Moray

コラムを書いています。社会・人間・生活・恋愛・仕事・人生 その他諸々。お仕事もお気軽にご相談ください。

Moray

コラムを書いています。社会・人間・生活・恋愛・仕事・人生 その他諸々。お仕事もお気軽にご相談ください。

マガジン

  • コラム

    社会・人間・生活・恋愛 その他諸々

最近の記事

コラム29: 失敗を棚に上げる上司

職場でよく耳にする不満の一つに、「上司が自分の失敗には目をつぶる一方で、部下の失敗には容赦なく叱責する」というものがある。このタイプの上司に共通するのは、自分の行動を顧みず、部下のミスだけを強調する姿勢だ。そして、その根底には「伝達力の欠如」という重大な問題が隠されている。 伝達が不十分な上司の特徴このような上司は、自分の言葉が相手に正確に伝わっているという「伝達の錯覚」を抱いていることが多い。特に早口で伝達を行い、その場で「伝わっただろう」と一方的に判断する傾向が強い。そ

    • コラム28: 男の「偉そうな態度」に潜む心理と社会的背景

      どこに行っても「偉そうにする男」に出会ったことがある人は少なくないだろう。会社では部下を従え、家庭では妻に命じ、店では店員にタメ口で要求する。挙げ句大声で怒鳴り付けて自分の要求を通そうとする。誠に愚かである。 こうした態度は特に年長世代の男性に顕著であり、一見するとただの横柄さにも見えるが、その裏には深い心理的背景と社会的要因が隠されている。 「意地」と「見栄」の生き物としての男男性が偉そうな態度を取る理由の一つに、「意地」と「見栄」が挙げられる。社会的に成功している、ま

      • コラム27: 付け焼刃の移民政策が招く未来

        日本において少子高齢化の問題が深刻化する中、移民受け入れ政策が労働力不足の解消策として注目されている。しかし、この政策がもたらすのは本当に「解決策」なのだろうか。 結論から言えば、移民を増やしても国内経済の本質的な回復には繋がらず、むしろ長期的にはさらなる問題を引き起こす可能性が高い。ヨーロッパ諸国における移民政策の事例を見れば、それが引き起こす深刻な問題に目を向けざるを得ない。短期的な経済効果を期待して移民政策を推進することは、長期的には社会の分断や衝突を招く。 移民政

        • コラム26: 時間という見えない暴君

          現代社会を生きる我々にとって、「時間」とは最も苛烈な支配者である。時計の針に目をやるたび、仕事の締切や生活のスケジュールに追い立てられる感覚が襲ってくる。人間の発展とともに「効率化」という名のもとに進化してきた時間管理の仕組みは、皮肉にも多くの人々を束縛し、苦痛を与えている。 時間は誰のためにあるのか本来、時間は人間が便利に生きるための道具として発明された。しかし現代ではその役割が逆転し、人間が時間の奴隷になっている。たとえば、朝のアラームが鳴った瞬間から、人は「遅刻しては

        マガジン

        • コラム
          29本

        記事

          コラム25: 沈黙は金ではない:言語的コミュニケーションを途絶えさせる問題

          「不満や不快があると黙る」という行動を選ぶ女性は少なくない。彼女たちは、対立を避けたい、あるいは感情をうまく言葉にできないという理由で、沈黙という形で自分の意思を表現する。しかし、この「黙る」という選択が、相手との言語的コミュニケーションを断つ結果となり、思わぬ問題を引き起こすことがある。 沈黙が生む誤解沈黙は、相手にとって非常に曖昧なシグナルである。言葉が交わされない状況では、相手はその沈黙をどう解釈して良いか分からず、不安や誤解を抱くことが多い。たとえば、何かを気にして

          コラム25: 沈黙は金ではない:言語的コミュニケーションを途絶えさせる問題

          コラム24: 効率化という名の罠:会社の論理に囚われるな

          「効率化」という言葉は、一見するとポジティブな響きを持つ。しかし、その裏側に隠された現実を見誤ってはならない。会社が追い求める効率化とは、しばしば従業員にとって過酷な負担や不公平をもたらすものであり、個々人の幸福や働きやすさとは相反する場合がある。 「効率化」は誰のためか?効率化の目的は、基本的に会社の利益追求にある。業務の流れを合理化し、コストを削減し、生産性を向上させる――これらは企業の競争力を高めるために必要な施策だ。しかし、その効率化が現場の従業員にとってどのような

          コラム24: 効率化という名の罠:会社の論理に囚われるな

          コラム23: 非合理的な「やまびこあいさつ」の弊害

          職場におけるルールや慣習には、時にその本来の目的を見失い、逆に従業員の効率や精神的負担を損なうものがある。「やまびこあいさつ」と呼ばれる集団的な挨拶もその一例だ。特に繁忙な職場では、この慣習が非合理的であり、場合によっては業務の妨げになることさえある。 挨拶の価値とは何か挨拶は、基本的にはコミュニケーションの一環として価値がある。しかし、挨拶の形式が「やまびこ」のような過剰なものになると、その価値は大きく損なわれる。例えば、エラーを許されない緊張感の中で業務に集中している従

          コラム23: 非合理的な「やまびこあいさつ」の弊害

          コラム22: 鈍感さの効用:表面的な関係を軽やかに保つために

          職場や、ふとした付き合いのある知人、あるいは近所の人々との関係――これらのつかず離れずの人間関係では、実は「鈍感さ」が重要な役割を果たしている。軽い挨拶や世間話で成り立つこうした関係において、相手が自分をどう思っているのか、本当に好きかどうかを気にし始めると、逆にコミュニケーションがぎこちなくなってしまうものだ。むしろ、適度に無頓着な姿勢こそが、この手の関係を穏やかに保つ鍵であると考えられる。 好かれることに囚われない姿勢「好かれているかどうか」という問いは、多くの人が無意

          コラム22: 鈍感さの効用:表面的な関係を軽やかに保つために

          コラム21: 恵まれた環境の「無自覚」がもたらすもの

          数年前、私立校育ちのある17歳の若者が放った言葉が耳に残っている。「環境のせいにして努力しない連中は甘えている。そんな奴らに税金を使うなんて無駄だ」。その言葉の軽さと、背景に漂う無知さが、胸の奥を冷たくした。 彼女はきっと、悪気があったわけではないのだろう。むしろ、日々努力を重ね、自らの力でここまで来たという誇りがあったのかもしれない。だが、無知とは時に罪深いものだ。その発言には、自分の「恵まれた環境」への無自覚が透けて見える。高い学費を払ってもらえる家庭環境、質の高い教育

          コラム21: 恵まれた環境の「無自覚」がもたらすもの

          コラム20: 空気を読ませる上司の本質的な無能

          「空気を読んで仕事をしろ」という言葉は、日本の職場でしばしば耳にするが、この発言自体がその上司の本質的な無能を示している。明確な指示を出さず、部下に「空気を読む」ことを求めるのは、上司自身が伝えるべき情報を放棄している証拠であり、マネジメント力やコミュニケーション能力の欠如をさらけ出している。 上司が空気を読ませる理由は何か。それは、「自分が何を求めているのか」を言語化する力がないからである。本来、労働環境における指揮系統は、具体的かつ明確な指示を通じて成果を上げることが基

          コラム20: 空気を読ませる上司の本質的な無能

          コラム19: 矢継ぎ早な指示を出す上司の落とし穴:効率と信頼の欠落

          職場において、指示を早口かつ矢継ぎ早に出す上司に対して、部下が困惑や不満を抱く場面は多い。このような上司は、一見すると自分は仕事が出来る人間だと思っており、スピード重視で仕事が早い印象を与えるかもしれない。 しかし、その指導スタイルが本当に効率的かといえば、必ずしもそうとは限らない。むしろ、このような上司の行動は、組織のパフォーマンスや部下との信頼関係において、深刻な影響をもたらす可能性が高い。 1. 情報過多が招く混乱と非効率 早口で矢継ぎ早に指示を出す上司は、部下に

          コラム19: 矢継ぎ早な指示を出す上司の落とし穴:効率と信頼の欠落

          コラム18: 見えない場面こそ試される「道徳」

          金や時間を掛けずとも多大なメリットを簡単に得られる行動を蔑ろにすることは、特に賢くない行動やふるまいだ。「挨拶をしない」「乱暴な言葉遣いをする」「不機嫌を他者にぶつける」などは、ほんの少しの配慮で改善できるにも関わらず、社会的に重大なデメリットを生む行為だ。 一方で「礼を尽くす」「言葉を丁寧に選ぶ」「自己機嫌を整える」といった振る舞いは、大きな金銭や時間をかけずとも、社会的な信頼と信用を積み上げるための基礎となる。 社会的信用は価値観と行動の積み重ね 多くの場合、社会的

          コラム18: 見えない場面こそ試される「道徳」

          コラム17: 「あいまい」を許容できるという精神的成熟

          物事を「AかBか」の単純な二択で判断し、すぐに結論を出したがる人がいる。しかし、現実は二項対立に収まらない曖昧さや多様性に満ちており、すぐに結論を出すことが最善策ではない場合も多い。 「AかつB」という複雑な状況を理解し、許容することこそ、知性や精神の豊かさを育むうえで重要であると考えられる。 ある物事に対して「Aでもあり、Bでもある」というように多面的に捉える能力は、精神的キャパシティの広さを象徴する。それは、他者や状況を単純な善悪や成功・失敗といった一方向の軸で裁かず

          コラム17: 「あいまい」を許容できるという精神的成熟

          コラム16: あいさつが示す社会性と信頼のメッセージ

          日常で誰もが行う「あいさつ」という行為。しかし、このシンプルな行動が社会的に大きな意味を持つことは意外と忘れられがちである。あいさつはただの礼儀ではなく、社会における最低限の信頼を示す重要なメッセージであり、個人の社会性を反映する鏡のようなものだ。 あいさつがきちんとできない人を見ると、「何か社会性に問題があるのではないか」と感じるのは自然だ。なぜなら、あいさつには「敵意も悪意もありません」という意思表示の役割があるからだ。人間関係において、相手が自分に敵意を抱いていないこ

          コラム16: あいさつが示す社会性と信頼のメッセージ

          コラム15: 言葉を持つことが人間を人間たらしめる理由

          私たちが自らの感情や思考を正確に他者に伝えるには、言葉が欠かせない。言葉は単なるコミュニケーションの手段を超え、自己理解や他者理解を深めるための不可欠な道具であり、他人と共存するうえでの要ともいえる。 もし人がその「言葉」を持っていなければ、感情を行動や暴力でしか表現できず、結果的に動物的な振る舞いが顕著になるだろう。言葉が足りないことの危険性や、型を通じた言葉の教育がなぜ必要かについて考えてみたい。 言葉がないと「思考」が成り立たない理由 人は言葉によって、過去と現在

          コラム15: 言葉を持つことが人間を人間たらしめる理由

          コラム14: 「世間」という意識がもたらす日本人の礼儀と協調性の行方

          日本人の礼儀正しさや協調性は、長い間その美徳として称えられてきた。海外から見ても、日本人の礼儀や秩序は独特で、敬意と秩序を重んじる文化として知られている。しかし、その根底には「世間から外れることへの恐怖」という、日本独特の心理が根深く存在している。この「世間」という概念が、日本人の行動や人間関係を形成するうえで、「悪い意味で」大きな役割を果たしている。 世間への恐怖が生む礼儀と協調性 日本人が礼儀正しさや協調性を重んじるのは、「世間様」から仲間はずれにされることを恐れる心

          コラム14: 「世間」という意識がもたらす日本人の礼儀と協調性の行方