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東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
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#スポーツ

秋の始まり、必要なさよならのこと

秋なんてうそじゃないかぜんぜん涼しくなんてならないじゃないか。と、ノースリーブを着て扇子であおいでソウルの夜の街を歩き回っていた。ところがその一週間後、あれ、涼しい。と言って、その酷暑のソウルで買った長袖の白いブラウスをいそいそと取り出した。秋というのは忙しい。私は季節の中で夏が一番好きなのだけれど、そんな私でも夏の暑さにたまに嫌気がさしてくるので、ほかの人にとったらもはや親の仇みたいな感情がわいても仕方がないとも思う。まあなにはともあれ、そんな夏で疲れ果てた体にやってくる秋

【4/18中日戦◯】 「ヤクルトだって必死ですからね!」、そうです。

1点とっても2点とっても3点とっても安心できない。せめて4点くらいあれば安心かと思うとそうでもない。4点差なんてものは、1イニングでも簡単においつかれてしまう。なんといっても今年の中日は、強い。いまだに「なんでいるのよ中田翔…」とつぶやきながら絶望した気持ちで打席を見つめ、「え、上林ってあの上林?なんでいるの上林?」と今さらなことを息子に聞き、かと思えば「細川ってどこにいた細川かママはちゃんとわかってる?」と息子に聞かれたりしている。そして「なにこの2イニング無失点で抑えるい

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【4/20中日戦○】大切なことは、あとから振り返ったときに気づくもの

球場を駆け回るキッズたちを見て、なんかふいに、泣きそうになる。 ついこの間まで、息子はこの子たちと同じくらいの歳だったのだ。うれしそうに傘を持って、覚えたての野球のルールを必死で教えてくれて、見よう見まねでスコアブックに得点を書き込んでは喜んでいた。iPhoneの写真アプリは、たまにその頃の息子の動画をレコメンドしては私を泣かしにかかる。 気づけばもう、息子は中学生だ。今日は一人で行ったことのない駅まで行って学校の遠足に参加していた。息子は遠足から帰ってくるのが遅く(そし

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【4/18中日戦○】田口とたっつぁん

たっつぁんというのは、みんな大好きヌートバーではない。達川光男氏、解説のたっつぁんである。 NHKでみやさまが解説しているとはつゆ知らず、フジテレビONEでたっつぁんの解説をまじめに聞いていた。 村上春樹はプロ野球の実況と解説がどうもにぎやかすぎて、無音で中継を見ることも多いと、なにかのエッセイで書いていた。まあそうは言っても世にはいろんな仕事があり、その仕事自体を否定するものではない。もちろん。それは、当然、好みの問題である。 そして好みの問題でしかないわけだけれど、

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【4/16広島戦●】安心と慢心のあいだに

我ながらうまいことを言っている。いや、そんなことを言っている場合ではない。 この、サヨナラ負けの翌日の5点差逆転負け。というのは、なんだか「知っているぞ」と、思う。懐かしい気持ちすら覚える。いや、いや、そんなはずはない…。そういった記憶ははるか彼方においてきたはず・・・・・・・・いや・・・・・・・

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【4/14・15広島戦●●】「やり場のない思い」の、行きどころ

サヨナラというのは、見てる方もそりゃもうやり場のない思いを抱える。「やり場のない」という表現がほんとうにしっくり来る。広辞苑の用例に入れてほしい。とにかく、負け方の痛みとしてはかなり強い。 前日は、1-0のまま、降雨コールド負けだった。これもまあなんというか消化不良感の残る負け方だけれど、その翌日のツーアウトからの逆転サヨナラというのはやっぱりとても、とても、つらい。 「やり場のない」思いは、その日ずっと、つきまとうことになる。そう、ホテルでおいしいコースを食べていてもふ

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【4/12横浜戦●】てっぱちが、抱えるものを。

「打たれる日」と、いうのはもちろんやってくる。そりゃそうです。知っていたけれどもいざやってくると「ううう…」と、やっぱり、うなだれてしまう。どんなときだって、負ける時というのは、悲しいものだ。「そういうものだ」と、つぶやくしかしかないのだけれど、悲しいものは、悲しい。ううう。と、思う。 うまくいかないときってこんな感じだったなあ。と、つくづく思う。むねちゃんの先制点までは「あれ、今日もいけちゃうのでは!」と、思う。だけど3回の牧の逆転2ランで、あれれ?と、思う。おかしいな。

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【4/11横浜戦○】むねちゃんは「もっと打てるんで」と、言った

カート・ヴォネガット・ジュニアの『スローターハウス5』という小説に、こんな一節がある。 ほんとうにへんてこな小説なのだけど(主人公は宇宙に連れていかれてどこかの星の動物園に美女と一緒に展示される)、まあほんとうにおもしろい本である。そしてこの一節はほんとうに、すばらしいなと思う。 宇宙に連れて行かれるのも動物園に展示されるのもおそらく「変えることのできない物事」なのだけれども、それを受け入れる落ち着き(この本の中では「そういうものだ」というつぶやきが繰り返される。)が大切

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【4/9阪神戦△】この投手陣のふんばりを、シーズン通して忘れずにいたい

息子を数学の講座に送り届け(5時間ぶっとおしでやるらしい。私にはわからんが息子には楽しいらしい)、そのついでに新宿界隈を久々に探索し、観戦エッセイをスタバで書き上げ、急いで家に戻る。 あまりに急いでいたせいかバスを乗り過ごし(ええ…)イヤホンで配信を聞きながら、遠いバス停から家まで歩く。良いお天気で、歩くのが気持ちいい。良い季節だ。たまにはバスも乗り過ごしてみるものだ。 吉村くんは初回さっそく一死満塁のピンチをまねきながら、無失点で乗り切っていた。ここで5失点、みたいな試

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【4/7・8阪神戦○●】一つの結果が出てからも、人生は続く。

初回に取られた1点が尾を引き、こりゃまったく取れないわ…と、思うところから、起死回生のホームラン2本で逆転勝ちする日もあれば、こりゃまったく取れないわ…と、思ったそのまま、試合が終わる、日もある。この2日の試合にはそれがぎゅうっと、凝縮されている。(息子の入学式により、2日まとめてのアップになったため、2試合を無理やりくっつけてまとめている感はいなめない。) しかし本当に、どちらの試合も「こりゃ打てないな…」と、思っているところまでは同じだったのだ。だけど金曜日はオスナのホ

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【4/6中日戦●】カツオさんは、いつもぜったい、いいわけをしない。

昨日に引き続き田口のYouTubeのお話。 カツオさんは「続けること」の大切さについて話していた。青木は「諦めないこと」について、話していた。でも思うにその二つは、二人ともきっと、大切にしていることだ。 カツオさんは今日、3回途中に、3失点でマウンドを降り、負け投手になった。カツオさんが悔しそうにマウンドを降りる姿を、何度見ただろう、と思う。「うまくいくことより、うまくいかないことの方が多いんだけれど」と、カツオさんは動画の中で言っていた。うまくいく試合より、いかない試合

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【4/5中日戦○】青木の「諦めない力」、カツオさんの「続ける力」、その先にあるチームの成長

今さらだけれども、田口のYouTubeを息子と二人で見ていた。とにかく田口の「聞く力」がものすごくて、これはもうインタビュアーとして仕事をお願いしたいまじで…と、思うほどだったのだけれど、とりあえず青木とカツオさんの回は、これは小中学生に見せたいYouTubeナンバーワンに選ばれるんじゃないか、と、思った。 こんなに示唆に富み、かつ健全で(何より大事)、励まされるYouTubeはなかなかない。いや、私があまりYouTubeに詳しくないから勝手なイメージを持ってしまっていてY

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【4/4中日戦○】春のあたたかさと少しの心細さと

思うにこの観戦エッセイを構成する要素というのは主に、愚痴、ため息、なぐさめ、からのよくわからん開き直り、であったように思う。 ところがここのところ、愚痴ることが特に、ない。どれだけ勝ったとしても「いや長いわ!(試合時間!)」くらいは言う要素があったのに、もはや、試合時間すら、短い。なんということだ。もう書くことがない。 考えてみれば、書き始めたときはだんとつの最下位で、もちろん勝つことより負けることの方がずっと多く、連敗なんてしょっちゅうで、あらゆるパターンの負けを目にし

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【4/1・2広島戦○○】 「みんなほしくんを好きになっちゃうね!」と、むすめが笑う

土曜日。朝から鴨川沿いをランニングし、まるき製パンに並んで、子どもたちと朝ごはんにする。京都駅に荷物を預け、大好きな七条のお好み焼き屋さんまで歩く。 京都駅から七条までの道は、高校の頃によく通った道だ。「ここのマクドがたぶん、ママが人生で一番通ったマクドだと思う。」と言いながら、子どもたちと歩く。ここを子どもたちと歩くようになるなんて、20数年前(20数年前!!)は、思いもしなかった。 おじいちゃんの一回忌と、お母さんの17回忌で、京都に帰省した。(何回忌か忘れていたけれ

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