EPilogue壁/逆騒69
EPilogue壁/逆騒69
壁はすべての希望を打ち砕くほど高く、途切れることなく絶望的なほど堅牢に作られている。
その遥か天辺の有刺鉄線越しに、故郷で目にするものとは明らかに異なる光の激しさを持つ青空がどこまでも広がっているのが見える。
有刺鉄線にはビニール袋や衣類の切れ端や、女の長い髪の毛なんかが引っ掛かっており、時折、風になびいて揺れる。
空気は常に汚くて、それは砂埃や火薬や腐り始めた血肉の臭いを含んでいるからだ。
逆光の中シルエットになった無人偵察機の翼が眩しく煌めく