月々弓

猫好きな戌年生まれ。

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最近の記事

大詩人との別れ

“いるかいないか いないかいるか いるいるいるか いっぱいいるか...” (「いるか」) 小学生の頃、教科書に載っていた詩 国語の授業で読んだあと 頭から離れなくなった。 学校からの帰り道もずっと、 「耳から離れない」という表現で正しいのかはわからないけれど、口ずさまずにはいられなかった。 そんな詩に、大人になって再会した。 お気に入りの詩人の詩集を手に取って、ゆっくりゆっくり読み進めていたとき、 「この詩、知ってる...」 一瞬にして、ランドセルを背負って地元のア

    • 月々弓の詫び状

      木曜日になってしまった。完璧主義めのわたしの頭には、もう投稿がんばるのやめようかな、という思いがよぎった。だってフォロワーも少ないし、誰も読んでいないわたしのnoteだもの、続けるか続けないかは100でわたし次第。切ない。切望されるようなエッセイを書きたい。 ところで、なんで投稿を忘れちゃったかというと、普段日月休みなのに、今週は日月火と三連休で、曜日感覚が完全にバグってしまっていた。 そもそも、日月休みでも、意識していないと抜け落ちてしまう曜日感覚。 社会人になってこのか

      • 101個目のメモリ

        彼の友人であり、同僚であり、戦友であり、信頼できる仲間であったKが捕まった。 ある日、彼はいつもよりずっと遅くに帰宅した。 寝ていた私は、彼のむせび泣く声で夜中に目を覚ました。 話を聞けば、Kは女性のストーカーをしていたのだという。動機や方法、経緯の詳細はこれから警察が調べていくだろうことであり、ここに書くことではないので割愛するが、加害者も被害者も、彼の同僚だった。 とりわけKは年齢も近く、逮捕の前日は振替休日で、その日も彼はKと共に過ごしていた。 私の彼は、性犯罪

        • 弱者は正義なのか

          この前テレビ番組で、 セクハラについての特集がされていた。 番組の調査では、 下の名前で呼ばれる 恋人の有無を訊かれる ボディタッチをされる などをセクハラだと感じる、という意見が3割前後あった。 彼らが不快感を抱いていることは事実だろう。 一方で、名前で呼ばれることで親近感を抱く人や、恋バナが好きな人や、ハグや握手にあたたかさを感じる人もいるはずだろう。 そういった人たちのコミュニケーションの喜びが、 “3割の人がハラスメントだと感じるから” という理由で失われてゆく

          水曜日の卵

          又吉直樹さんの『夜を乗り越える』を読んだ。 『火花』で話題になるもっとずっと前の創作に関するお話にグッときました。 わたしは、とにかく毎週水曜日に一本noteを書くことを30歳の目標として始めたけれど、そんなの甘っちょろいなと。 何度も読み返して、添削して、限られた文字数の中で自分の言いたいこと、表現したいことを書ききるための試行錯誤なんて、わたしは考えていなかった。 ただ日記のように綴っていこうと思ってnoteを始めたけれど、「スキ」がくるとやっぱり嬉しいし、フォローし

          水曜日の卵

          ご機嫌な夜道

          眠れない夜 イライラする夜 NIKEのトレーナーに adidasのスウェットパンツ、 keenのスニーカーサンダルを履いて キャップを目深に被る。 そんなちぐはぐな格好をして、 滅多に使わないEarpodsを引っ張り出す。 絡まったコードを解いて耳に刺して家を出る。 Mrs. GREEN APPLEを聴きながらする真夜中のお散歩はわたしの心を浄化する。 (銀杏BOYZのときもあれば、 BUMP OF CHICKENのときもあるし、 RADWIMPSのときもある。) たまーに

          ご機嫌な夜道

          「がんばりどき」の考え方

          「未来の自分を応援する」 学年も忘れたし、どの先生が言ったのかも思い出せないけれど、小学生のころに先生が言ってたこと。 「今がんばる、努力する、それ何のため?未来の自分を応援するためだよ。」 なぜかその言葉が心に残っていて、今でも頑張れなさそうなときは、胸中で唱えている。 「未来の自分を応援する」 仕事行きたくないなーと思っても 「未来の自分を応援する」 来月の自分が、 来年の自分が、 少しでも余裕を持てるように。 私の職場では、繁忙期と閑散期の差が激しい。 繁忙

          「がんばりどき」の考え方

          世にも奇妙な夢の話

          私はよく夢をみる。 寝ているときに見るほうのそれ。 この前は、 サファリパークのように自家用車のまま入っていって、車に乗ったまま楽しむタイプのジェットコースターに乗る夢だった。(架空の乗り物) 高校時代に仲良しだった友人と、彼女の故郷イギリスに行った先での出来事だった。(無論、これもすべて夢の話であって、現実に彼女とイギリスに行ったこともなければ、彼女とは高校卒業以来一度も再会していない) そのジェットコースターはレベルが分かれていて、レベル1は、後ろ向きに猛スピードで進ん

          世にも奇妙な夢の話

          本友

          私は本を読むのが好きなのですが、 学生時分に大いにハマったのが有川ひろ(有川浩)作品。 初めて読んだのは、たしか、『塩の街』。 本を読む人の多い家庭で生まれた私。我が家には、1人1つ本棚があり、私と姉の本棚は廊下で隣り合わせに並んでいた。金欠なときや、積読がないときは、決まって姉の本棚から拝借していた私は、その日も姉の本棚を開き、なんとなく『塩の街』を手に取った。それが私と有川ひろさんとの出会い。 『塩の街』は、有川さんの自衛隊3部作のうちの1つで、大きな塩の塊が日本に

          やさしい世界。

          「もう9時40分ですよー。おふとんにいて大丈夫ですかー?」 支度を終えた彼が私を呼ぶ。 「昨日疲れちゃったから、今日はお弁当サボる」 と私。 彼が私の枕元にやってきて 「サボるんじゃないでしょう?いつもがんばってるから今日はお休みするだけっ」 と言ってなかなか起き上がらない私の手を握った。 ああ、なんてやさしい世界なんだ。

          やさしい世界。

          行先をめぐる私たちの戦争

          「米子行きの航空券が安い!!」 という一声で、米子ってどこかもよくわからないままチケットを取ることにした数ヶ月前。 「どうやら米子って鳥取らしい。」 「でもなんか、地図見るとほぼ島根だよ?」 なんて言いながら、楽しく旅行の計画を立てていた私たちだったが、 「ほぼ島根だし、出雲大社近いから行ってみたい!」 という彼と、 「せっかく鳥取に行くんだから、鳥取砂丘は見逃したくない!」 という私の間で、譲れない戦いが勃発。 なんせ、一泊二日しか日程が取れなかったのである。 実際、米

          行先をめぐる私たちの戦争

          出口の見えない夜、ループするイマジネーション。

          絶望。幸せになれる気がしない未来。不満。溢れる夜。 闇夜に寝室を抜け出してキッチンに行き、包丁を胸に静かに突き刺す。絶対に実行できるはずのない自分の弱さを強く確信しながら、そんなイマジネーションを繰り返し繰り返し頭に浮かべてしまう。一晩に何度もループするそのイメージ。そんな夜は、自分は透明人間で、世界の誰からも見えていない、ちっぽけで、取るに足らない存在に思えてくる。いてもいなくても変わらないんじゃないかって。眠いのに眠れなくて、体力も精神力もすり減って、もっと苛立って、もっ

          出口の見えない夜、ループするイマジネーション。

          「勉強しなさい」の代わりに

          私は、記憶にある限り、「勉強しなさい」と言われたことがない。 我ながら、お勉強は大好きだった。 進学校に通い、そこそこの大学を出た。 学校での成績はいつも上位だった。 興味のあることはどんどん深掘りしたくなるから、いろんなジャンルの本を読むし、ほとんどSNSはやらない私が見る数少ないYouTubeチャンネルは、『中田敦彦のYouTube大学』や、『ピース又吉直樹の【渦】』のインスタントフィクションという国語の授業。 テレビ番組も、『ホンマでっか?!TV』や『カズレーザー

          「勉強しなさい」の代わりに

          歓喜の歯磨き

          ずっと聞いているラジオ(Podcast)がある。 それは、 「BOOK READING CLUB」と 「真夜中の読書会 おしゃべりな図書室」 たまにお笑い系の番組を聞くこともあるけれど、初回から欠かさず聞いているのはこの2つ。 リアタイはなかなかできないけど、家事をしながら聞くのがルーティーンで、最新のを聞き終わったあとは過去の配信も飽きるまでループして、読みたい本があるとググって本の表紙をスクショしてとっておく。 先日、突然思い立って、バスに揺られながらBOOK RE

          歓喜の歯磨き

          私を美容室へ向かわせたもの

          趣味は、本を読むこと。 「読書好き」というと、なんだか、読書ガチ勢っぽく聞こえそうなので、いつも、趣味を聞かれたときは、「本読むの好きなんです〜」とぬるっと答えるようにしています。 小説はもちろん、 専門書、自己啓発本、詩集、エッセイ、ルポ等なんでも読みます。 20代前半のころ、松浦弥太郎さんの著書にハマってたくさん読んでいた時期がありました。 そして、いつだって弥太郎さんは私の理想の大人像です。 しばらく離れていたのですが、 この前たまたま図書館に行ったら、入口のピッ

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          現代の呪縛

          私は、倉庫で仕事をしている契約社員。 正社員を目指している人。 定年退職後に入社したパワフルなご年配の方々。 様々な理由で仕事を辞めて、転職先が決まるまで席を置いている人。 パートタイムで働く主婦たち。 フリーランスで仕事をしつつ、副業として働いている人。 留学生を含む、日本に暮らす外国人。 とにかく多種多様な人々と共に仕事をしている。 実際、社員登用で昇格していく人も多いけれど、 倉庫内作業を「夢の職業」としている人は少ないだろう。 私もなぜ今の仕事をしているかと言っ

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