2024年8月の記事一覧
Let there be love
別離が昨日僕らを窓際から呼んでいた
それは変わり映えのない秋の午後
コップに張った表面が震えて
来るべき寒さに毛布を被せる
湿った落ち葉が最後をちらつかせても
レコードは歌い続けるよ
「そこに愛がありますように」
「そこに愛がありますように」
高いビルの上から見知らぬ人を覗いても
同じように温かい心を持って
例え戦火が頭上を覆っても
腐植土は消えないで輝くから
「そこに愛があ
High and dry
むせかえるような拍手を受けて
硫酸を一杯飲めば頭は冴えていく
十字架に住む概念よりも早く
映画の中の悪魔はその命を投げ出すから
ソフィーの影を切り取って棺に寝かせていく
秋はただその側で立ち尽くすほかない
立てかけた鏡に映る巨人の足が
気がつくと宣教師に扮して僕にこう囁くんだ
ああヒールに睨まれている
(僕をおいてかないで)
ああヒールに嫌われていく
(僕をおいてかないで)
巻き戻して見せた画
ミニマルミュージック
国道4号線の先の方へ目を凝らす
壊れたワイパーがくたびれて
泡のように浮かぶ水滴を擦っていた
脇を通り過ぎていく
固有名詞を持たない人たちと
グレーにしか見えない住宅街
想像していたよりもずっと
核シェルターに向かう道は険しく遠い
揺れるネイルと落ち着いたブラウス
またどうせ繰り返すことを知りながら
分かったふりをして愛を囁く
何の味もしない蝶の放物線が
音と共に流れるが君には見えない
一面に広が