Courseraで福祉・心理系のコースを受講し始めた話
メンタルヘルスや福祉、心理について、英語で理解を深めたい。そう思って始めたCourseraで、
「Suicide Prevention」(自殺予防)
「Psychological First Aid」(PFA、心理的応急処置) ※以下、PFA
の2つのコースを修了したので、簡単に報告したい。
※筆者はCourseraと一切利害関係はない。この記事を書くことで、いかなる収入も得ていない。
なぜ、Courseraを選んだか
Courseraのことを知ったのは、MOOCs(Massive Open Online Courses)が流行りだした2010年代のこと。シンガポール生活の再開で時間の余裕ができたため、edXとの比較を開始。
学位の取得ではなく、興味のあるコースの受講が目的
メンタルヘルスや福祉、心理についてのコースが豊富
短時間(5〜6時間)で修了できるコースが多い
ことから、毎月49USDを支払うCoursera Plusを選択し、受講を開始した。
※複数のMOOCsサイトから講座を検索できるClass Centralも併せて利用した。
Suicide Prevention(自殺予防)
まずは、ウェズリアン大学の「Suicide Prevention」(自殺予防)。
毎日1モジュール(約60分)ずつ受講し、約1週間で修了。
講義は「希死念慮とは?」「自殺企図とは?」から始まり、トマス・ジョイナーの「自殺の対人関係理論」へ移り、更に講師のAlexis May氏が研究に関わる「自殺の3 段階理論 (3-Step Theory、3ST)」に及んだ。また、希死念慮のある人への短期・中期・長期的な介入方法の概要も説明があった。
弁証法的行動療法について、その理念からトレーニング内容までやや細かく説明があり、「これ、本当に初心者用コース?」と思うほどの充実した内容だった。
各モジュールの最後に選択式の小テストがあるが、きっちりノートを取っていれば合格できる程度の難易度だった。
PFA(心理的応急処置)
次は、ジョンズ・ホプキンス大学の「PFA」。
毎日1モジュール(約60分)ずつ受講し、約1週間で修了。
内容はWHOの「フィールドガイド」には必ずしも沿っておらず、あくまでもジョンズ・ホプキンス大学のRAPID PFAモデルの紹介であることに注意が必要。また、ロールプレイはコースに含まれていないため、実践に入る前に、ロールプレイを含む講習を受けることが推奨される。
RAPID PFAモデルは以下の要素から成り立っている。
Rapport(ラポール形成)
Assessment(アセスメント)
Prioritization(トリアージ)
Intervention(苦痛軽減)
Disposition(フォローアップ)
ちなみに日本語の実践ガイドは、実は現在無料で手に入る。
上記のラポール形成〜フォローアップまでのスキルは、一度試聴して身につくものではないし、医療・福祉・介護専門職でも「まず、どうやって話しかけたら良いか分からない」という戸惑いの声が多いと思われる。講師のGeorge Everly Jr.氏は、PFAの一連の流れの中で「ダメな例」「良い例」それぞれを分かりやすく演じており、「これなら自分にもできるかも」と思わせてくれると共に、視線や声のトーン等、PFAの非言語的な効果も学習できる。
また、講義の終盤では、セルフケアの重要性について、丁寧な情報提供がなされた。「他者を効果的にサポートしたいのであれば、まず自分のケアを最優先しよう」「決して無理しないこと」という、一見逆説的だが、医療・福祉・介護業界では頻繁に聞くメッセージが強く打ち出されていた。「自分を大切にしよう」としつこいぐらいに言われていながら、繁忙度が高くなった時にいとも簡単に形骸化していたなあ。
このコースも、各モジュールの最後に選択式の小テストがある。難易度は同じく、きっちりノートを取っていれば合格できる程度。
ぼちぼち、楽しみながら続けたい
現在は、トロント大学の「The Social Context of Mental Health and Illness」(メンタルヘルスと病気の社会的背景)に取り組んでいる。「英語を勉強する」のではなく、「英語で勉強する」ほぼ初めての機会を楽しみながら、あわよくばシンガポールでの有意義な活動に繋げたい。
※大学のリンクはWikipediaを使用。講師のリンクもWikipediaを優先して使用したが、WikipediaページがないAlexis May氏に関しては所属先のHPを用いた。