気持ちを読むのではなく、行動から推測する
こんにちは。特別支援学級教員13年目のMr.チキンです。水曜日が終わりましたね。週の山を抜けたような気持ちで、嬉しくなりますね。
今日は、他者の気持ちを読むのが難しい子の指導アイデアについてお話をします。
他者の気持ちを読むことが難しい子どもの存在
4月に個別の教育支援計画作成のためのアンケートを保護者にとると、このような文言が多くみられます。他者の言動の意図理解が難しく、冗談を真に受けたり、親切心で言った言葉を誤って受け止めたり等してトラブルになってしまう子が一定数います。
では、そんな子にどんな指導ができるのでしょうか?SST(ソーシャルスキルトレーニング)、SSS(ソーシャルスキルストーリー)その他テクニックはたくさんあります。でも、準備や勉強が大変ですよね。気楽にできない指導は続きません。
子どもたちが私の言葉を先取りする
これは、私が子どもたちに「そろそろ座ってほしいなぁ」と思う時に言う言葉です。でも、最近は言えません。私が後ろ手を組んでウロウロし始めると、子どもたちが楽しそうに、
と言って座り始めます。私の言葉を横取りするのです。私は
と大げさに驚きます。
他にも、連絡帳に書いてある保護者へのメッセージ(今日の帰り方、服薬についてのお願い)などを子どもに確認するときに、子どもを呼び出すことがあります。私が手招きをすると、子どもは
とニヤニヤしながら言ってきます。またも、私の言いたいことを一言一句間違えずに言います。そして、
と言われてしまうのですから、たまったものではありません。
と、笑ってしまいます。
これらの二つのエピソードは、いずれも入学当初に
と相談のあったお子さんの例です。
人の気持ちが分からなくてトラブルを起こしていた子が、私の言葉を横取りするのです。どうしてそんなことができるようになったのでしょうか?
心が読めないのならば、行動から推測する訓練をする
以前、イギリスの教室環境についてお話をしました。
その中で、”一斉授業を受けやすいようにする”という日本の教室環境設定の考え方と異なり、イギリスでは
という考え方の環境設定をするという話をしました。その考え方と同じように、
という発想で指導をするようにしています。
キーとなる行動をちりばめる、繰り返す
そのために何をするか。
私は、可能な限り、一つ一つの行動が予測しやすいものにしています。
例えば、冒頭の例でいえば、
後ろ手を組んでウロウロし始める
「さ~てさてさて」という不思議な言葉を言う
全員が座ったのを見て話し始める
というのは、次の行動につながるキー行動の連鎖です。
子どもたちは徐々に私の行動予測ができるようになってきて、得意げに「さ~てさてさて」と言い始めるのです。
同じように、次の例でも
連絡帳を持ったまま手招きをする
「悪いこと言わないから、どっちかと言うとお得だからおいで」という不思議な言葉を言う
連絡帳に書いてある内容を確認する
というキー行動の連鎖によって、子どもは教員の次の行動を予測することができるのです。
価値付けてあげることを忘れずに
ここで大事なのは、予測できた後に価値付けてあげることだなと考えています。
「ええ?!先生の考えていることと同じだった!」だとか、「心を読むのが上手だねぇ。」等、行動を予測することで心を読むことと同じくらいすごいことができているという価値付けを私はしてきました。
実際の人間関係や意図理解はさらに複雑なので、”行動を予測すること”と”心を読むこと”は異なることなのですが、入門編としては上出来だよ!ということが子どもたちには大きな自信となるのです。
子どもたちは
子どもが自信をもってコミュニケーションできるように!
という子どもたちは、小学校入学までに傷ついてきています。「人の気持ちが分からない」ということを、言語化はしないかもしれませんが、感じ取っているでしょう。それは苦手意識となって現れることが多いです。
そんな時に、”教員の言いたいことを予測できる自分”というのは自信になります。その土台を小学校の段階で作ってあげたいなぁと考えています。
では、またね~!