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【水鳥の歌と生活】2025年1月12日日曜〜1月18日土曜


一月十二日日曜

 七時に起床。
 一週間の日記をnoteに投稿する。
 晩酌。鯛しゃぶを食べる。鍋には葱と豆腐、最後に鶏団子を入れる。七笑を三合飲む。

  種のために家のためにまた町だとか国のためには生きていません

 二十四時に就寝。

一月十三日月曜

 七時過ぎに起床。
 予定されていた午前中の仕事が無くなる。コーヒーを淹れて日記を書くなどする。
 午後も、仕事の合間に新潮社版檀一雄全集に収録されている小説「佐久の夕映え」「埋葬者」「白雲悠々」の感想を書く。
 晩酌。牛肉と豚肉のしゃぶしゃぶを食べて、七笑を二合飲む。
 寝る前に、録画してあったテレビ番組「ふたりの、終われない夜」を見る。西村賢太を師と慕うバンド「OLEDICKFOGGY」の伊藤雄和はある日西村と電話で口論となり、そのまま西村が急逝するまで一切の交友が断たれてしまう。番組はその伊藤や西村との共通の知人、西村の小説に登場する古書店主、荒川義雄へのインタビュー、デビュー前に酔った西村が荒川の家にかけてきた電話の留守番電話音源、最後に伊藤が西村に向けて作った曲が披露される。留守番電話に向かって宇宙戦艦ヤマトのテーマ曲を歌う西村や、太宰治の神童からの没落という境遇に自分を重ね合わせて偉くなりたいと吐露する西村は新鮮だった。『本の雑誌』の西村追悼号に載っていた座談会でも晩年の西村が深夜、酔っ払っては編集者に電話をかけていた話が出てくる。泥酔した時にふっと出る本音が、寂しさだったり甘えからくる暴言や暴挙だったりしたのかもしれない。西村も太宰も、自己プロデュースを徹底した人だ。小説を書くしかない境遇に自らを追い込み続けていたように思う。殊に西村は現代に悪辣な私小説を書くことの難しさを考えていたはずで、芥川賞受賞後に交友が広がっていきそうなところを敢えて人から遠ざかったり、時には関係を壊すこともしたのではないだろうか。小説に関してはとことん純粋な人だったんだろう。師を立てて、師と文学に殉じようとした。自分にはそれしかないということがよくわかっていたからだろう。そして見事に文壇に躍り出た。太宰や西村に心酔する人たちはこのストーリーに希望を見出しているのではないか。師がいて、夢を叶えて、死後なお愛される。そんな意味では幸福な人生だったと言えるかもしれない。
 二十四時過ぎに就寝。

一月十四日火曜

 七時過ぎに起床。酒のせいか寒さのせいか布団から出るのに時間がかかる。
 空いている時間に外を歩く。
 新潮社版檀一雄全集の一巻を全て読み終えたので、二巻に収録されている「リツ子・その愛」「リツ子・その死」を読み始める。ただし実際は持ち運びに便利な新潮文庫版を読んでいる。何度か読んでいる作品だが、今回は副読本として山城千恵子『檀一雄の従軍日記を読む』があるのでより楽しめそうだ。まず一つの例として、「リツ子・その愛」では中国に旅立つ前に訪問した佐藤春夫に「折柳曲」と題した詩を贈られ、それは刊行前の雑誌に掲載されるものだったので、檀がその場でノートに書き写すという場面がある。「リツ子・その愛」には末尾の四行のみが書かれているが、従軍日記には全貌が書き写されている。
 晩酌。鶏鍋を食べ、七笑を三合飲む。骨付きの鶏肉から出た出汁が黄金色をしていてとても美味しい。

  一合といわず二合だけならばまだいいだろう三合を飲む

 YouTubeでアニメ「The Amazing Digital Circus」の第三話を見る。いつも支離滅裂なキンガーがとても知的で頼もしく見えた。現時点で公開されているのはあと一話。半年ほどで一話という恐ろしく気の長い公開頻度なので、第四話を見てしまうのが少しためらわれる。
 二十四時に就寝。

一月十五日水曜

 七時過ぎに起床。やはり起きられない。
 日中は仕事が無いので檀一雄「リツ子・その愛」を読み継ぐ。

  安楽のために啜った珈琲よどこへ行くのだひどく咳込む

 夜は市街へ酒を飲みに行く。一軒目は焼き鳥屋へ。焼き鳥(もも、ねぎま、もつ、つくね)、焼きとん(たん、かしら、レバー、白もつ)を食べて、ホッピーをジョッキ二杯飲む。飲みながら坪内祐三編『新版禁酒宣言 上林暁・酒場小説集』を読み、読み終える。私は酒好きな作家の小説が好きで好んで読むが、上林暁の酒場小説というのは酒場の女性との交流が中心で、しかも主人公がなんとなく女性に好かれていてなんとなく上手くいかなくなるという話が多い。こういう小説は意外とこれまで読んでこなかった気がする。おもしろくはあるが、個人的には木山捷平のようにもっと情けなかったり瑣末なことにこだわったり考えたりしている小説や、檀一雄のように豪快に飲みまわる小説の方が好みでもある。それにしても、『禁酒宣言』という書名で、それでも酒をやめられないという話が続き、最後には脳溢血で酒が飲めなくなるというこの小説の並べ方、編集はすごい。
 二軒目はビアバーへ。アメリカから観光に来た人と拙い英語で話をしたり、居合わせた人や店員とUNOに興じたりして楽しむ。クラフトビールを何杯か飲み、バケットにドライトマトのオリーブオイル漬けを乗せて食べる。
 終電車で帰宅し、二十四時過ぎに就寝。

一月十六日木曜

 八時に起床。
 檀一雄全集収録の小説「後生安楽」の感想をnoteに投稿する。

 正午頃にコメダ珈琲店へ。ランチプレート(ミックスサンドイッチ、コメチキ、サラダ)、たっぷりサイズのコメダブレンドを注文して、新潮文庫の檀一雄『リツ子その愛・その死』を読む。副読本として山城千恵子『檀一雄の従軍日記を読む』を傍に置く。
 少し早めに晩酌。鶏鍋を食べて、ハートランドビール500ml瓶と、キンミヤ焼酎をアサヒドライゼロ500ml缶で割ったものを飲む。本当はホッピーを飲みたいのだが、ホッピーは冷やして売っていないのと少し高いので、それならノンアルコールビールに焼酎を入れればいいという考えに至った。これはこれで美味しいが、やはり本当はホッピーが飲みたい。
 二十四時に就寝。

一月十七日金曜

 七時に起床。
 なんとなくやる気が出ない一日。仕事の合間に外に出ようと思いながら気が付くと事務机で眠っていたり、本を読むことも日記を書くこともできないまま時間だけが過ぎる。気圧のせいだろうか。気温のせいだろうか。
 晩酌。カツ煮、イカフライ、冷奴を食べて、キンミヤ焼酎をアサヒドライゼロ500ml缶で割ったものを飲む。
 二十四時に就寝。

一月十八日土曜

 深夜、小用に立つとベランダが白く光っていた。雪が降ったのかとよく見てみると雪は無く、月明かりに光っているだけだった。それでもなんとなく良い光景だなと思い、これを俳句にしようと少し考える。しかし、メモをしようとスマートフォンを起動すると光で完全に目が覚めてしまう。朝目覚めてから覚えていたらそれをメモしようとまた眠りにつく。
 七時に起床。

  ベランダに薄雪がごと月明かり
  小水を溜め込んで寝る夜寒哉

 仕事の合間に外を歩く。寒いが、しばらく歩いていれば寒さは気にならなくなる。外に一歩踏み出すまでの億劫ささえ乗り越えればまだ歩けるのだ。布団から起き上がる時も、勢いで上体を起こしてしまうのが一番良い。アラームを止めるついでにSNSなどを見始めてしまうからそのまま三十分くらい過ぎてしまうのだ。帰り道にスーパーに寄り、久しぶりに食べたいと思いすあまを購入。
 職場でドリップバッグのコーヒーを淹れてすあまを食べる。美味しいが、結局は餅なので腹に溜まる。でも美味しいからどんどん食べてしまい腹が重くなる。美味しいのだが。
 晩酌。コールスローサラダ、煮卵チャーシューメンマ辛ねぎ仕立て、チーズ、梅なめ茸入り納豆を食べて、サントリートリプル生500ml缶、銀河高原ビール350ml缶をそれぞれ一本ずつ飲む。
 二十四時過ぎに就寝。

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