創作 『海の前の本屋さん』
こんな田舎にぽつんとある本屋さんの家に
私は生まれた。
物心つく前から店の前に立ち、レジ打ちを練習してた。
本を読むのは、あんまり好きじゃなかったけどね。
そして今年、私は18歳になる。
潮が引いて来た。そろそろかな。
「汐莉〜!洗濯物取り込んで〜!」
母がまた私を呼ぶ。
最近はめっきり人も少なくなって、
店前から離れても全然大丈夫なんだよね。
母が洗濯物を畳みながら、私に話しかける。
「汐莉は進路どうするの?ここに残るの?」
「ううん、私ここを出ていくよ。」
「そっか