六幻

はじめまして。大阪で学習塾を経営しています。 昔から神秘や奇妙、いわゆるオカルト的な…

六幻

はじめまして。大阪で学習塾を経営しています。 昔から神秘や奇妙、いわゆるオカルト的なものが好きで色々と経験をしてきました。 生徒たちは、毎日のように不思議な話や体験を持ってきてくれます。そんないくつかの奇妙な話や、過去に体験したちょっと不思議な話などを書き綴ろうと思います。

マガジン

  • 三十六億年の狂気

    昔からオカルト、超常現象、超考古学といったものが好きでした。怖いものというよりも、興味深いものが書きたいと思い、そこには科学が必要不可欠であると思っています。現代科学では証明、そして太刀打ちできないものについて、共に考えてみませんか?

  • 現代妖怪奇譚

    僕には頼れる存在がいる。 ある山の中腹に立つ六つの地蔵だ。ひょんなことから僕はこの六地蔵と出会い、僕と六地蔵との不思議な関係のもとにこの話は始まる。 僕は十数年前に独立して小さな個別指導学習塾をはじめた。 毎日のように、僕の生徒たちは、いわゆる『学校の怖い話』のような不思議な話、体験を持ってきてくれる。これはそんな日常と、いくつかの奇妙な話の短編集だ。

  • 次元間浸食体テスラ

    昔からオカルト、超常現象、超考古学といったものが好きでした。怖いものというよりも、興味深いものが書きたいと思い、そこには科学が必要不可欠であると思っています。現代科学では証明、そして太刀打ちできないものについて、共に考えてみませんか?

最近の記事

8 『教授』

「まず、伝えるべきことからお伝えします。これは夢ではありません。西暦では表せないほどずっと先の未来から、タキオン速信を利用して、この信号の届くすべての方に送っています。ですが、その概念すらまだ生まれたばかりのあなた方には、それを正式に受信する方法がありません。したがって、私は波長の合う方の、ノンレム睡眠状態の脳を受信装置として、未来よりこの信号を送っています。重ねて言います。これは夢ではありません。その証拠として、あなたは目覚めてからも、この夢のことを事細かに覚えているでしょ

    • 7『浦島太郎伝説』

      「あなたとの約束を守らねばなりませんね……。先程のあなたの質問に答えましょう。伝えなければならないことでもありましたし……」  と、意味深長な言葉を付け加え、彼は口を開いた。 (そうだ……!今の僕にとって一番重要なことは……、無責任かも知れないがテスラのことではない。今、目の前で話している相手が何者であっても構わない。ひょっとしたら、ずっと探していた手掛かりが……、見つかるかも知れないんだ)  これは僕の個人的な話……。過去に僕がオカルトに興味を持つきっかけとなったあの

      • 6『次元間侵食体テスラ』

        「過去、現在、未来において到来する異次元生命体の中でも、まさに最悪と言える生態を備えたものが……既に地球に到来しています。あの地軸更新の大災害時、ひっそりと出現し、次元の彼方へ消えていった、次元間を浸食する恐ろしい異次元生命体がいました。暴走した十六胞体のエネルギーに反応し、当時の赤道付近に発現した『テスラ』と後に命名されるその生命体は、その生体構成分子の中に、まさに多胞体を持っていることによって次元間の転移が可能です。彼らは低温に対して脆弱で、先の地軸更新の際に赤道地帯が極

        • 5『地球上に残存する多次元生命体の痕跡』

          「いえ、あなたの言う宇宙人とは、あなたのいる物質宇宙の太陽系外宇宙の知的生命体のことでしょう?彼らも幾度となく地球に来訪していますが、ここで述べた多次元生命体とは、もともと異なる次元の宇宙に存在する生命体のことを指します。 まず、他の次元を理解することは、互いに別次元に存在するものにとっては非常に困難です。例えるならば……そうですね……、メビウスの輪というものを知っていますか?」 (メビウスという名前は聞いたことがあるが……、それが何なのかはよくわからない……)

        8 『教授』

        マガジン

        • 三十六億年の狂気
          17本
        • 現代妖怪奇譚
          67本
        • 次元間浸食体テスラ
          8本

        記事

          4 『多胞体による地球的大災害』

          「全ての面が三角形であり、全ての胞が四面体である五胞体、通称ペンタトープと呼ばれるこの胞体は、頂点、辺、面が最も少ない四次元多胞体の一種であり、最も建造が容易い胞体とも言えます。またその三次元的な外観は、一見、正四面体ピラミッドのように見えることがある、と言えば、わかりやすいでしょうか……」 (ピラミッドと言えば……、エジプトが有名だが……) ふと、そんなことが僕の頭によぎった。 「先のオリハルコンの暴走から数万年ほど経った頃、このペンタトープの建造に取り掛かった、ある

          4 『多胞体による地球的大災害』

          3 『不老不死の代償』

          「古代、この文明の科学者たちは、数々の偉業を達成しました。例えば分子運動を活性化させることで障害物を透り抜け、近い未来には空間湾曲法を利用することにより、瞬時に遠距離間移動を行うことも可能になったでしょう。そんな高度な文明が消え去ってしまったのは非常に残念なことです。その文明の中でも最大のテーマは三つ、前述した永久機関、空中浮遊、そして不老不死の研究でした。それさえも彼らはすでに足がかりを得ていました。ある奇妙な病状の治療をきっかけに……。 この文明は、太古の昔、突然変異に

          3 『不老不死の代償』

          2 『フェンリルの口』

          「北欧神話という神話を耳にしたことはありますか?その最終章の『終末の日』において、フェンリルという巨大な狼の姿をした怪物が登場します。口を開けば上顎が天にも届くほどであると記載され、いかにこの怪物が巨大だったのかを物語っています。さて、この北欧神話なのですが、実は、順序としてはこの『終末の日』が最初に作られた話であり、それのみ事実を元にしています」 (どういうことだ……?その『終末の日』が事実を元に作られた話と言うのなら、その空を穿つほど巨大なフェンリルがこの世に

          2 『フェンリルの口』

          次元間侵食体 テスラ

          あらすじ 僕はある映像授業を受けていた。 そこに映る教授は、次元と時間の理論を教示し、今もこの世に残る『ピラミッド』や『ナスカの地上絵』などの謎を解き明かしてゆく……。 非常に面白い授業だったのだが、ふと、心に奇妙な疑問が浮かぶ……。 (本当に僕は……こんな授業を取ったのか……?) 目の前で途方もない理論を展開し、古代の謎を解き明かす……この教授は一体……何者なのか……?超古代文明と宇宙考古学に基づいたSFロマン。 果たして、この教授の正体は……? 本編 1 『

          次元間侵食体 テスラ

          十八 狂気

          (何だ?どこだ?ここは?) 様々な疑問が飛び交う混乱したままの頭で僕は周りを見回す。円形のホール、綺麗に配置された数々の長机。目の前の資料には、塾長対象説明会資料と書かれた資料があり、中央の教壇には、講師と見受けられる人間がマイクを持って学校の説明をしている。 (塾長対象説明会……) 自分が塾長であったことなど、もう随分昔のように思えた。とにかく冷静になりたいと思った僕は、説明会の途中ではあったが、トイレに駆け込み、顔を洗って自動販売機で飲み物を買った。 (今のが……

          十八 狂気

          十七 ヨギ

          (物事の狂い始めが顕著になったのは……あの外に出たとき……、外の廃屋の壁に書かれた記号を見たときだ) そう、僕は外の空気を吸いに外に出て、煙草を吸うと言って岩村も追従し……、そして……いつの間にか僕が彼を追従する形になって……。またも岩村に先導されていたことに気が付いて僕は愕然とした。 (僕は……岩村博士に先導されて……抽象世界を訪れた……) 『ゴーーーン』 頭の中に巨大な鐘の音が響いた。椅子に座ったまま、僕の体は意志とは別の反射運動を示し、耳を抑えてうずくまった

          十七 ヨギ

          十六 再来

          車で約一時間前後、道がはっきりしない分、前に来たときよりも、少し時間がかかった、いや、前に来たことなどないのか……。黄色と黒のロープが張られた山道の、『立入禁止』を示す看板は、赤く錆び付き、もはや道の端に転がっているだけだった。スマホの地図を見ながら、その脇に停車を促し、僕はそのまま道を先導する。 (この道を歩きながら……岩村博士はあの村の過去の慣習について話していた) 現実ではない記憶に引っ張られるようにして、不気味な廃村が見え始めた。前回も荒れてはいたが、それとは決

          十六 再来

          十五 誘導

          僕の頭は、もう何度目かわからない混乱に陥った。 (この絵があるのは現実だ。この場所が現実にあるのかはわからない。だが、この絵があるということは、この場所を夢で見た人間がいるのも現実だ。岩村博士がいたのは現実か?いや、現実……とは何だ?) 頭が……もちそうにない。 もしここが抽象世界であるならば、これは精神が未熟で、現実に帰ることが出来るということなので、喜ばしいことなのかも知れない。上記のように、僕の混乱は現実が加わることにより、余計に加速していった。そんな中でも何が夢

          十五 誘導

          十四 『謎の人物』

          にわかに信じられない僕は、何度も尋ね返したが、彼らがそのような人物を招いた事実はなく、ネットで調べてみても、奈良大学にそのような教授の形跡はなかった。 (岩村博士など……存在しない……) 当然と言えば当然のこと……。その当然が信じられず、再び混乱を見せ始める僕に、これまでだまって付き合ってくれた両教授の 「そのような人物が、あなたの口から出てきた理由についてお聞かせ願いたい」 という言葉に、僕は無理やりに頭を整理して、先刻見た生々しい夢の前半部分、岩村が現れた所まで

          十四 『謎の人物』

          十三 奇還

          はぁはぁと息づく呼吸のまま、周りを見回したが、どこか応接室のような部屋のソファにて目覚めた自分を見る限り、僕は自宅、自室にいるわけではない。 (ここは……どこだ?)  頭に浮かんだその疑問、『どこ』には多くの意味がある。息切れと警戒心が収まらないまま、僕はまず状況の理解に努めた。ソファの後方には机と所狭しと本が並んでいる本棚があり、そして……大きな縦長の窓があった。 (窓……)  僕はそそくさと窓辺に移動し、隠れ見るようにして外を覗いた。 (霧は……出ていない)

          十三 奇還

          十二 夢中の真実

          新たに手に取ったノートには、また最初のページが理解できない言葉で書かれていて、やはり僕が読める文字は後半だけだった。 『病気ではなかった』 から、始まり、その先に衝撃を受ける一文が書いてあった。 『条件を満たした者は半意識生命体として、一時的に抽象的現実世界に転生し、窓が閉じると共に、ハブネに適応可能な強意識として成熟、すなわち自身がハブネと現実と、どちらにより近いものになっているのか、に基づいてどちらかの世界にて目が覚める。抽象的現実世界に関してのことは夢として認

          十二 夢中の真実

          十一 理解不能

          特に近日において、僕は奇妙な夢を頻繁に見ていた。黄色い空、黄色い砂漠など、黄色い世界に既視感があるのはそのせいだ。いつも見る夢において、僕に自身の意識はないが、今回、僕は自身の意識を持ったまま夢の中にいる。 明晰夢というやつだ。 つまり実際の僕は、どこかで意識を失っているのだろう。だが今、僕はこの奇妙な夢において、自身の意志で行動し、見ることが出来る。この際、僕の本体は下山田や岩村に任せ、僕はこの世界を記憶にとどめ、観察しよう。そんな風に考えると、自身でも驚くほどに冷

          十一 理解不能