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EP14 StayHungry(PART.2)

続EP14 StayHungry(Part2)

何度かこの3人で雑魚寝したことがある。
つまり俺と、俺のことを評して悪魔だと言った女友達と、彼女の親友だというチタン貫通ドーヌデルモのトイバをしている女の子とで。
1度目はあなたって悪魔よねの部屋で。
狭い玄関を上がると電子キーボード。
洗濯籠の中には意外と大人びた趣味の蜜の光沢を放つ絹のTバック下着。
俺は見逃さない。
しばらくするとチタン貫通ドーヌデルモが喘息の発作を起こして激しく咳き込み始め、何処かへ姿を消して、俺も目が覚めてしまって。
もう真夜中過ぎで。
俺はデッキチェアのある屋上へ。
咳止め薬と酒の酔いも覚め、ニコチンタール国内最強の両切り煙草の禁断症状もあり、デルモの体調を心配するふりもあり。
しかし人の気配はまったくなし。
くだらない観葉植物がぽつり。
月明かりに照らされ都内でも有数の、広い公園の深く生い茂った緑が眼下に無言のまま広がって。
それをひとり虚しく眺め、煙を思いっきり吸い込んで、吐き、東南アジアの熱帯雨林の奥深く大破したアメリカ空軍騎兵隊ヘリに内蔵された、電脳回路を侵蝕して全世界に誤情報をいまも発信し続ける、菌類の光合成を想い。
野鼠が巣篭もり。
頭蓋骨とおしゃべり。

次に3人で雑魚寝したのは俺の部屋(未遂)。
クラブか何かで遊び過ぎて終電に乗り損ね。
折よく同棲していた女はお前の存在が俺の創作意欲の邪魔をするって理由で実家に帰らせており。
寝床はデッキチェアより少しマシなだけの、折り畳み式のシングルベッドがひとつなだけで。
土足OKが我が家のルールを既に知ったる2人はハイヒールを脱ぐこともせず、靴音立ててさっさと室内に上がり込むと、突然プチッと糸の切れた操り人形みたいに皺の寄ったシーツの上にどさっと倒れ込み。
女同士で抱き合うようにして寝息(のふり)。
俺はもちろん2人に抱きついた。
チタン貫通ドーヌデルモの汗で湿った背中越しに、あなたって悪魔よねの首筋から鎖骨にかけて舌。
するとまずチタン貫通ドーヌデルモが繰り出す本気の肘鉄が俺の肋骨にお見舞いだ。
必死にしがみつくが、断固たる決意の細長いのとムチッと肉付きがよいのと2本の脚で、ベッドの端まで抵抗むなしく蹴り出され、背中から黄ばんだティッシュペーパーの塊の山へ。
肩甲骨を咳止め薬の空き瓶が直撃。
鈍い落下音が闇夜を揺るがして。
壁に立て掛けてあった、錆びた弦が2本で成人雑誌の断片でモザイクコラージュされたエレクトリックギターが横ざまに傾き、倒れ、床に激突し、一瞬ペニスの付け根から亀頭にかけての裏筋を強い電流が貫いたような心地よい音が鳴り。
その残響音の中、煙草の吸い殻や灰と、女たちの靴底に付着していた砂利や砂埃と、突然変異を繰り返す危険なウイルスと、いまこの部屋には存在していない女の陰毛が何本か舞っ。
もう真夜中過ぎで。
野鼠が巣篭もり。
頭蓋骨とおしゃべり。

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