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【俳句10句】栞紐~夏目友人帳 漆 第四話「頁の奥」に寄せて

栞紐

ほの暗き神在月の古書店よ
でこぼこと背表紙の列冬はじめ
父のこと冷たき頁捲りつつ
寒雷の遠し呪詛の字蠢いて
先生は片目を瞑り夜半の冬
本貸してしぐれを帰る淡き背
「あの人」と少女は呼んで冬茜
見開きに吸はれし霜枯の悪鬼
はつふゆの光る頁へ帰りけり
冬の日の記憶へ挟む栞紐

夏目友人帳 漆 第四話「頁の奥」に寄せて
古本屋を舞台に北本君とカエダのほのかな心の触れあいが印象深い作品。
今回の映像化では繊細な心理と初冬の季節感が丁寧に描写されており、さらに大事な作品となった。
記事のトップ画像の3冊の本は、北本君がカエダに貸したミステリ短編集を真似して。
すぐ上の画像は北村薫さんの著書。
表題作『遠い唇』は、中村草田男の冬の俳句「大學に来て踏む落葉コーヒー欲る」から始まる、人と人との触れ合いが切なくもしみじみ沁みるミステリ作品。
どこか『夏目友人帳』の世界観とも通じ合うものがあると思う。

※俳句10句は、放映された物語からインスパイアされて作者(私)が詠んだものです。
映像より季節は「冬」と判断しました。
インスパイアに基づく俳句なので、必ずしも物語通りの映像でなかったり、物語に登場していない事物が登場することもあります。
ご了承くださいませ。

お読みいただき、ありがとうございました。
「夏目友人帳 漆」第五話は原作で繰り返し読んだ「ちょびの宝物」! 
放映が今からとても楽しみです😊

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