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それ、できないのは本当に本人の努力不足?

教育において、子どもに何かできないことがあったとき、その原因をどこに求めるのかは、大きなそして難しい問題ですよね。

担任の先生や担当講師、スクールカウンセラーやその他専門家、そして親。
子どもを取り巻く色んな大人がいますが、
そのどの立場からも、一方的に子どもの行動の原因を断定することは不可能でしょう。

実際のところは、遺伝が○%、環境が△%、先生の力量が…。
と言ったように、いくつもの要素が複雑に絡み合って、それぞれの要素に何%かの原因があって、ということでしょう。

一概に「○○のせい」とは言えないものです。

その前提を踏まえた上で、「本人の努力不足」で片付けてしまわずに、
環境を変えてみれば変わるかもしれない、という話をします。

とにかく多忙な学校と教員。
多くの生徒を日々見ていく中で、明らかな知的な障害やその他特性が見られる場合や、他生徒に影響が及ぶような問題行動が見られる場合を除いて、
少し他の生徒と違う、学習が遅れている、といった生徒は見逃されがちだと思います。

明らかに支援が必要な生徒と違い、グレーゾーンにいる生徒はその後も見逃され続け、社会に出てから苦しむことになり、
「努力不足」「怠けてきた結果」という烙印を押されるわけです。

しかし、本当にその子が授業について来れないのは、テストで良い点数が取れないのは、努力不足のせいなんでしょうか。

最近、僕が担当する生徒の1人で、劇的な変化があった子がいました。
その子は、学校の成績も悪く、テストも軒並み平均点以下だったので、
僕は単純に「理解力が無いだけ」と思っていました。

丁寧に説明したらわかってくれるだろうと。
そうして臨んだ定期テストで、結果は以前と全く変わらず。

そこで、それまで使用していたテキストを使うことを一旦やめ、
学習用アプリを使ってタブレットでの学習に切り替えてみました。

すると、知らない、覚えきれていないと思っていた英単語がスラスラ出てくる。
頭に入っていないと思っていた公式を駆使して問題を解いている。

この姿に僕は愕然としました。
しかも、いつも休憩中にゲームを一緒にやる時以外には見られなかった明るい表情でアプリをやっている。

もともとゲームが好きな子だったので、もしかしたらと思い導入したのですが、これが大当たり。
保護者にも同じアプリを紹介し、自宅学習にも取り入れてもらっています。

彼は、頭の中には学習した内容が入っていたけれど、つまりインプットはできていたけれど、ペンで文字に書いて紙にアウトプットするのが苦手だったのでしょう。

この例からも分かるとおり、環境次第で大きく変わることもあります。

僕は何も、「楽しくゲーム感覚で学習することの大切さ」や「ICT教育万歳」なんてことを言いたいわけではありません。

その子が勉強をできないことに対して、単純に「努力不足」と決めつけることがどれだけ危険か、ということです。

もしかしたら、集団で授業を受けるのが苦手で、個別に教えれば問題はクリアになるかもしれない。
もしかしたら、書くのが苦手だから、口頭で答えを言ってもらうようにしたら、授業の内容はしっかり理解できていたのかもしれない。
もしかしたら、黒板を見てそれを写すのが苦手なのかもしれない。
もしかしたら、言われたことを耳で聞いて文字に変換するのが苦手で、理解していないというわけでは無いかもしれない。

色んな「かもしれない」があると思います。
「〜なはずだ」「〜に違いない」という枠から外してあげるということが大切になって来るのではないでしょうか。
というよりも、枠を外すべきなのは我々大人の頭に対してではないでしょうか。

しかし、実際の教育現場では、それぞれの生徒のニーズに合った配慮なんてしていられないというのが現状ではないでしょうか。

そこを何とか、僕のような塾や、その他子どもの支援に関わる立場の人や、親や他の大人たちで分業し、
地域や企業、行政で一体となって学校の負担を和らげ、
先生を「なりたくない職業」から脱却させる。

そして、授業について来れない子、テストの点数が悪い子は努力不足、
と短絡的な評価を下さずに済む余裕を何とか教育現場に作っていく。

それと同時並行で、世間や当事者である保護者たちから上の固定観念を取り除く。
「この子が勉強しないのが悪いんです」
とは言わせない。

草の根&現場&国で変えていかないといけない。
結局は全てなんです。

親が変われば子どもは、学校が変われば子どもは、などと言う人がいますが、
そんなに単純なことではないんです。

全部変わっていかないと。
その全てを繋ぐハブのような存在に僕がなれたら、と日々思っています。

今日はこの辺で。
「あの子ももしかしたら環境を変えてみれば思わぬ変化があるかも?」
と思ったなら、行動に移してみてください。

小野トロ

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