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脳よ育て-私の朝のルーティンー

私は2010年にジョギングを始めた。
紫外線に弱い私。元々日の出と共に目が覚めるので、週3回早朝に5㎞程走っている。

元々走ることは大嫌いで、学生時代は1000m走なんてこの世から消えてしまえば良いのにと思っていた。
なぜそんな私が走ろうと思ったか。
それは1冊の本との出会いだった。

本と、5代目シューズと。

ジョン・J・レイティの「脳を鍛えるには運動しかない-最新科学で分かった脳細胞の増やし方-」は、2009年に発刊された。運動が脳に与える良い影響について書かれた本だ。
10年以上たった今、「運動脳」など運動の脳への好影響を記した本はたくさん出ているが、当時はほとんど目にすることが無かった。

1990年代に医学生だった頃、大学では「脳は生まれた瞬間から脳細胞が死んでいく。新しく脳細胞ができることはない。」と教わった。
脳神経内科を専攻するようになってからも「脳細胞は再生しないし、脳は加齢にあらがえない。」と信じて疑わなかった。
「運動により脳を育てられる」という科学的な根拠に裏付けられた内容に、今までの医学教育は何だったのかと私は目玉が落ちるほどの衝撃を受けた。

お酒が好きな私。お酒は脳にあまり良いとは言えないが、止められない。
お酒を楽しみつつ、運動で脳への悪影響を減らせないかなという軽い気持ちもあった。
最初は5分走って5分休む、の繰り返し。そのうち10分続けて走れるようになり、気が付けば5㎞を30分で走れるようになった。

早朝の国立競技場。神宮外苑はお気に入りのジョギングルート。
2017年の早朝。国立競技場は工事中。

大半のランナーはフルマラソン出場やタイム短縮が目標だが、私はあくまで「脳機能を維持する」ことが目標だ。
若い頃運動していなかった貧弱な身体だから、無理をすると腰やら膝を痛める可能性が大きい。
自分の身体と相談し、5㎞を週3回続けようと決めて気が付けば14年経っている。
雨や体調で週1回や2回になることもあるが、飽きずに続けられている。

走るようになって私に起きた変化は6つ。
1.走った後は頭がスッキリし、気持ちが穏やかになった。
2.走りながら色々なアイデアが浮かぶようになった。
3.走った日は仕事がはかどるようになった(集中力が高まった)。
4.些細な事でイライラしなくなった。
5.逆に、走れない日が続くとイライラ・欝々するようになった。
6.運動不足の患者さんに、堂々と運動を勧められるようになった。

早朝の静かで清々しい空気を胸いっぱい吸い込んだり、明けていく空を見ているだけでも精神的に落ち着く。
さすがの東京も、朝は人が少なく快適だ。
走り終えると、エンドルフィンの影響かとても気持ちが良い。
走った後のシャワーも最高だ。
とても良い1日になりそうな気になる。

夜明けの神宮外苑。少しずつ変化する空が幻想的で、見ていて飽きない。
朝焼けに染まる雲と外苑のイチョウ。
がらんとした首都高と、朝焼けに染まる新宿副都心。
しんと冷えた真冬早朝のイチョウ並木。

40代までは「さあ走るぞ」と自宅から飛び出していたが、更年期障害が始まってからは体に鞭打たないと走れない日がでてきた。
5㎞走った後、まだ走れていることに安堵することもある。
いつまでも走れる身体でいたいと最近は思う。
運動が脳や身体に良いことは、これまでの10年で身に染みている。
継続は力なり。更年期に負けず、いつまでも元気で心健やかでいられるよう、これからもジョギングを続けたい。