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【料理エッセイ】大豆ミートの先を行くらしい、たかきびミートの肉超ハンバーグを食べてみた!

 わたしはヴィーガンではないけれど、ヴィーガンには興味があって、以前、『動物倫理の最前線』という本を読んだところ、なるほど、そういう考え方に基づいているのかと納得はいった。

 正直、わたしは誤解していた。ヴィーガンは動物を殺すのは可哀想だからやめようと言っているのだと思っていた。それなら、植物は可哀想じゃないのか? とか、人間の業として避けられないことなんじゃないか? とか、感情的な部分で疑問を抱いてきた。

 ところが、調べてみると、そんな曖昧なものではなかった。具体的には、功利主義の観点から最大多数の最大幸福を追求したとき、自然、たどり着く結論がヴィーガンであり、非常に哲学的な立場なのだった。

 普通、最大多数の最大幸福の考え方は政策を作るときなどに使われる。医療制度を改革するのは、できるだけ多くの人が健康状態を維持することを目的としている。義務教育はどんな境遇の子供であっても、社会で生きていく上で必要な知識が身につけられるようにカリキュラムが組まれる。

 ただ、この場合、最大多数の範囲をその国の国民に限られている。視野を広げれば、世界中の人たちを対象にすることも可能で、そういう発想から国連だったり、WHOだったり、様々な国際機関が作られてきた。

 もし、さらに視野を広げたとしたら、どうなるだろうか。人類を越えるわけだから、動物たちが最大多数に含まれてくる。

 この論理によって、ピーター・シンガーは1975年に『動物の解放』を発表。動物実験や工場畜産は動物たちの幸福度を著しく損ねるものとして、やめなくてはいけないと提唱した。

 つまり、ヴィーガンは人間と動物をわけるのではなく、生き物全体という大きなくくりで捉え直し、その中の平等性や公平性を追求しようとしているのだ。従って、人間が餓死したとしても、動物たちの命が搾取されないのであれば、最大多数の最大幸福が達成されるという意味で、自ずと肯定されるのである。

 わたしの個人的な立場としてはヴィーガンに共感はできないけれど、最新の研究成果を目の当たりにして、その知的な活動に興味が湧いた。

 だから、肉も魚も大好きだし、牛乳も卵も欠かせないけれど、ヴィーガンの生活について知りたくて、プラントベースフードを積極的に試しているし、適宜、情報収集に努めてもいる。

 先日、そんなアンテナにビビッと引っかかる商品をYouTubeで見つけた。

 肉を超えた肉という煽り文句が堪らない。どうやら、タカキビを主原料とした代替肉らしく、ビジュアルはたしかにめちゃくちゃ肉っぽい。

 大豆ミートが販売されたとき、わたしはすぐに飛びついている。それはハンバーガーだったけれど、つい、本物の肉と比較してしまうので、ニセモノだなぁという印象は免れなかった。

 でも、その後、スーパーで市販されるようになると自己流でレシピをアレンジし、麻婆豆腐を作ったところ、これはこれでありという味にはなった。

 してみれば、その調理法がイマイチであっても、食材のポテンシャルを把握するきっかけにはなるわけなので、食べられるものはとにかく食べておきたい。

 ということで、ネット通販でたかきびミートの肉超ハンバーグを早速取り寄せてみた。

 開発したのは徳島を中心に飲食店を多数展開している株式会社ふじやという会社。その公式通販サイトでハンバーグ4個と餃子36個の入った食べ比べセットというものを買った。

 お値段は4,500円。ここに送料が加わってくるので、なかなかの高級品。日常の食卓で並べるにはまだまだハードルが高そうだ。

 しかし、新しいものはなんだって、最初は高い。そこは勇気を持って、チャレンジしてみないことにはなにも始まらない。

 もちろん、届いた日の夕食で出してみた。

 まずはハンバーグ。かなりよさげな顔をしている。テンション上がって、人参のグラッセと茹でたブロッコリー、バターコーンを添えてみたので、さながら洋食屋さんの感じ!

 断面も悪くなかった。

 期待値が高まる中、パクッと一口。

 もぐもぐ。

 もぐもぐ。

 ふむふむ。まあ、そうだよねぇって味わい笑

 ちなみに美味しいは美味しい。だが、やはり、ハンバーグの形をしていると本物のハンバーグを頭の中に思い浮かべてしまうので、ついつい、比べずにはいられない。すると、肉汁が口の中に広がらないので、物足りなさは否めない。

 そう言いつつも、焼き目のついている表面部分は香ばしくって、かなりレベルは高かった。ちょっと思ったのは無理にハンバーグにするのではなく、薄く伸ばして、焦げ目ばかりの煎餅にしたら、かなり魅力的ではなかろうか。

 なんとなく、未来につながる食材として、光り輝く予感はあった。

 ちなみに、餃子も焼いてみた。

 これに関しては驚いた。子どもの頃、近所の町中華で食べた餃子にそっくりだった。

 最初、どういうことかわからなかった。どうして、肉を使っていないのに、あのお店と同じ味がするんだろうと不思議だった。そして、シャーロック・ホームズの「全ての不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙な事であっても、それが真実となる」という名言に従って、推理した結果、わたしはひとつの答えを導き出した。

 あの町中華は餃子に肉を使っていなかったのだ!笑

 たしかに、ヘルシーを売りにしていたけれど、まさかそこまでだったとは。恐るべし、庶民の工夫である。

 そして、当時、我が家を始め、近所の人たちはその餃子を美味しい、美味しいと言って、しょっちゅう食べていたことを考えると、ヴィーガン餃子は案外すんなり普及してもおかしくない。実際、今回の餃子もけっこうよかった。

 いずれにせよ、たかきびミートという新しい食材との出会いは刺激にあふれていた。日本では未だヴィーガンは人口に膾炙していないけれど、世界的には大きなマーケットになりつつあるので、これからが楽しみな逸品だった。




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