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【ルーツ旅🌺高知編・再びの秋祭り🍂②】神事の最中に私が見た不思議なもの

外に出ると、たくさんの人が集まり、お祭りの道具を身に着けているところでした。早速、私たちも加わります。

赤いハチマキには、春日神社の「春」のマークが入っています(目立つなぁ)
寛政8年というと、1796年ですね
娘が手に持っている飾りは、嘉永3(1850)年のもの
準備ができたら、神社の下にある広場に向かいます
壇上におみこしが置かれ、儀式が行われました
神社に戻ると、村の子どもたちが太鼓をたたき、踊りを披露してくれました

空は何とか持ちこたえて、お祭りはとどこおりなく進んでいきます。

▼神事の最中に私が見たものは

子どもたちが帰ったあと、残った人々は社殿に入り、神事の始まりを待ちました。狭い部屋に20人ほどが詰めて座り、私は出口に一番近いところに場所を取ります。

しばらくすると神主さんが姿を現し、祝詞がはじまったので、みんな一斉に頭を垂れました。

その後、私はほかの人の動きにあわせて、頭を上げたり下げたり。1つの祝詞が終わると、また別の祝詞が始まるという感じで、なかなか終わりません。私は前の人の背中を見つめながら、だんだん意識がぼんやりするような感じがしてきました

そのとき、私は見たのです。

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うすい黄色に、うすい緑色がまじったような、少し柔らかみのある肌。
そこに小さな黒い斑点が散らばっています。

肌にはウロコがあり、そのフチが赤黒くにじんで見えました。

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それは、現れたかと思うと、さーっと通り過ぎていきました
ほんの一瞬ですが、現実の光景に、それが重なるように見えたのです。


ああ、龍だ。

私は思いました。

龍が見えた。


▼四国の真ん中に横たわる龍


これがもしというものなら、私は大人になって初めて幻を見ました。それはとても現実的な、くっきりとした輪郭と質感を伴っていました。おそらく幽霊を見たことがある人なら、この感じをわかってもらえるのではないでしょうか。

確かにそのとき、私の目の前を、龍が通り過ぎていったのです

私は一瞬、心が躍ったものの、そんなに驚きはしませんでした。

実は、Z村に来るようになった頃から、私は繰り返し、龍の夢を見るようになっていたのです

そして、今回のお祭りに来る前に、そもそも筒井氏の守り神が龍神であったことを知りました。

そこにこの、まるで龍神がすっぽりと山を覆ったかのような、濃い霧に包まれた山奥の神社で行われた神事への参加です。私の目の前に龍が現れる舞台装置は整っていたのです。

おそらくこんな背景があったからこそ、私はこんな幻を見たんじゃないか。そう思っています。

また、前に書いたように、ここは龍の形をした大きなダムにそのほとんどが沈められた村です。あの見事な龍の形は、いかにも四国の真ん中に横たわる龍をイメージさせます。

それらを考え合わせると、私がここに横たわる龍の一部を見たからって、何もおかしなことはない。そんな気さえしてきます。


▼古来から日本人は龍を見てきた

いま、当時のことを思い出しながら、私はこうも思います。

私はついあの光景を、夢とか気の迷い、幻だとかで合理的に説明しようとするけれど、本当にそんな必要はあるんだろうかと

古代から近世ごろまで、日本人はずっと龍を目撃し続けて、身近な存在ととらえてきました。そうであれば、日本人である私が龍を見たことは、少なくとも私の中では現実のこととして扱ってもおかしくないんじゃないか

私は特定の宗教は信じていませんが、色々な体験を通して、自然の中に神がいるという原始的な神道の考えには共感を覚えます。水神である龍は、まさに自然の中の神様です。

いつだったか、私のルーツ探しの師匠である田村さんが、こう言っていました。

「日本の神は、信じるものではなく、感じるものだよ」と。

私は、高知の山の中で、確かに龍の存在を感じたのです。

▼いざ7人の郎党が眠る神社へ


神事が終わり、私たちは車に乗り込みました。若村さんは午後用事があるというので、K太郎さんの車に同乗させてもらいます。
これから訪ねるのは、隣町にあるY神社と、7人の郎党の墓です。

私たちの車が山を下り始めたとたん、雨粒がぽつぽつと落ちてきました

「雨は降らないと思いますよ。今まで、お祭りで雨が降ったことはないんでね」

総代さんの言葉が、脳裏によみがえります。

龍が守っているからだ。

私はそう思いました。

(続く)

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