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水の空の物語 第3章 蓮峯山の小さな楽土

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空の上に湧く泉の噂を聞いた風花たち。 蓮峯山という山で、ふしぎな野原を見つけます。
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#少年

水の空の物語 第3章 第2話

 今日の飛雨は、人が変わったようだった。人なつこい笑顔で、友達のように接してくる。  鋭…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第4話

 不老不死……。 「え? 不老不死って、あの吸血鬼とかの?」 「オレは化け物じゃないぞ」 …

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第7話

「おい、風花」  しばらく黙っていた飛雨が、急に言葉を投げてきた。 「お前、今度、霊力の…

近江結衣
1年前
7

水の空の物語 第3章 第9話

 飛雨が降りたのは、木々の間に点在する岩の中で、一番大きな岩だった。  彼は『重かったー…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第10話

 一本杉は、木々がまばらになった笹原の中にあった。  まだ若葉をつけていない木々の中で、…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第11話

 風花たちは、森の東を目指していた。  飛雨は忍者のように、枝にぶら下がったり、幹を蹴っ…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第12話

ふしぎそうに見つめる風花たちに、彼女は黙って微笑む。  ……この仔は親からはぐれた仔ですと、小さな、声になっていないような声で告げた。 「彼女、まだうまく話す霊力はないのね」  話せないなら、霊力で心の声を聞くわねと、スーフィアは微笑む。  雪割草の精霊はうなずいた。  スーフィアは瞳を閉じた。スーフィアの海色の霊力が、雪割草の精霊を包んだ。 「この仔は、春ヶ原の精霊に頼まれて、世話しているそうよ」  しばらく黙っていたスーフィアは、まぶたを開く。 「春ヶ原?

水の空の物語 第3章 第13話

 空気が痛い……。  風花たちは、山頂に続く坂道を歩いていた。  さっきまでは、笹原や枝…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第14話

「この鳥も、引き取って欲しいってことでしょ。今回は例外ってことでいいじゃない」  スーフ…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第15話

 それきり、飛雨はなにもいわなくなった。  ありがとう、と、夏澄が風のようにささやくのが…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第16話

 風花は、山頂の岩場を歩きまわっていた。  岩影を覗いても、木の周りを探しても、どこにも…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第19話

 過去に想いを馳せ過ぎたのか、かすかな目まいがした。  風花は頭を振る。  となりの夏澄…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第27話

「三年くらい前からでしょうか。たまにこんなことが起こるのです」  優月の言葉に、夏澄は瞳…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第3章 第28話

 夕焼け色の山道を、蓮峯山から出るバスは進んで行く。   風花は窓にもたれて、オレンジ色の空を見つめていた。   さっきまでいた春ヶ原。夢のようだったあの余韻はまだ残っている。  バスという人の世界の現実の中にいると、余計に名残り惜しい。   今日の夕焼けは、西の空いっぱいに広がっている。暖かくて優しい色だ。   夕日は、窓からも差し込んでくる。風花だけがそれに染まっていた。   他に乗客はいない。  来たときと違って、飛雨の姿もない。   日が暮れてきたので、風