マガジンのカバー画像

俳句、短詩

174
自分の俳句作品や、鑑賞、思いなど気ままにまとめています。また、短歌などの短詩形作品などについても触れています。
運営しているクリエイター

記事一覧

✤2024日日俳句 にちにち・はいく✤
11/22 資本主義とは着ぶくれることなのか

✰たまには時事俳句? 時事の句は滅多に作らない。所属している現代俳句協会は時事俳句が多いイメージ。でも、この作りだと文章みたいだなあ。生徒さん方すみません、あんまし参考にならんかも^_^;

【俳句12句】君を待つ~夏目友人帳 漆 第七話「苦手なふたり」に寄せて

【俳句12句】君を待つ~夏目友人帳 漆 第七話「苦手なふたり」に寄せて

君を待つ

ため息を掠めて紋黄蝶の羽
不愛想な自転車の兄春の昼
鳥ぐもり祖父と妹はるけくて
報酬はエクレア一つ夜半の春
手に載せし鍵に朧のけはひかな
ひこばえや兄の言葉のぎこちなし
ひとり守る家の廊下の陽炎へる
永き日や用心棒は猫のふり
鳳凰の書棚春陰の鍵穴
二人なら開く扉よ風光る
君を待つ春夕焼の兄と祖父
未来より降りやまぬ花いつまでも

※俳句12句は、放映された物語からインスパイアされて作者

もっとみる

✤2024日日俳句 にちにち・はいく✤
11/21 その名はネメシス冬薔薇の真つ赤

✰ネメシスは「復讐の女神」とアガサ・クリスティの作品で知った。後で復讐ではなく義憤という説を読んだが最初の刷り込みは強く、恐ろしく美しい女神が脳裏に浮かぶ。寒くなると読みたくなるクリスティ。

✤2024日日俳句 にちにち・はいく✤
11/20 山茶花や住宅街のクリニック

✰句会。憧れの先輩の特選に。ただただ嬉しい。(画像は季語とは無関係です)

✤2024日日俳句 にちにち・はいく✤
11/19 冬川の向つてきたり私へ

✰寒い。川はゆっくり流れている。
今日の雲はまさに冬の雲。
冬の雲の表情は大好きなので嬉しい。

✤2024日日俳句 にちにち・はいく✤
11/18 フィナーレへ冬満月の上がりけり

✰昨夜の『光る君へ』は道長が望月の和歌を詠んだシーンが白眉。和歌の解釈がまさかで脚本・演技・演出に唸った。折しも16日は道長が和歌を詠んだ時と同じ望月。でも曇で見えず。画像は放映日17日の月🌕️

✤2024日日俳句 にちにち・はいく✤
11/17 パソコンの前の頬杖室の花

✰これから句会。まだ全然できてないので唸りながら作っている。毎回の展開。

✤2024日日俳句 にちにち・はいく✤
11/16 アロエ咲く人懐つこき島言葉

✰カルチャー俳句講座。生徒さんの作品でアロエの花は冬の季語と知る。えー!前から歳時記にあったっけ? ダメなワタクシ😅そういえばどこかで見たことある花だ。印象的で面白い花なので、私も初めて詠んでみる。

【俳句雑感】言葉が言葉を呼び、拓く世界~100分de名著「百人一首」第2回を観て

【俳句雑感】言葉が言葉を呼び、拓く世界~100分de名著「百人一首」第2回を観て

※以下は、筆者の私見であり備忘録です。間違いなどある場合はご容赦くださいませ。

現在、NHKのEテレ「100分de名著」では「百人一首」が取り上げられています。
先日放送の第二回では枕詞や掛詞、縁語や見立てなどの和歌のさまざまな技巧が紹介されていました。
31音を細かく見ていくとさまざまな技巧が繊細に組み合わされており、短い音数の詩型を存分に生かし、世界を膨らませるための効力の素晴らしさがよくわ

もっとみる
【俳句12句】ふたたび霧~夏目友人帳 漆 第六話「廃駅・ふたつの輪」に寄せて

【俳句12句】ふたたび霧~夏目友人帳 漆 第六話「廃駅・ふたつの輪」に寄せて

ふたたび霧

鳥籠のこゑ霧よりもやはらかく
廃線やしのつく雨へ緑の眼
トンネルは黄泉比良坂蛇行せむ
妖の咆哮すさまじき木霊

左目のほほゑみ薄く滴りぬ
空割れてきこきこと木偶の肢体
傘を広げて祓ひ屋は花の下
禁術の匂ふ夕闇孕みけり
とこしへに欠けし右目よ天炎ゆる
泰山木散るほほゑみに影の色

雨上がるふたたび霧となる人よ
夕焼に縁の少し見えさうな

※俳句12句は、放映された物語からインスパイアさ

もっとみる
【俳句10句】皆ゐて~夏目友人帳 漆 第五話「ちょびの宝物」に寄せて

【俳句10句】皆ゐて~夏目友人帳 漆 第五話「ちょびの宝物」に寄せて

皆ゐて

落日に閃く龍よ山眠る
鯛焼を食む先生のまろき頬
たからもの割れて友の手冷たくて
捨てられず冬の夕べを一人ゆく
ひとひらの龍の鱗を追ふ冬野
寒晴や脱線しつつ仲間たち
そつけなき先生の援護冬ぬくし
冬天の摑めば光なる鱗
虹色の櫛永遠の冬の虹
歓声の寒夕焼や皆ゐて

※俳句10句は、放映された物語からインスパイアされて作者(私)が詠んだものです。 映像より季節は「冬」と判断しました。
インスパ

もっとみる
【俳句を読む】第28回炎環賞受賞作&『俳句四季』2024年10月号・精鋭16句「水切りネット」

【俳句を読む】第28回炎環賞受賞作&『俳句四季』2024年10月号・精鋭16句「水切りネット」

毎年、秋に発表される結社賞「炎環賞」。
20句の未発表連作を対象とした俳句結社「炎環」のコンクールで、今年は二作が同時受賞となった(筆者は本賞のスタート以前より炎環に在籍しているが)二作受賞は珍しいのではないかと思う(いや、もしかして初めて?)。

お二方、おめでとうございます!

受賞者のお一人は同人作家・北悠休さん。
作品「ノクターン第二十番」は、御母堂を見送られるまでの日々を抑えた表現で丁寧

もっとみる
【俳句10句】栞紐~夏目友人帳 漆 第四話「頁の奥」に寄せて

【俳句10句】栞紐~夏目友人帳 漆 第四話「頁の奥」に寄せて

栞紐

ほの暗き神在月の古書店よ
でこぼこと背表紙の列冬はじめ
父のこと冷たき頁捲りつつ
寒雷の遠し呪詛の字蠢いて
先生は片目を瞑り夜半の冬
本貸してしぐれを帰る淡き背
「あの人」と少女は呼んで冬茜
見開きに吸はれし霜枯の悪鬼
はつふゆの光る頁へ帰りけり
冬の日の記憶へ挟む栞紐

※俳句10句は、放映された物語からインスパイアされて作者(私)が詠んだものです。
映像より季節は「冬」と判断しました。

もっとみる
てのひらの打ち明け話:乾佐伎句集『シーラカンスの砂時計』

てのひらの打ち明け話:乾佐伎句集『シーラカンスの砂時計』

「吟遊」同人・乾佐伎さんの第二句集。
絶滅したと考えられていた古代魚・シーラカンス。
実際には現生種が発見され「生きている化石」と呼ばれている。

人間には想像もつかない長い時間を紡ぎ生き残ったシーラカンスの歴史。
その砂時計の尺度は、人間のそれとは違う重みと刻み方をしているのではないか。
そのシーラカンスの歴史からみれば、わずかなヒトの歴史。
そして、個人の歴史。
それは、まるでてのひらほどの広

もっとみる