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今日の飛雨は、人が変わったようだった。人なつこい笑顔で、友達のように接してくる。 鋭…
不老不死……。 「え? 不老不死って、あの吸血鬼とかの?」 「オレは化け物じゃないぞ」 …
「おい、風花」 しばらく黙っていた飛雨が、急に言葉を投げてきた。 「お前、今度、霊力の…
飛雨が降りたのは、木々の間に点在する岩の中で、一番大きな岩だった。 彼は『重かったー…
一本杉は、木々がまばらになった笹原の中にあった。 まだ若葉をつけていない木々の中で、…
風花たちは、森の東を目指していた。 飛雨は忍者のように、枝にぶら下がったり、幹を蹴っ…
ふしぎそうに見つめる風花たちに、彼女は黙って微笑む。 ……この仔は親からはぐれた仔ですと、小さな、声になっていないような声で告げた。 「彼女、まだうまく話す霊力はないのね」 話せないなら、霊力で心の声を聞くわねと、スーフィアは微笑む。 雪割草の精霊はうなずいた。 スーフィアは瞳を閉じた。スーフィアの海色の霊力が、雪割草の精霊を包んだ。 「この仔は、春ヶ原の精霊に頼まれて、世話しているそうよ」 しばらく黙っていたスーフィアは、まぶたを開く。 「春ヶ原?
空気が痛い……。 風花たちは、山頂に続く坂道を歩いていた。 さっきまでは、笹原や枝…
「この鳥も、引き取って欲しいってことでしょ。今回は例外ってことでいいじゃない」 スーフ…
それきり、飛雨はなにもいわなくなった。 ありがとう、と、夏澄が風のようにささやくのが…
風花は、山頂の岩場を歩きまわっていた。 岩影を覗いても、木の周りを探しても、どこにも…
過去に想いを馳せ過ぎたのか、かすかな目まいがした。 風花は頭を振る。 となりの夏澄…
「三年くらい前からでしょうか。たまにこんなことが起こるのです」 優月の言葉に、夏澄は瞳…
夕焼け色の山道を、蓮峯山から出るバスは進んで行く。 風花は窓にもたれて、オレンジ色の空を見つめていた。 さっきまでいた春ヶ原。夢のようだったあの余韻はまだ残っている。 バスという人の世界の現実の中にいると、余計に名残り惜しい。 今日の夕焼けは、西の空いっぱいに広がっている。暖かくて優しい色だ。 夕日は、窓からも差し込んでくる。風花だけがそれに染まっていた。 他に乗客はいない。 来たときと違って、飛雨の姿もない。 日が暮れてきたので、風