世界からシャットアウト
私は生理期間を「世界からシャットアウト」と呼ぶ。
学生の時は学校に行かなければならなかったから、とりあえず学校には行き、生理2日目は全授業寝ていた。生理前に予習をしておいて、生理後に埋め合わせをするように勉強する。だからどうせ頭なんてこれっぽっちも動かない間は、ひたすら襲ってくる睡魔とも必要以上には戦わず、さっさと寝ることにしていた。
大学生になって、平日に全休の日も取れるようになっていたので、かなりの確率で生理の日も休日にできるようになった。コロナ禍はひどいもので、パソコンだけ開いて寝ていることもしばしば。
休日であれば昼まで寝ている。そのままぼーっとスマホを眺め、昼過ぎにお昼ご飯を食べる。なんとなく泣きたくなる生理期間は、手っ取り早く泣くためにアニメや映画をぼーっと見る。そしてお風呂に入って寝る。そんな生活もしていた。
私の生理痛はストレスで大きく幅があることを最近知った。卒業研究直前のありえない痛み、3月にははじめて無痛を経験し、無職期間も後になるほと痛みは減った。そして仕事がはじまってまた環境の変化からのストレスか、痛みと言うより貧血が酷くなったりした。
生理がくるとほとんどの時間を寝る。
睡魔には勝てない。気がついたら寝ているのだ。
そして頭が恐ろしいほど回らない。
普段が100%とするなら、生理期間は40%。
ミスする。雑になる。気を遣えない。
わざとじゃないけれど気が回る範囲が驚くほどぐっと小さくなる。だからなるべく人に会わないようにしてきた。そんならことで傷つけたくないし、関係を悪くしたくない。自分もできない感覚はあるからそれが嫌だった。
だから人と会わず、家の中に籠った。
ご飯とお風呂とトイレにしか部屋から出ないから、これこそ引きこもりだろう。
部屋にこもって寝るか、アニメを見るか映画を見るか、ネットサーフィンするか。
それが1~2日ほど続く。
そして3日目にようやく外に出ると、「外ってこんな感じだったっけ」と新鮮な気持ちになる。肌を撫でる風、気温を身体で感じる。荷物が重い。私は地に足を付けている。その感覚すべてが久しぶりなのだ。
家に籠る1~2日間も生理痛に耐えながら、襲ってくるなんだか泣きたいような気持ちを抱えながらも、ちょっとだけ好きだったりする。世界から取り残されている感覚もは、良くも悪くも現実から一歩引いたところから考えるきっかけにもなって良いと思っている。そして久しぶりに外に出ると、花の香りや青い空にやっぱり世界は素敵なもので溢れていると嬉しくなる。
社会人になって、そんなことはもう難しいのかもしれないと思う。でも、休日に被った時だけでもまたそんな日を過ごしたい。痛みはあるものの、世界からシャットアウトして、ひたすらアニメや映画を観まくる日は、特別感が感じられるのだ。
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