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コラム23: 非合理的な「やまびこあいさつ」の弊害
職場におけるルールや慣習には、時にその本来の目的を見失い、逆に従業員の効率や精神的負担を損なうものがある。「やまびこあいさつ」と呼ばれる集団的な挨拶もその一例だ。特に繁忙な職場では、この慣習が非合理的であり、場合によっては業務の妨げになることさえある。
挨拶の価値とは何か
挨拶は、基本的にはコミュニケーションの一環として価値がある。しかし、挨拶の形式が「やまびこ」のような過剰なものになると、その価値は大きく損なわれる。例えば、エラーを許されない緊張感の中で業務に集中している従業員に対し、「挨拶を忘れるな」「来客の方を向いて声を出せ」といった命令が下される。このような状況では、挨拶そのものが単なる負担になりかねない。
挨拶の本質は、相手とのコミュニケーションや礼儀の示し方にある。しかし、形式ばかりを重視した結果、その意図や効果が歪められるのでは、本末転倒である。
業務効率と精神的負担への影響
特に繁忙期には、従業員の脳内リソースは業務そのもので埋め尽くされている。そこに挨拶という「義務」を課すことは、認知負荷を高め、かえってミスを誘発する要因となり得る。さらに、「挨拶をしないと叱られる」というプレッシャーは、職場のストレスを増大させるだけでなく、従業員の士気を削ぐ結果にもつながる。
「やまびこあいさつ」が持つ問題は、それが単なる習慣でありながら、従業員に無用な緊張感を強いる点にある。特に来客が頻繁にある職場では、この非合理的な慣習が業務効率を低下させる深刻な要因となりかねない。
非合理的なルールの見直しを
職場環境を改善するためには、「やまびこあいさつ」のような非合理的なルールを見直すことが必要である。たとえば、繁忙期には挨拶のルールを緩和する、または挨拶の形式をもっと簡潔なものにするなどの柔軟な対応が考えられる。挨拶は業務の効率や従業員の幸福感を高めるためにこそ存在すべきであり、決して業務の妨げになるような形で強制されるべきではない。
職場での挨拶は、形式に縛られることなく、その場の状況に応じた柔軟性を持つべきである。「やまびこあいさつ」はその目的を果たすどころか、逆効果を生む可能性がある。職場の慣習を見直し、合理的で従業員の負担を軽減する仕組みを構築することが、長期的には企業全体の成長と幸福感向上につながるだろう。