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駅伝を見てまた読みたくなった小説2冊

お正月の恒例箱根駅伝。今年は最終区でのドラマに多くの人が心を動かされたのではないでしょうか。


さて、そういう私は走るのが嫌いです。この世で一番キライな体育の授業は持久走でした。高校時代は走る練習が嫌で、なんでバレー部に入ってしまったんだろうと後悔したことすらありました。

そんな私でも、走るっていいなと思えた本があるんです。我が家は駅伝を見る文化がないので、私が箱根駅伝を見ていたのは復路のほんのすこしの間だけでした。でも、そこに走る選手たちを見て2冊の本を思い出しました。

今日はそんな2冊について書いていきたいと思います。


そもそも駅伝を扱う小説の魅力とは


駅伝を見ながら勢い余って母にその2冊について話した私は、なぜ駅伝というコンテンツがストーリーとして魅力的であるのかについて考えていました。

それは、誰もが走ることを経験したことがあるから。そして、走ってたすきをつなぐということは、誰にでも理解できるルールだから

その2つに集約されるんじゃないかなと思いました。

限界まで追い込んで走ることは辛いことです。それは距離や速さは違えど、誰でも生きている中で経験したことがあるはずの感情だと思います。私自身は走るのが好きではないので、自分から走ろうという人の気持ちを理解できるわけではありません。でもその苦しさを知っているからこそ、彼らの物語に感情移入できると感じます。

もう一点は走るという競技のシンプルさです。スポーツを扱った素晴らしい小説はほかにもたくさんありますが、ある程度のルールを理解するという事が前提になってきます。もしかしたら自分がもっと詳しければ、より楽しめるのかもしれないということもあります。その点、走って次の仲間にたすきを繋いでいくというストーリーは誰でも理解できます。細かいルールは別にあっても、それ以上に走る行為そのものがメッセージを伝えやすい題材かもしれないと思うんです。


『風が強く吹いている』/ 三浦しをん


さて、それでは本題の書籍の紹介に移ろうと思います。

まず1冊目は、私のだいすきな小説のひとつである、三浦しをんさんの『風が強く吹いている』です。これはいわずとしれた駅伝小説だと思います。

大学駅伝を描いた全659ページを一気に読み切れる長編小説です。

【あらすじ】
箱根駅伝を走る。灰二の想いは最後のチャンスの年に、走との出会いで動き出す。10人の個性的なメンバーは、それぞれ走ることへの思いを抱えながら挑戦していく。走って限界を超えることの純粋な喜び以上に、たすきを繋ぐ仲間への責任を背負う彼ら。走ることに向き合い切った疾走感あふれる作品。

走るという孤独な戦いを、仲間のために乗り越えていくということ。彼らとともにゴールを目指す気持ちで、思わずのめり込んでしまう作品です。限界を越えようとするその姿勢に、肉体と精神の力強さに、圧倒的な美しさと感動を覚えるはずです。駅伝好きだけでなくすべての人におすすめしたい1冊。

今を過ごす勇気がもらえる作品なので、まだ読まれていない方はぜひ読んでほしいです。


『あと少し、もう少し』/ 瀬尾まいこ


次に紹介する作品は、中学駅伝を描いた瀬尾まいこさんの『あと少し、もう少し』です。

【あらすじ】
名物顧問がいなくなった今、代わりに来たのは駅伝など何もわからない美術教師だった。そんな中で部長の桝井は3年間の最後の大会で、県大会の出場を目指すが、、。中学生の駅伝に必要なのは能力より努力。集められた6人のメンバーそれぞれが、1区1区ストーリーをつないでいく作品。

6人それぞれに、走ることでの葛藤、中学生らしい人間関係、そして仲間との努力の記憶があります。各区にこめられたそれぞれの思いと並走しながら読み進めていく時、駅伝という競技のきらめきを自分も感じられたかのように思う1冊です。最後まで走った時、題名がきっと心にしみるはず。

中学駅伝は大学駅伝とは違い、6人のメンバーでたすきを繋いでいきます。学生時代の青春と葛藤が染み入るお話で、何かを必死で頑張る後押しをしてくれる温かい作品でもあります。

全部で357ページと比較的読みやすい長さなので、長い小説はハードルが高いという方にもおすすめしたいです。


いかがでしたでしょうか。

駅伝が好きな方、お正月に感動した方だけではなく、毎日を頑張って過ごしている方、勇気がほしい方にもおすすめです。

私も前を向いて進んでいこう。

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mayu
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