こわばり

そっと視線を伏せながら
頬を撫でて行くと
柔らかさの実体が確かにあって
見えない管に繋がれた気持ち
首筋に運ぶ湿度に体は強張って
二人の距離は少し遠くなった
君の中にある色んな疑念や不安を
背中をさするだけで吐き出せるかな
決して高くはならない声の真ん中に
全ての愛おしさが詰まっていて
喉の奥にもそれが伝播してくる
素敵な勘違いをしたおかげで
僕の人生は思ってたより長く続きそう
振り回される午後に嫌味を言いたくなるけど
想像してる以上に僕は君のことが好きだ
指先のこわばりを見落としながら
明日もまたショッピングモールへ行こう

ほんの少しのシーンに嫌気がさして
皮肉っぽい表情をしてみても
声を聞けば全部どうでも良くなって
何かを作ろうなんて思いも消えていく
理由づけて情感を体系付けるよりも
強がりな水色に溺れていたい
君が出会ってきた困難さが
物珍しい芯の強さを形作ってきたのなら
それは何にも変え難い芸術で
少しだけ大きなものに触れた気になる

それでもささいな喧嘩をした時には
僕の中にあるこわばりが
余計なことをしてしまったりする
素直さを置き忘れたわけじゃなくて
本当は君に嫌われたくないだけなんだ
言葉の伸縮さに気をつけながら
またごめんねを伝えるから
今日はもう灯りを消そう

繰り返される日の暖かさに
気づくことができない時が来たとしても
戻ってくる月の流れがあるはずだよ
夜中の海底にオーロラが沈んで
自分を見失ってしまう瞬間も
きっとこわばりは二人を
見返し続けているから

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