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『自分とかないから』読書感想文
現代を生きていると、自分とは何かを、明確につかみ、表現しないといけない気がする。
就活では当然のように自己分析が求められ、SNSではキャッチコピーと魅力ある自己紹介がよしとされ、MBTI(16の種類に分類される性格診断)がはやる。自分をわかっていない人や夢もなく生きることは、なんとなく評価が低い気がして居心地がわるい。
そんな中で、私たちが持っている様々な肩書きは、便利に使われてきた。有名企業の社員だとか、どこ大学の出身だとか、自分を表現しやすいから。一方で最近はインターネットで沢山たくさん情報が入り過ぎて、「ほんとうの自分」なるものを探したくなったり、それをすぐ見失ったりしてしまうのかもしれない。
わたし自身、わたしにしか書けない文章ってなんだろうとか、わたしってどんな人なんだろうとか、そんな正解のないことを考え込む癖がある。それは嫌なことではないんだけれど、ときどき人と比べたり普通と比べたりで疲れてしまう。
いわゆる「自分探し」の旅をすることはないけれど、それでもときおり息抜きをしている。でも、これまた貧しい現代日本、余裕をもって息継ぎをすることすら忘れて消耗している人が後をたたない。この本の著者も、社会の中で消耗しまくった結果、ふとんから出られなくなったのだと思う。
そんなかで出てくる、圧巻の答え。
前提を覆すそれが、
「自分とかないから」
なのだ。
自分ってないんだ。てっきりあると思ってたわ。だってほら、息してるこの生命体はわたしだし、わたしとあなたは違う人間でどこまで行っても他人って、どこかの恋愛ソングで聞いたことがある気がするし。自分がなければ、私たちはどうやって生きているんでしょうか。
この本の内容を詳しく話すこと、それはすなわち(なんにも詳しくないわたしが)宗教について知ったように話してしまうことになると思ったので、それはやめておく。
ただ、自分と世界はつながっているという考えは、わたしが肩の力を抜くきっかけになったと思う。自分は自分が取り入れた食べ物で急速に細胞を入れ替えながら形を保っていて、物質的には以前の自分と全然ちがうという話を聞いて、あまり自我に囚われるのも馬鹿らしいなと思えたのだった。これがある意味、自由になるということだろうか。
宗教を扱う本というジャンルでも、こんなに読みやすい本はないんじゃないかと思う。勉強というより、好奇心の入り口として読むタイプの軽やかな本だ。寝る前の30分、ときにふふっと笑いながら読み進めた。
自分とかない。だめでも救われる。ただ信じればいい。そういうことだった。(書いていて、お金くれくれさもなくば地獄です系の宗教がいかに邪なものかも考えてしまう)
歴史とかもこのくらい軽やかに読んで学べる本はないかな〜。あったらぜひ読みたいので教えてください。
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