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第二章 空の上に湧く泉 終業のチャイムが響き渡った。 教師が出て行くと、教室内が急に…
高校からの帰り道の途中に、図書館がある。その図書館の広場に、風花たちはよく寄り道した。…
「隠すことないじゃん。教えてよー」 ひろあはうれしそうに、風花の顔を覗き込む。二つに束…
「あ、でもね、聞いてよー」 ひろあは眉を寄せて、ベンチに両手をつく。 「あたしたちね、…
「実はさ、私もうまく行ってないんだよね……」 ふいに香夜乃が声をかすらせた。 深くベン…
「では……」 ふいに、ひろあが声に力を込める。鞄からノートを取り出した。 ずっと前、…
「あっ、わたし書きたい」 風花はノートを受け取る。 三人で海に小旅行に行くと書いた。 「風ちゃんって、本当に水辺が好きだね。海に行くとずーっと波を眺めているし」 あたしはねーと、ひろあはソプラノの声を響かせる。 ケーキ食べ放題に行くと書いた。 「香夜ちゃんは?」 「私はどこかのお城で、和装体験なんかしたいな」 「海とケーキとお城かあ。全部行けたらいいね」 それいいと、ひろあは声をあげた。 「海の近くのお城に行って、ケーキを好きなだけ食べるんだよ。そうい
長い坂道を、風花は自転車で登っていた。 やっと見えた駐輪場に滑り込み、自転車を停める…
夏澄の優しげな仕草も、透きとおった瞳も、やはりまぶしい。 風花は目を細めた。 「久し…
「ごめーん。でも、すごくきれい」 波紋はそっと押してだけでも、広がっていく。ゆらゆらと…
「う、うん……」 風花はそれだけしかいえなかった。 まっすぐな視線を受けると、どきど…
「霊力って、どうして? なにかあったの? 風花」 夏澄が心配そうな顔をする。 いつも…
「……どんな泉だったの?」 自然と、風花の声にも感情がこもった。 「水の精霊の国の、空…
冗談めかす夏澄に、少し泣きたくなった。 ずっと願いが叶わなければ、普通は感情を無くすと思う。 それなのに夏澄くんはよくわらったり、泣いたりする。 ……夏澄くんは、思ったよりずっと強いんだ。 「ねえ、夏澄くん」 夏澄くんは、悲しい? つらい? 風花は言葉にできなかった。聞いたら、なにかが壊れてしまいそうだった。 深呼吸して、風花は声を明るくした。 「空の泉って……」 「なに? 風花」 夏澄は、頭を霧にもたせかける。 「空の泉って、どんな色だったの