幼い頃、英語教師のYou're excellent ! に貰った大切な宝
You're excellent !!!
声高らかに褒めちぎってくれた、そんな人がいました。
転校の多かった僕にとって、どこの学校の記憶かも定かではない思い出です。
アメリカ人なのかイギリス人なのか、
とりあえず英語ネイティブの方で、
小学校低学年であったことは覚えています。
色々な初期設定は記憶にないのに、
鮮明に残っているのは、
冒頭の短いフレーズと、その声色。
なぜ僕にとって、それが大切な宝物として心のなかに今もあるのか。
それは、今までもこれからも、
あまり人に褒められないことを褒めてくれたからでした。
小学校低学年なので、今のように英語が必須科目にもなっておらず、
不定期で講師を招くレクリエーション的な授業であったように思います。
とにかく、英語を使った何らかのレクリエーションにおいて、
僕がexcellentと褒められた力は、
「連想力」です。
俗に言う連想力とは、
1つのことから色んなことを思い浮かべ、
思考を広げていく、そんなイメージでしょうか。
「連想力が素晴らしい」
そんなこと、これまでも、今でも言われることはありませんでした。
何故、日本文化圏において褒められることのなかったことが、
欧米文化圏で育ったはずのその先生にはexcellentと写ったのか。
それはおそらく、日本ではこの「連想力」が、
往々にして欠点として現れるからではないでしょうか。
1つの考えを起点に色んな方面に思考を巡らせることは、
「集中力に欠ける」と見られることもあるでしょう。
加えて、
「話にまとまりがない」
「話がすぐ逸れる」
などは現在でも僕自身感じることです。
noteでも何回「話が逸れましたが」という便利な言葉を使ったかわかりません。
その、欠点と取られがちな「連想力」という肯定的な言葉ではなく、
「集中力不足」「まとまりがない」という否定的な言葉で表現されがちな僕の特徴を、
excellentと言ってくれた。
だからこそこの言葉は、
僕の記憶に強く刻み込まれているのでしょう。
自分が欠点と思っていたことを、
長所と捉えてくれる人がいる。
これほど嬉しいことは無いのではないでしょうか。
「短所より長所に目を向けよう」とはよく聞くフレーズですが、
これでは長所と短所を別のものとして分けて考えていることになります。
そうではなく、長所と短所は表裏一体であり、
見方によってはひっくり返るものなのだ、
ということを、時を越えてあの先生は教えてくれているのです。
そもそも長所や短所なんて、自分もしくは他人の価値観で測ったものなので、
絶対的なものではありません。
例えば虫が大好きで勉強に全く興味がなく、先生や親を困らせている小学生がいるとします。
「あの子は自分の好きな虫のことしか話さない」
「勉強の話をしようとしてもすぐ虫の話に持っていく」
虫が好きではない、或いは勉強をさせたいと思う人から見ればそうでしょう。
しかし、同じく虫が大好きな人、新しい知識を得る欲が強い人からすれば、
素晴らしい会話の相手や、立派な先生になり得る。
自分がコンプレックスとして抱えて長年苦しんできたことを、
いとも簡単に長所として捉えて肯定し、
苦しみから救ってくれる人だっています。
僕にもいました。
人によって考え方は違うのだから当たり前なのですが、
自分が苦しみ続けていたコンプレックスや短所が真逆のものとして受け取られた時の衝撃たるや、
半端ないものですよね。
体験したことがある人はわかるでしょう。
逆側に視点を移してみましょう。
褒められる側ではなく、褒める側です。
その人が短所と思っていたことを長所として肯定する側ですね。
こちら側の人からしたら、自分の価値観に則って素直に、何の衒いもなく思ったことを言っているだけなので、
「そんなこと言われたの初めて!」
と喜ばれたところで、「え、だから何?」
となるかもしれません。
しかし、それを如何にも無神経にナチュラルにやってるように見せておいて、
計算ずくでできたら?
今となっては確かめようが無いですが、
あの英語の先生は、欧米文化で育ち、日本で働いていたので、
どちらの文化圏のモノサシもある程度知っている。
そのことからも、故意に、日本では短所として捉えられることもあると理解した上で、
excellent!!!
と言ってくれたのかもしれない。
最近ではそう思うのです。
もちろん、何も考えずに行ったかもしれませんが。
僕もいつか彼のように、
この人は自分の特徴をコンプレックスとして苦しんでいるが、
それはこう考えれば長所にもなり得るのではないか、
と考え、偶発的にでなく、意図してその人の力になれるようになれたら…。
もちろん、日本文化と欧米文化の違いだけの話ではないと思います。
洋の東西を問わず、色んな見方をしてくれる人もいれば、
1つの見方でしか見てくれない人もいるでしょう。
今回は例として西洋の方と日本人を比べましたが、
問題の要点はそこでは無いということはわかっておいてほしいです。
教師や講師、上司など、教え導くと言われる立場の人に必要な力は、
こうした力なのかもしれない、
そう思った次第です。
【追記】今回の話は、日本文化と欧米文化の違いだけの話ではないと思います。
洋の東西を問わず、色んな見方をしてくれる人もいれば、
1つの見方でしか見てくれない人もいるでしょう。
今回は例として西洋の方と日本人を比べましたが、
問題の要点はそこでは無いということはわかっておいてほしいです。
小野トロ
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