★☆
全部読み通すというより、必要なところをピックアップして読むのが吉。図表がわかりやすいので拾いながらおさらしてもよし。
■KPIの定義
① KGI(Key Goal Indicator) =最終的な目標数値
② CSF(Critical Success Factor) =最重要プロセス
③ KPI(Key Performance Indicator) =最重要プロセスの目標数値
ということで、KPI単独で考えるのではなく、この3つの関係性を理解した上で、KPIを策定&追求していくというのが重要。
■KPIマネジメントのポイント
これを前提に、ダメなKPIとして挙げられていた以下があるあるすぎて泣けた…
1つめは、たくさんの数値目標を設定しているケース。 これでは、KPIのキー(Key) ではなく、単純に数値マネジメントですね。
2つめのパターンは、現場でコントロールできない指標をKPIとして設定しているケースです。
3つめは先行指標ではなく、遅行指標を選択しているケースです。
「最重要であり、コントロールでき、すぐに入手できる数値である」ことがKPIの条件。
※複数KPIは絶対にダメではなく、複数施策を振り返られる組織であれば大丈夫とも述べられています。
さらに、KPIと密接な関係がある(というよりもKPIの元になる)CSFを設定する上で重要なのは…
数式の中でどれが定数で、どれが変数なのかを分離することです。定数は変化しないわけですから、CSF候補から除くことができます。
ということで、「何を増やせば(減らせば)KGIが達成できるかを明確にすること」=「CSF設定」ということになるようです。定数と変数を分けること、意外とやっていない気がする…何でもかんでも変数のままにしがち。
※ちなみに中盤で書かれていますが「分母が変数なのは避けるべし」と書かれています。確かに…
■運用上の組織のあり方
実際のところやってみないと分からない場合が正直あります。その場合でも、できる限り事前検証を行って、その事実を関係者と合意を取っておくことが重要です。
事前に決めておく項目は4つです。
①いつ
②KPIがどれくらい悪くなったら(程度)
③どうするのか(施策)
④最終判断者(決裁者)
「KPIを設定して終わり」「日々管理をして一喜一憂する」ではなくて、ここまでシミュレーションをすることが大切と。つまり(当然ながら)担当者一人で回せるものではないのですよね。よって、関係者全員がKPIマネジメントについて理解を深めねばならない…
■覚えておきたいPDDSサイクル
Plan =よく考えて
Decide =すばやく絞り込んで
Do =徹底的に実行して
See =きちんと振り返る
著者はこの4ステップを提唱、PDDSサイクルの「S→P」について「マネジメントレベルを進化させている企業の共通点は弛まざる改善活動」として強調しています。このサイクルをうまく回すために、起案者は振り返りの実施についても具体的に盛り込み習慣化すべしとのことです。
■総括・雑感
以上が前半。後半は事例集と具体的な進め方です。なので前半だけで要点はつかめるかな、と。改めて思うのは、起案者だけがKPIについて理解していても仕方ないし、やりっぱなしで終わらないことが極めて大切なのだな、と。
うまくKPIをマネジメントすることで、本文中にあった「ゴーイングコンサーン(Going Concern)」=「事業がずっと続くように運営する」=「商品・サービスを開発・改善し続ける」ことを目指していきたいと思う今日このごろであります。