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#202 スカルピーニの「ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番」

この記事がバズったので、また、あやかってみる。

#スカルピーニ というイタリア生まれのピアニストの演奏を取り上げてみる。

スカルピーニ?誰それ?と言われるかもしれないが、 #フルトヴェングラー と組んでライブ録音が残ってることで有名な(と言っては本人は不服だろうが)ピアニストである。

フルトヴェングラーは #ハンゼン という、これまた「判然」としない(駄洒落です)ドイツのピアニストと組んでライブ録音が残っており、そちらの方が有名で、評価する人も多いが、私は全く採らない。

この曲は、オーケストラの拍子感がぼやけてはだめなのだと思う。冒頭の、ピアノの8分音符のリズムは、ずーっと時計のように楽章内を支配している。ここを揺らすと音楽の骨格がゆがむ。ヴァイオリン協奏曲もそうだと思う。

フルトヴェングラーもハンゼンもかなり意図的に楽想を描き分けており、それがわずらわしさにつながっている。ハンゼンはドイツ人なんで、きっとフルトヴェングラーのことを尊敬していたから、指揮者の言いなりになっているようで、表現がとってつけたような印象もある。聞いているのがつらい。

その点、スカルピーニはどうか。彼は明るい音色を持っており、かなりピア二スティックに闊達にベートーヴェンを弾いている。それでいて、表情の付け方は申し分なく、納得感がある。

・・・というよりも、改めて聞いてみると、私は全部の第4番のCDを聞いたわけではないけれど、特筆大書すべき演奏ではないかと思う。バックハウスにはない表情の即興性と虹色に変化する音色、思い切ったテンポルバートとアッチェレランド、右手と左手のずらし、実に素晴らしいピアニストだと思う。

カデンツァは彼の表現が大爆発で、独壇場だ。このベートーヴェン作のカデンツァも彼の名作に数えられるだろう。

私は、同じイタリアのピアニスト、 #ディノ・チアーニ も敬愛しており、イタリアのピアニストと相性がいいのかもしれない。(ただし、 #ポリーニ の良さは全く分からない)

フルトヴェングラーは、死の2年前の記録(1952年)である。彼の演奏がだんだんと重みと渋みを増してくる時期だが、スカルピーニの音色の明るさはその暗さから差し込む一縷の光のように感じられ、良い対比となっており、耳を飽きさせない。

フルトヴェングラーも以前ほどテンポを動かさず、どっしりと構え、スカルピーニの素晴らしい演奏にとことん合わせてあげようという気持ちなのかもしれない。実にうまくつけている。それでも、これだけ充実した響きを生み出せるのだから、彼の指揮は偉大である。

このCDで聞いた。音が昔よりよくなっており、良さが簡単につかめたのかもしれない(といってもモノラルだし、スクラッチノイズはあるし、テープの揺れもある)。ぜひ聞いてみることをおすすめしたい。


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